さて、いつも道路交通センサスで遊んでいる当ブログ、今日は同じ国土交通省が出している大都市交通センサスで遊ぶことにします。

大都市交通センサスを利用することで、3大都市圏(首都圏、近畿圏、中京圏)の鉄道の駅間の利用者数を把握することができます。

今回は、東京都庁が所在する新宿と、東京西部を代表する50万都市・八王子の間の鉄道の輸送量を見ていきたいと思います。


新宿・八王子間の鉄道と言えばJR中央線京王線であります。
前者が中野、吉祥寺、三鷹、立川を経由し八王子に至るのに対し、後者は明大前、調布、府中を経由し京王八王子に至ります。

といっても、多摩地区に土地勘のない方はわからないでしょうから、新宿・八王子間の鉄道網を地図に落としてみました。

新宿・八王子高尾間 鉄道地図
【地図はクリックで拡大します】


こんな感じ。
北側を走るのがJR中央線、南側を走るのが京王線と、沿線で住み分けているようにみえて、ライバル路線でもあります。

新宿に通う八王子市民の需要をめぐって熾烈な競争になっているばかりか、その中間の都市をめぐっても両社は競合関係にあります。
その理由は、京王線の運賃の安さ。
乗換の不便があっても、分倍河原駅や吉祥寺駅を介し、JRから京王線に乗り換えている客は少なくありません。
わたしも金のない学生時代には、京王線のお世話になったものです。

両社の関係についてはこの辺にして、駅間利用者数を見て行きましょうか。


★ JR中央線 新宿−八王子−高尾

まずはJR中央線の方から。
いわゆる中央線快速(特快含む)だと思っていただいて良いのですが、未明・深夜帯の快速が走っていない時間の各駅停車分も含む数値です。

 ただし、三鷹以東で並行するJR中央・総武線各駅停車は除きます。

新宿−高尾間の各駅間の定期券利用者数(片道)を示したのが下の図であります。

中央線新宿高尾
【図はクリックで拡大します】


ご覧の通り、新宿付近では30万人を超える利用者がいます。
八王子に向かうに連れ漸減しますが、吉祥寺で一度、回復に転じます。
吉祥寺では、渋谷⇔吉祥寺間で山手線・中央線を短絡するライバルの京王井の頭線が接続し、同線の利用客が流入してきます。
続いて、三鷹で回復するのは、並行するJR中央・総武線各駅停車の終点が三鷹なので、三鷹より西へ向かう乗客がJR中央線快速に乗り換えて来るからでしょう。
(わたしもそうでしたが、満員電車を避けたくて空いているJR中央・総武線各駅停車に敢えて乗る客も少なくないです)

武蔵境からは再び減少に転じます。
立川を目前に国分寺で微増するものの、新宿−東中野で30万を超えていた利用者数は、国立−立川では18万と2/3未満まで減少しています。

で、立川では8万人近く減。
理由はJR青梅線が分岐して行くからです。
分岐直後のJR青梅線 立川−西立川の利用者数は78,000人に達しています。
それでも、JR青梅線や多摩都市モノレールから八王子方面へ向かうの流入も多少あり、JR青梅線の分がそのまま減るわけでもないのでしょう。

一気に激減するのは、立川から
立川までは利用者数が18万人を超えているのですが、次の日野を過ぎると10万を割り込んで91,000人と、遠田手前では新宿付近の1/3を割るところまで減少します。

八王子になると、前述の通り、ライバルの京王線が出てきますので、おそらくそちらにも客を奪われているのでしょう。

末端の高尾はまた京王高尾線の接続駅でもあり、こちらも西八王子を境にほぼ半減し、新宿直後で30万を超えていた利用者が高尾手前では12分の1の24,000人まで減るのです。



★ 京王線 京王新宿−京王八王子

次はライバルの京王線を。

こちらは高尾までではなく、あくまで京王線ということで京王新宿−京王八王子の定期券利用者数(片道)をグラフ化しました。

京王線新宿京王八王子
【図はクリックで拡大します】


JR中央線よりやや少ない約27万人からのスタートです。
新宿を離れるにつれ漸減という点では、JR中央線と同じです。

こちらの特徴として、代田橋を過ぎるところまで漸減し、京王井の頭線と交差する明大前で一度、大きく回復するのが挙げられましょう。
新宿と並ぶ巨大ターミナルである渋谷から井の頭線で来た乗客が、明大前で乗り換えて来るのです。
明大前では再び27万の大台に乗せ、それどころか新宿−初台を上回り京王線内で最大の乗客数に達します。

それ以降は、本当にきれいに漸減。

調布で、京王相模原線が分岐し、約19万の利用者数が一気に約11万まで激減します。
京王相模原線の調布−京王多摩川の利用者数が約78,000人なので、きれいに別れているようです。

以降、再び漸減。
東府中で10万を割り、高幡不動で5万を割り、京王高尾線が分岐する北野までは35,000近い利用者がいますが、北野を過ぎると京王八王子手前では16,000人と、新宿直後の約1/17まで減ります。

ご覧の通り、JR中央線でも京王線でも、末端の八王子まで来ると大幅に利用者数は減る訳であります。

今回は出していませんが、千葉方面に向かうJR総武線や、熱海方面に向かうJR東海道線でも同じような傾向が出ています。
横浜ですら、品川から末端の横浜に近づくにつれ利用者数が減るのです。

起点に近いほど利用者数が多いというのは、起点に近い方に多くの人が住んでいるからだけではなく、遠方からの積み重ねでどんどん増えた結果でもあると考えるべきでしょう。



そんなわけで、末端区間の利用状況だけをみてどうのこうの騒ぐのはナンセンス極まりないと考えるのであります。

仮に、八王子付近の利用者数だけを考えて、「八王子発着の列車は50,000人も捌ければ十分だ」なんて便数減とか車両数減なんてやろうもんなら、途中の立川や調布などでどんどん増えてくる乗客を捌ききれず、新宿に着く前にパンクするわけです。

しかし、昨年の北陸新幹線開業当初の乗車率47%報道といい、まあ理解できてないマスゴミが多いように思います。
(都合悪くなったのか、後からしれっと内容書き換えたメディアも知ってるよ、東洋K済さん。)

北海道新幹線がらみでも北海道のとある地方局が「26%は低い」とネガティブな論評をやってたりしましたが、新青森、八戸、盛岡、仙台と途中で乗ってくるから末端区間は別に少なくても悪くないのです。
そりゃあ、一度離陸したら途中で乗ってこない航空機の羽田函館便が搭乗率26%だったら減便やむなしでしょうけれど、鉄道は途中で乗ってくるという視点が抜けてちゃいけません


一番恥ずかしいところでは、新青森開業直後に、利用者数を見ないで乗車率だけ見て「乗車率が低下した」と騒いだ県紙がありました(爆)
(6両編成で4列シートの特急と、10両編成で5列シートの新幹線じゃ定員が全然違うってのは小学生でもわかるだろうに、ねえ東O日報さん)



しかし、クルマ社会の地方マスコミの社員なら鉄道利用経験が少なくてわからなかった、というのも理解できますが、電車を利用しまくってるはずの中央のマスゴミが理解できてないというのは、どうにかならんもんでしょうかねえ。

中央マスゴミの皆様は運転手付きの黒塗りばっかり乗っているからなのか、それとも学生時代含めて山手線内から出たことがないのか、それともやはりロクに取材もしないでデスクでふんぞり返っているからなのでしょうか?

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