数年前、青森で飲んでる時に“自分が乗った車で最高速度は何kmまで出たことがあるか”という話題になったことがあった。
その時、180と回答したある人物が下北縦貫道「サーキット」と呼んだのであるが、それに対し、隣で飲んでいた見知らぬ下北出身のオヤンズが「下北にF1が出来るサーキット場があったの知ってるか?中嶋悟って知ってるか?」と絡んできたのであった。
鈴鹿のスプーンで山本左近がスピンしたのを生で見た佐藤琢磨世代の俺でも、中嶋悟は知ってるさ。
でも下北にサーキット場があったって何???
2012年春、ブロ玉取材班が下北半島に飛んだ。

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むつ湾インターナショナルスピードウェイの生き証人ともいえる動物が、今も手厚く世話を受けているという情報を得ていながら、サーキットの廃墟訪問から1年以上経ってしまった。
ようやく訪れることが出来た場所は、横浜市立野毛山動物園である。
横浜市営の福富町西公園駐車場にクルマをとめ、ソープランドやストリップ劇場が建ち並ぶ一帯を抜け、競馬ファンであふれるウィンズ横浜の脇を過ぎれば、ガラッと雰囲気は変わり、野毛山への上り坂である。


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たどり着いて驚いたのは、動物園が入場無料であったことだ。
そして、実物のキリンを見たなんていつ以来だろう。釧路市の動物園では市民の募金でようやく購入に成功したキリンであるが、野毛山には2頭もいて無料で見学できるのだ。これだけの動物園を無料で開放できるのだから、不交付団体から交付団体に転落したとはいえ、横浜市の財政力はさすがである。


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生き証人のいる檻は12番だという。キリンを後にし、進むこと数分。12番「フタコブラクダ」の檻に到着した。
横になって昼寝していた彼女の名前は「ツガル」。世界最高齢のフタコブラクダだ。
2014年1月現在の推定年齢は38歳。1982(昭和57)年、青森県から野毛山動物園に来たという。
そう、むつ湾インターナショナルスピードウェイに隣接した、むつ湾観光牧場から来たのだ


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檻のすぐ手前には、子供連れの家族が「ツガル」目当てに集まっており、なかなか人気者のようだ。
すぐ後ろから「あれ、いないのか?とうとう死んだのか?」と老人の声が聞こえると、先頭に陣取っていた男児が「起きろー!起きろー!」と叫び、笑いが起こっていた。
その雰囲気を察したのかどうかわからないが、心なしかツガルが首をもたげたようだったので、覗いてみると目を開けてくれたのが見えた(写真右)。


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檻の全体像を見ると、リンゴの形に切り取られた画用紙数枚で「つがる おめでとう」と、38歳のお祝いをしたのが見えた。
ツガルは世界最高齢ということもあって、野毛山動物園を代表する動物の一つになっているようだ。
今やすっかり横浜の人気者になった彼女だが、かつて陸奥湾を望む下北半島にいた記憶はあるのだろうか。陸路700km以上を運ばれてきた記憶はあるのだろうか。
どんな気持ちで、横浜の空の下で寝そべっているんだろう。


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ラクダのツガルは、運よく野毛山動物園という貰い手が見つかり、今も手厚く世話を受けて生きている。
動物愛護協会からは「功労動物賞」まで貰っている。
一方で、同じように飼育されていたタイワンザルは、むつ湾観光牧場の経営破綻・閉鎖のあと、下北半島を流浪することになった。
タイワンザルは、人里に出没し農作物を荒らす害獣としてだけではなく、北限のニホンザルとの交雑を懸念され、徹底的に駆除作戦が行われたのは、青森県民なら知っているだろう。
ラクダもサルも、元は観光牧場の人気者として青森に来たはずなのだが・・・・・・。

ツガルが、幸せな余生を送れるよう、祈るばかり。
この記事を読んで野毛山動物園を訪れることがあれば、タイワンザルのことも思い出して、子供に伝えてほしい。


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