先日、八甲田越えができない冬期間の“津軽・秋田⇔南部”移動ルートを検討したばかりだが、1月27日の東奥日報夕刊と、翌1月28日の東奥日報朝刊に面白い記事が載っていたので触れておきたい。



まずは、夕刊の方から『世紀越えトンネル』

世紀越えトンネル

詳細は記事を読んでもらうとして、田子と鹿角を結ぶトンネルだ。

田子側坑口は弥勒の滝へ向かう町道の延長上に設けられ、約1.2kmのトンネルを経て、鹿角側の坑口は旧・不老倉鉱山の付近に設置され、鹿角市道を経て大湯に至るルートになるようだ。
世紀越えトンネル
【画像はクリックで拡大します(2014/2/11付 デーリー東北より画像引用)】

この実現の可否はさておき、開通した場合の道路の位置づけがどうなるか。

あくまで個人的な考えだが、
(1)白萩平を越える現在の国道104号の新道とするか、
(2)現存の田子・鹿角両市町道を新たな県道(可能性は低いが主要地方道)に格上げするか、あるいは、
(3)林道として整備するか。

なんてのがあるだろう。



国道104号の新道とする場合だが、白萩平を抜ける現道は旧道化し、ほぼ確実に国道指定を解除されるだろう。
鹿角側は秋田県道128号が接続するので、一部は秋田県道として存続するだろうが、県境地帯は両市町道に格下げとなろう。
中滝付近
【画像はクリックで拡大します】
県境が往来の乏しい分水嶺の峠であれば、現道を廃道化という選択肢も出てくるが、田子の白萩平は分水嶺を越えて日本海側にあるのである。
険しい峠道で分水嶺を越えた先の高原が白萩平であり、そこで牧場などを営む人々の生活がある以上田子側から廃道にするという案は現実ではない。
一方の鹿角側だが、地図を見れば一目瞭然で、白萩平から鹿角側はなだらかな地形で線形もスムーズになっており、多少の人家もある。やはり、こちらも廃道にするという案は現実ではない。
現道を廃道化という選択肢がないのであれば、両市町で管理しないといけないが、奥羽山脈越えの長大な峠道を維持する負担は、簡単なことではない。


現道を国道指定したまま、世紀越えトンネルも国道でとなれば、新道を自動車専用道路で整備という手段はある。

新設された自専道を通行できない軽車両や原付、歩行者等の通行のために、並行する一般道である国道も維持する必要があるためだ。

2014年2月11日のデーリー東北の記事で言及がある「八戸能代間横断道路」の一部とするのであれば、理にかなった方法でもあるのだが、2015年現在、地域高規格道路の候補路線にも指定されていない同路線の一部に位置づけるのでは、完成が何十年先になるか知れたものではない。

このように国道104号の新道とする案にも、色々と課題があるのである。



2つ目の、現在の両市町道を県道(主要地方道)に格上げして建設する案はどうか。

これは、青森県と秋田県の両方が難色を示しそうな気がする。
というのも、現道の国道104号は、国道ではあるけれど、県管理だから。

田子と鹿角の間に、県管理の峠道とトンネルを2本となれば、青森県も秋田県も「1本あれば良いんじゃないの?」と考えるのが自然ではないだろうか。
仮にどちらかの県が「県道指定OK」と言っても、片方が「NG」と言う可能性もあり、その場合は片方の県境までは県道だが、そこから先は“道なき道”というケースもあるのだ。

やはりこの案も、現実的ではなさそう。



3つ目の林道としての整備案。
これは、2の県道案よりは比較的実現に近い選択肢と思う。

林道と言っても、「一車線の幅員を有す砂利道で手掘り一二〇〇米の隧道を掘れ」という訳ではない(道路マニア的には、もの凄く見てみたい)。

Yunosawa_Tunnel【画像はクリックで拡大します(wikipediaより画像引用)】
かつて1993年から2003年にかけ「ふるさと林道緊急整備事業」というのがあった。
この事業によって、群馬県に開通した「ふるさと林道湯の沢線」という路線があり、長らく未改良のままだった群馬県道45号の塩ノ沢峠に代わって、同林道の「湯の沢トンネル」(3323m)が短絡化を果たすことに成功している。

群馬のケースでは峠道も群馬県道45号のまま、並行する林道という形で新トンネルを通すことができているのだ。

これであれば、1の国道の新道案で問題になる、長大な峠道を両市町で維持しなくてはならない問題からも解放される。

ただ、「ふるさと林道緊急整備事業」自体が終わってしまっているというのが最大の問題だ。
農林水産省が、重い腰を上げてくれれば話は別だが、難しかろう。
これもまた、何十年単位で時間がかかりそうだ。



いずれにせよ、簡単な話ではないが、これは単に田子⇔鹿角の短絡効果だけある路線ではないのだ。

デーリー東北の記事によれば、「世紀越えトンネル」が開通すれば田子町夏坂と鹿角市大湯間は16.7km(現行の約16km弱短縮)となり、所要時間も46分になるという。
それだと平均旅行速度はわずか21.8km/hということになるが、途中に信号が何か所もある訳でもないし、まして山間部の道路である。実際はもう少し速くなるはずだ。

鹿角市大湯と言えば、十和田ICが目と鼻の先だ。
その十和田ICから田子町中心部までの距離は55.1km。
現行から、16km程度短縮できれば、田子から十和田ICまで39km程度になるのである。

現存の国道104号などの線形改良も必要になるだろうが、田子から十和田ICまで39kmというのは、優に1時間を切ることもできる距離のはずだ。

田子⇔十和田【画像はクリックで拡大します】
左図は、平成22年版の道路センサスを元に、十和田ICから田子までの現ルートの距離と平均旅行速度を算出したものである。

現行のルートでの所要時間は1時間8分52秒ほどである。
現道より走りにくく速度が出ない新道なんか当然つくらないはずと想定し、最低限、今の平均旅行速度から下がることはないものと仮定して、現行の平均旅行速度である48.1km/hを維持したまま、16km短縮するとどうなるか。

世紀越えトンネルによる短縮で、所要時間は48分46秒まで縮まる。

そうなれば、田子から東北道経由で弘前が近くなる。
十和田ICから大鰐弘前ICまでは30分というところである。

田子から弘前が近くなるということは、救急搬送する医療機関の選択肢に、弘前大学病院が加わるということだ。

ドクターヘリの基地でもある八戸市民病院でも、症状によっては「県内では弘大しか手術できない」と言われ、盛岡の岩手医大まで行くケースが意外とあることのようだ。

全ての区間を自動車専用道路にしなくても、一般道のまま線形改良と拡幅で80km/hでぶっ飛ばせるくらいに整備しておけば(速度超過を推奨するわけではないが、80km/hで飛ばせるくらい走りやすい一般道はいくらでもあるのだから)、救急車なら田子から「世紀越えトンネル」で弘前大学まで1時間半以内で行けるだろう。

僕が田子で世紀越えトンネルを建設推進する立場の人間であれば、弘大病院への搬送効果を挙げるところである。

さあ、どうやって実現に動くのか。


◆崟晶熟妥張肇鵐優襦廚紡海

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