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この秋、三沢の市街地を歩く用事があったので、以前から行ってみたかった十和田観光電鉄(十鉄・とうてつ)三沢駅に行くことにした。
ご存じのとおり、2012年に十和田観光電鉄線は廃止されてしまったが、2015年現在も三沢駅舎は健在だ。

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青い森鉄道三沢駅側から、十和田観光電鉄三沢駅に向かって撮った写真。
十鉄線の廃止の頃にヤフーのトップページに、新幹線のせいで乗客が減って廃止なんて東洋K済のO坂直樹記者の記事が載ったせいで、新幹線のせいで廃止に追いやられたという風説
が流れている気がするが、記者会見で白石社長が言ったように沿線の高校生の人口が激減し定期収入の下落が止まらなかったのが廃止の理由だと考えている。
県立高校の定員数の削減もあったしな

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東洋K済はリンクを消してしまったが、日本K済新聞は当時の記事が残っていたのでリンクを貼った。日K新聞も『東北新幹線は十鉄線と乗り継ぎ駅がなく、乗客減に拍車』なんて書いている。
でも、特急スーパーはつかりとか特急つがるを利用していた自分の印象だと、三沢駅に近づく際にJRの車掌がアナウンスする乗り換え案内を聞く度に「十鉄、接続悪すぎ」と思っていた。
この辺は当時の接続ダイヤをきちんと見ていないので、あくまで僕の印象であって間違っているかもしれない。
でも、江差線と奥尻のハートランドフェリーの接続がメチャクチャというのを時刻表で調べたとき、十鉄も同じだなと見た記憶があるので、それほど間違ってもいないかと思う。

そもそも十鉄三沢⇔十和田市の間で30分弱もかかっていたので、うまく乗り継げる便でも、十和田市⇔八戸駅で1時間とかかかってしまう。
新幹線延伸前から地元民は自家用車とか、急ぐビジネス客はタクシーとかで十和田⇔八戸を移動していただろう。道は教えないけど、地元民くらいしか知らない農道などを飛ばせば八戸駅から十和田市内まで30分だ。
十鉄に「あまちゃん」の大向大吉みたいな社員がいれば「恐るべしモータリゼーション」と言うことはあっても、新幹線新青森延伸は自社線の廃止と無関係だと知っていただろう。
東洋K済や日本K済の記者が、岩手こっちゃこいテレビの池田のようにぬめーっと現地に来て、真面目に取材していたとは思えない。

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十鉄三沢駅はホームだけは残っているが、レールはもう無かった。
以前、十和田市へ最寄りの高速インターを分析した記事を書いたときにチラッと出した県立三本木高校(十和田市)卒の友人は今、青森で教員をやっているが「俺らの頃に比べると三沢高校のレベルが上がった」という。
六ヶ所の原子力関連で全国各地から三沢に移住してくる電力会社員の子息で、ずば抜けて頭が良い生徒が三沢高校に入学しているというのもあるようだが、十和田観光電鉄の廃止で、三沢や東北町(乙供・上北町)、おいらせ町北部(旧下田町)から三本木高校に通えなくなっている生徒が増えているのもありそうだという。
三沢高校も昔から上十三学区の進学校であることに疑いはないが、上十三学区で随一の進学校といえば、三本木高校である。毎年のように北海道大・東北大といった旧帝大や弘大など国立大医学部に合格者は出していたし、僕が高校生の頃には東京大学や東京工業大の合格者も出して、東奥日報が記事にしたこともあった。

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上十三学区の生徒で三本木以上の高偏差値高校を目指すとなれば、隣接する三八学区の八戸高校になるが、同校の位置する八戸市長者4丁目は八戸駅はもちろん八戸線の本八戸駅などからも歩いて通える距離ではないので、上十三学区から通うなら下宿になる場合が少なくないという。
つまり、三沢市周辺から旧帝大や難関国立大を目指す生徒の場合、三本木高校八戸高校も自宅から通学するには難しい環境になっているわけで、長時間通学や下宿を敬遠した優秀な生徒が三沢高校を選択する傾向が出ているという。
彼は「三本木高校は中高一貫でやれるから、三沢高校に抜かれないと思う」としつつ、2011年度に三沢高校から史上初の東大合格者が出たのは衝撃だったと言った(注:ただし、十鉄廃止前ではある)。

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「弘前高校の次はもう弘前南高校じゃなく弘前中央高校でしょ。」とは、中弘南黒学区で非常勤講師をやっていた同級生の話。弘前市南部の郊外に位置するため親が送り迎えしないと通学が難しい弘前南より、弘前城の隣に位置し市街地から通学しやすい弘前中央の方に人気が出ているという。
さらに2012年、弘前中央も三沢同様に東大合格者を出した。弘前市内の高校で東大合格者を輩出したのは弘前高校と東奥義塾に次いで弘前中央が3校目だが、皮肉なことに、この年は弘前高校から東大に合格者は0であったので、ますます弘前中央の躍進が強調される形になった。

過疎や少子高齢化で鉄道ローカル線や路線バスの利用者がどんどん減って、それが便数減や廃止を招いて不便になるという悪循環で、三本木や弘前南のように通いにくい高校が出てくる。
なんだかんだ下宿には金がかかるし「18歳までは親元で育てたい」と思えば、通いやすい距離で実績を出している県立進学校の人気が上がり偏差値が上昇するのは自然なことだろう。三沢高校弘前中央高校の躍進はその好例だ。

同一市内に進学校が複数所在する青森・八戸・弘前の場合は、今後長期スパンで、青森高校・八戸高校・弘前高校周辺の空き家率や地価の変動を見ていくと、何か面白い傾向が見えるかもしれない。

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「山菜わかめそば」を頼んだら、駅そばらしくあっという間に出て来た。
食べログなんかを見てみるとボロクソな書き込みも多いが、わかめというか海苔の風味が好きな僕にとっては美味い味。
店に入ったのは午前11時前だが、その時間でもカウンターには僕を含めて客が5人いたので人気店で間違いない。

ひとつ前の写真にチラッと写っているが、ABAの木邨アナウンサーと、三代目 J Soul BrothersのELLYのサインが飾られていた。
少し離れた席にいたカップルらしき男女の会話を聞いていたら「ELLYん家は三沢の街の中だし三沢高校だから高校時代はそんなに食ってないんじゃないか」と聞こえてきた。
今でも、三沢商業の生徒は学校帰りに自転車で立ち寄って食べたりするようだが、やはり以前は十鉄を介して三沢⇔十和田で通学をしていた高校生で賑わっていたようだ。

ELLYのように三沢市街地から三沢高校に通っていた人なら、日常的に食べることはなかったという人も多いかもしれない。
が、長い歴史の中で、進学とか就職で上京する際、親に見送られて三沢で最後に食べたのが「とうてつの駅そば」だという思い出の人もたくさんいるはずだ。

十鉄三沢駅舎もだいぶ古い建物なので、10年後20年後も残っているかどうかだいぶ微妙だ。
昭和のレトロな雰囲気で駅そばを食えるという「貴重な日常」があるうちに、たまに食べに行くのを続けたいと思う。
今もクルマを運転できない高齢者や高校生をバスで運び続けている、十鉄の貴重な収入の一部だしね。

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