山口県には山陽自動車道が2本ある。

1本は、遠く兵庫県の神戸JCT中国自動車道から分岐し、姫路や岡山、倉敷、福山、広島などの主要都市を経由して山口JCT中国道に再合流するもの。
世間一般で「山陽道」といえば、こちらのイメージだろうと思う。


ところが、山口の地図を見ていると、もう1本、下関JCTに接続している山陽道もある。

山陽道を名乗る路線は兵庫の木見支線や岡山の早島支線もあるが、事実上それぞれ直結する神戸淡路鳴門道瀬戸中央道と同じ路線のような存在である。

四国に向かう木見や早島のそれに対し、下関JCTと接続する山口の山陽道の先には本四架橋は存在しない。

この不思議な路線、正式名称は山陽自動車道宇部下関線という。

山陽道 支線一覧図
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その名の通り、宇部市の宇部JCTから下関市の下関JCTまでを結んでおり、その距離は28kmに及ぶ。
木見支線は9.6km(ICは神戸西の1か所)、早島支線は3.4km(ICは早島の1か所)であり、それらに比べると宇部下関線は倍以上の距離があり、途中のICも宇部小野田埴生の3か所(宇部JCTを入れれば4か所)に及ぶ。

距離で比較すれば、首都圏では東京と横浜を結ぶ全長16.7kmの第三京浜より10km以上も長く、東京と千葉を結ぶ京葉道路 篠崎−千葉東JCT(江戸川区−千葉市)の29.7kmに匹敵する。
西日本で言えば、西九州自動車道 佐世保中央−武雄JCTの29.9kmが近いところだろうか。


インターチェンジ(IC)が1か所程度しかない短距離支線ならいざ知らず、約30km弱の距離と途中3か所のICを持つほどの宇部下関線が、個別の名称を与えられることなく存在していることにはたいへん興味がわく。

興味を持って地図をよく見てみると、宇部JCTから自動車専用道路のみで、山陽自動車道 山口南ICまでつながっていることに気が付いた。

さすが内閣総理大臣を8人も輩出している山口の政治力のなせる業か、すさまじいまでのインフラの二重化ではないか。
常磐道が全通して幾分マシにはなったが、東北地方は最近まで東北道が事故やら悪天候やら交通集中やらで梗塞道路になった日には逃げ道となる高速道がなかった。

そんな二重化を達成したインフラとして宇部下関線経由ルートがどのような概況にあるのか、平成22年の道路交通センサスを用いて、従来の山口JCT・中国道経由ルートと比較をした。

山陽道 本線と宇部線 比較図

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(平均旅行速度は昼間12時間上下平均値)


経由ルート距離平均旅行速度所要時間
山口JCT・中国道49.9km80.2km/h37分21秒
宇部JCT・宇部下関線47.4km73.6km/h38分37秒


なるほど。
距離では宇部下関線経由ルート2.5kmほど短絡化している。

一方で、山口JCT・中国道経由ルートが全区間4車線を維持しているのに対し、全体の7割近い32.1kmにわたって暫定2車線対面通行となる影響か、宇部下関線経由ルート平均旅行速度は73.6km/hに留まることから所要時間も38分37秒かかり、山口JCT・中国道経由ルートより遅い結果となった。

ちなみに、平成22年のセンサス調査時は、山口宇部有料道路が文字通り有料だったが、現在は無料開放されている。
有料当時は90.0km/hという高い速度が出ていたが、この無料開放の影響で交通量が増え、平成27年の道路交通センサスでは平均旅行速度が低下し、所要時間が長くなっている可能性があるのでご留意を。

余談ながら、山口宇部有料道路「高速自動車国道に並行する一般自動車専用道路」という奴だったわけだが、実はこれ、山口県道6号という路線だ。

全国で、都道府県道が「高速自動車国道に並行する一般自動車専用道路」になっているのは他に、わが青森県第二みちのく有料道路こと青森県道8号しかない。

山口が無料開放するときに、ETC設備を安価で譲ってもらうこととか出来なかったもんだろうか、青森県道路公社さん。



最後に、料金の比較を。

宇部下関線を経由すると、初乗りが2回になる分、長距離だと損するかなと思ったが、それほどでもないようで。

山陽道 支線 料金比較
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例えば、小月ICからなら、広島ICまで走っても宇部下関線の方がお得なようだ。

さすがにそれ以上の長距離になれば損するケースが多いようだが、九州最南端の鹿児島ICから阪神高速11号を経由して大阪都心へ接続する中国池田ICまで走っても、普通車で700円しか違わない。

交通量をみて、混んでいそうなら宇部下関線を使うというのは、結構有効な手段であるようだ。

山口県、道路インフラが進んでいて羨ましい。

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