ここのところ、交通量や所要時間算出で使用している道路交通センサスのデータだが、始めるきっかけになったのは「平均旅行速度」の速さについての興味からだった。

ということで、今日は久しぶりに速度のランキングをつくった。



道路交通センサスの平均旅行速度の指標には、混雑時昼間非混雑時がある。
当然、両者で数値の違いがあり、混雑時の方が速度は低い傾向がある。

日本語の意味通りに捉えれば、混雑時は道が混んでいる時間帯となるだろう。

「道が混んで速度が落ちている時間帯」を聞かれたら、青森県民であれば、ねぶた期間とか、ブレーキを踏んでも止まれないほど滑る冬の凍結した日の通勤風景なんかを想像するだろうし、関西人なら五・十日と答えるであろうか。



センサスで言う混雑時の定義は、朝のラッシュ時間帯(午前7時〜午前9時)又は夕方のラッシュ時間帯(午後5時〜午後7時)のうち、上下線それぞれが混雑する時間帯である。
確かに、ラッシュ時は道が混むイメージがある。

が、クルマ社会の地方部だと、ラッシュの通勤時間帯の方が順調に流れているということがある。
遅刻しないよう、みな俊敏に運転しているというのもあるだろうし、通勤時間帯は運転慣れした現役世代ドライバーの比率が高いからだろう、などが理由として推測される。

実際、道路交通センサスのデータでも、地方部では混雑時の方が平均旅行速度が速いというのは珍しくない。

1桁・2桁国道の中で平均旅行速度が日本一速い北海道の国道44号を例にすると、平均旅行速度が最高となるのは、昼間非混雑時ではなく混雑時間帯の下り線(釧路⇒根室方面)で、道道123号との交差点(厚岸町宮園町)から道道988号との交差点(浜中町姉別南)までの10.9km区間で観測される79.8km/hである。

そこで今回は、クルマ社会の地方部を対象に、混雑時の方が昼間非混雑時より平均旅行速度が速い箇所のランキングを作成した。
対象としたのは、自家用車だけで通勤する比率が日本で最も高い山形県である。

参考までに、山形県では、上下1,737か所ずつ計3,474あるセンサス調査箇所のうち、上り816か所・下り812か所の計1,628箇所で、混雑時昼間非混雑時より遅くないという結果が出た。
上下計6,340か所の調査箇所中、混雑時の方が遅くないのは3分の1に満たない2,087か所しかない東京都に比べれば、混雑時の方が遅くないのが半数弱に達する山形県の率は高いと言えよう。


山形県 混雑時の方が速い箇所ランキング

山形2010平均旅行速度 混雑時の方が速い

【画像はクリックで拡大します】

詳細は画像の表をみて頂くとして、混雑時の方が速い箇所の上位地点をみてみると、概ね15km/h前後速いというのがみてとれる。

そして、各地点ごとに、クルマが走る時間帯ごとの風景やドライバーの心理までが目に浮かんでしまうのが興味深い。



上下線ともにランクインしている山形県道58号を取り上げたい。
ランキングしているのは上下2箇所ずつ4か所だが、それぞれ市町村境を跨ぎ連続している7.3kmの区間なのだ。
この路線名称は新庄鮭川戸沢線という。
その名の通り、起点の新庄から鮭川を経て終点の戸沢に向かう方が下り線で、逆が上り線となる。

最上地方の中心都市である新庄市にある職場に向け、朝に鮭川村から通勤する人々が多いのであろう、上り線は混雑時が14.8km/hほど速い。
逆に、新庄市から鮭川村の自宅に帰る時間帯となる夕方、下り線は混雑時が14.9km/hほど速い。

そして、出勤時より、帰宅時の方が、多少ながら速度が速いというのが微笑ましい。

高校生の頃、青森市郊外の八甲田山麓の新興住宅地から自転車通学していた友人に「登り坂で、家に帰るのが面倒にならないか」と言ったら、「逆に学校に行くのが登り坂だったら登校拒否になるわ」と切り返されたのを思い出す。
家に帰りたいというエネルギーは、みな共通なのだ。


昼間非混雑時もみてみよう。
通勤時に52〜53km/hで流れている山形県道58号だが、日中の速度は40km/hを割るところまで低下する。
この区間の地形図を見ると、最上内川沿いに水田が広がっているのである。

なんとなく、コメ農家のお爺さんが助手席にお婆さんを乗せて軽トラでゆっくり走っていくのが想像できる。
これは山形に限らず、青森もそうだし、関東圏の千葉や茨城の田園地帯でも同様だろう。
自分の死んだ祖父母が同じように、青森の国道101号森田バイパス(60km/h制限)で40km/hの大行列の先頭を走っていた姿を思い出し、重ね合わせると泣きそうだ。
嘘だよ。コピペはだめですよ。
新庄のイオンタウンとかのスーパーに買い物に行く主婦が、安全運転で往復している様子も目に浮かぶ。
自分の母親も、イトーヨーカドー青森店に右折して行きたいがために国道7号青森環状道路(60km/h制限)の第二走行車線を何kmも手前から延々と制限速度未満で塞いで行くから、わかる。
コピペはだめですよ。
こうしてみると、新庄近郊の鮭川村で暮らす家族の1日まで想像できてしまうのだ。
まさか、道路交通センサスの数字を読み取るだけで、クルマ社会の人々のドラマまで妄想できてしまうとは。


今度は自家用車だけで通勤する比率が山形に次いで高い富山県でもみてみようか。
富山は2006年の1世帯当たり自家用自動車保有台数が1.735台で全国2位で、2009年には共働き率が56.6%と全国3位だった県だ(ちなみに山形は2009年の共働き率2位、自家用自動車保有台数5位で、条件は富山に近い)。

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