北海道新幹線の新函館北斗駅開業まで1年を切っている。

北海道新幹線は青森県側に「奥津軽いまべつ」の1駅が開業するが、フル規格新幹線の停車駅の中で乗降客数全国最低の座を、いわて沼宮内駅から奪いそうな気がする。
まあ、奥津軽いまべつ駅が無ければ、新青森−木古内の駅間距離が113kmという途方もない長距離になってしまうわけで、青函トンネル前後で何かあった時の冗長性を持たせる意味でも重要なのだ。

ところで、2015年春の時点で岩手町の人口が14,000人弱、今別町は2,700人弱と5倍近い人口差があるが、自分は、ひょっとしたら奥津軽いまべつの乗降客数が、いわて沼宮内に負けないか、負けても大差にはならない可能性があるかもしれないと思っている。


蟹田駅.jpeg【画像はクリックで拡大します】
一昨年(2013年)のGWに、廃線が決定した江差線に乗車してきた。
高速料金節約を狙って東京から関越道経由で日本海側を北上し、能代東I.Cで降り、広域農道と国道101号で鰺ヶ沢まで来た時に、やたら遅い車列に捕まって思いついたことがあった。

青森さ行ぐより、車力かって蟹田さ行ぐ方がいんでねべが。

蟹田駅の西口には駐車場があったのを知っていたので、ノロノロの国道101号をミサイル道路に折れ、あまりブログで大っぴらに書いてはいけないような所要時間で蟹田に到着。

蟹田駅西口の駐車場は、満車であった。

外ヶ浜町公式ブログにも書いているが、蟹田駅は西口駐車場が無料なので、北海道へ行く人々のパークアンドライドがけっこう盛んなのだ。
蟹田自体は小さな町なのだが、五所川原や西北津軽地方の各地から、青森県道12号(中山峠)経由で蟹田に来る層が、一定数存在するようなのだ。

深浦や鰺ヶ沢の小学校なんかは、修学旅行で函館に行く際に、蟹田駅を使うのだという。
その最南端は、旧岩崎村の深浦町立いわさき小学校。

蟹田駅の駅勢圏は秋田県境の手前にまで及ぶのだ。


なんとか、縦列で駐車できる隙間があったので愛車をねじ込み、駐車場を歩いていると、気が付いたことがあった。
「函館ナンバー」の多さである。

函館はたしかに青森の隣の地域のナンバープレートではあるが、津軽半島の三厩と松前半島の福島を結ぶフェリーは航路休止になって15年以上になる。
函館から自動車で蟹田に来るには、青森港を経由するのが最短ルートになるが、わざわざ蟹田に置くというのはどういうことだろう。
実は、北海道全体の0.2%しかないが、直近の平成12・17・22年いずれの国勢調査でも「道外」へ通勤・通学する人が存在している。
自宅が札幌にあって、週の大半は東京でホテル住まいするが週末は飛行機で新千歳に戻るという人で占められていると思うが、定期的に津軽海峡を行き来している人もいるのだろう。
木古内始発8:03の列車に乗れば、蟹田8:50着なので、松前半島から青森県側への通勤が不可能なわけではない。
そうやって松前半島から青森側に通勤する人の立場であれば、定期券(木古内⇔津軽今別で1か月46,930円)で乗車しても毎日フェリーに車を乗せて往復するよりは格段に安いので、北海道で買った通勤用自家用車(函館ナンバー)を蟹田駅に置いて青森側でクルマ通勤というのもあり得る。
こりゃ津軽半島と松前半島の間のフェリーがなくなるわけである。

通勤・通学でなくとも、津軽半島と松前半島はもともと、海峡を挟んで姻戚関係になる人も多い地域だし、家族や親戚を訪ねるために日常の行き来をする人もいるだろう。


西北津軽地方から北海道へ向かう需要と、「函館ナンバー」のクルマで満車になっている蟹田駅西口駐車場をみると、ひょっとすると奥津軽いまべつ駅の需要も思った以上にあるかもしれない、と思うのである。



ここで、いつもの道路交通センサスで、計算を立ててみた。

現在、津軽地方各地から、特急が停車する津軽線・蟹田駅と、北海道新幹線 奥津軽いまべつ駅、そして東北新幹線 新青森駅の各駅へのアクセスの比較である。

計算を簡略化するために、新青森駅は、国道7号青森西バイパス国道280号バイパスが接続する「油川バイパス新城入口」交差点とした。
西北五津軽の中心都市・五所川原は、津軽道と既存の国道101号の比較のため、エルムの街経由で五所川原ICにアクセスする「田町」交差点を基準点にした。
鰺ヶ沢の基準点は、国道101号鰺ヶ沢バイパスと旧道が分岐する交差点(焼き肉レストラン一心亭鰺ヶ沢店前)とした。


そして、平成22年版の道路交通センサスには載っていない道路でのアクセスも考慮し、独自の計算を行った。

鰺ヶ沢から新青森駅までのアクセスには、2014年に開通した津軽道 つがる柏ICを利用するものとし、平均旅行速度は平成22年時点で開通済みの区間の加重平均値を代入した。
また、国道339号青森県道12号の事実上のバイパスの役目を果たしている広域農道を使うことも考慮にいれた。
利用するのは、こめ米(コメマイ)ロードと、メロンロード(通称・ミサイル道路)で、平均旅行速度は控えめに60km/hとした。


奥津軽いまべつ駅 アクセス図
【画像はクリックで拡大します】

結果はご覧のとおり。
五所川原の市街地であれば、津軽道を利用すれば、新青森駅まで35分から40分で到着するであろう。

蟹田および奥津軽いまべつ駅へは、国道339号を普通に走って行って1時間程度、こめ米ロードを60km/hで走っていけば50分強と、どちらの駅へ行くにも大差はない。
急ぐなら津軽道新青森駅が便利だ。


鰺ヶ沢であれば、津軽道新青森駅まで53分以上かかるのに対し、奥津軽いまべつ駅と蟹田駅のいずれの場合も、県道12号でゆっくり行っても1時間10分以内と、新青森へ行く場合との時間差は少ないものとなる。

メロンロードを60km/hで走っていけば、1時間1分前後。
ぶっちゃけ、60km/hで走ればガンガン追い抜かれる道路なのだが、追い抜かれないであろう“実勢速度”を80km/hとして考えれば鰺ヶ沢から55分から56分で奥津軽いまべつ駅に着いてしまうのだ。
新青森駅へ向かうのと同じくらいの時間で、奥津軽いまべつ駅に着けるのだ。



以上のように、蟹田から奥津軽いまべつ駅に変わっても、西北五津軽の各地からの所要時間は1分程度違うかどうかであろう。


奥津軽いまべつ駅がやたら遠い位置に行ってしまうのなら話は別だが、距離も所要時間も大差がないのであれば、現在の蟹田駅への西北五津軽の需要がそのまま奥津軽いまべつ駅に移行すると言ってよいと思う。
仙台、東京方面へ向かうのなら新青森駅が便利でも、北海道方面なら奥津軽いまべつ駅に分がある。

新青森駅の方が早く着く地域であっても、東北道の通行料金や駐車場利用料金を考えれば、無料農道を快走して奥津軽いまべつ駅へ向かう方が東京方面でもお得な場合もありうる。

現行の在来線特急+新幹線乗継料金での比較になってしまうので正確な比較ではないが、津軽今別から東京まで18,530円、新青森から東京は17,350円で1,180円差だ。
新青森の駐車場は1泊で1,000円、2泊で1,800円と以降1泊毎に800円の加算になるが、2泊3日で東京に行くなら、無料駐車場のある奥津軽いまべつ駅の方がお得になってくる(1人なら)。

『カギになるのは停車本数と、駐車場台数か。』

もっとも、大前提として、奥津軽いまべつ駅停車本数の問題はある。
現在の蟹田駅の特急停車本数は上下20本に対し、津軽今別駅は上下4本しかない。
で、日本一乗降客数の少ない新幹線駅であるいわて沼宮内は上下17本しかない。

おおむね2時間に1本しか止まらないいわて沼宮内より本数が少なくなるとすれば、「本数なくて不便だから行かない」という事態になってしまう。
奥津軽いまべつ駅の停車本数は津軽今別の4本まで少なくなるとは思えないが、蟹田の20本も維持できるとも考えにくく、本数は気になる。
なんたって青函トンネルの速度規制もかかるわけで、新幹線建設費を負担した青森県や北海道から新函館北斗への速達性を強く求められれば、JR北海道が奥津軽いまべつの通過本数を多くすることも考えられる。



それと、駐車場台数。

外ヶ浜町のブログによれば、蟹田駅西口の駐車場台数は50台だが満車が続くので、2010年に東口の駅前広場にも20台分を新設したという(出典:http://www.town.sotogahama.lg.jp/blog/log/eid519.html)。

これに対し、奥津軽いまべつ駅に新設の駐車場は屋内48台、屋外34台、隣接する道の駅いまべつに38台の計120台分(普通車)になる(出典:http://www.pref.aomori.lg.jp/kotsu/traffic/okutsugaruimabetsu.html)。

意外と少ない……
いわて沼宮内はIGRと町営で232台あるので、ほぼ半分だ。

蟹田の現状を考えると、行楽シーズンには少なくとも屋内の48台分は満車になると思う。
普通に、道の駅に用があって立ち寄るだけのクルマもあるので、駅利用者だけで120台分あるわけではない。
駅の駐車場は82台分なのだ。
蟹田は東西あわせて70台分が埋まり、本来のスペース外に縦列でねじ込んで停めているほどなのを考えると、少ない気がする。

あまり駐車場台数が少なすぎて満車状態が続くようだと、奥津軽いまべつが敬遠される原因にもなってしまう。
蟹田は、その気になれば駅周辺の一般の駐車場を利用することもできるが、奥津軽いまべつは駅の周りに駐車場を持つような施設は無いに等しいので、途方に暮れることもある。
土地なんて有り余ってるんだし、平面のアスファルトの駐車場の建設費用だって莫大なわけじゃないんだから、せめていわて沼宮内並の200台はあってもよかったのに。


3,000人を割っている今別町の人口を考えれば、奥津軽いまべつ駅の利用者が増えて便利になる為には、五所川原など西北五津軽や、青森市西部から東津軽郡にかけての上磯地域からのパークアンドライド拠点としての機能を持つのが有効だと思うだけに、駐車場の台数は少ないんじゃないかと心配だ。
奥津軽いまべつ駅の後背地にあたる西北五津軽と上磯地域の人口を合わせれば、いわて沼宮内周辺の岩手町や八幡平市より人口が多いのに、「日本一乗降客数が少ない新幹線駅」になるのは惜しい。
数は少ないながらも、津軽半島と松前半島を直結する唯一の交通機関にもなるのだから、日本最下位から脱出出来る可能性はあるのだ。



次は青函トンネルをくぐった先の北海道最南端駅・木古内駅も意外と利用者が多そうだと予想する話。

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