「北の国から」には様々な場面でラジオが登場する。

最初の家には電気がないからテレビがなく、第9話で東京から令子がラジカセを持ってくるまでラジオもなかった。
正吉の家や中畑木材、草太兄ちゃんの家でテレビを見ることは出来たが、「紅白歌合戦」でさえラジオで聴くような環境であった。
(年末の描写も非常に多いドラマだ)


「北の国から」の色々な場面で出てくるラジオだが、聴いていたのは何なんだろう?

番組名まで特定できるところとしては、前述のとおり「紅白」が限界のように思う。
しかし、放送局くらいまでは特定可能かもしれない。

今回は久々のテレビラジオ受信ネタで書いていきたい。


まず、北海道のAM/FMラジオ環境について簡単にまとめておきたい。

当然、NHKは全国放送なのでAMの第1・第2放送と、FMの3波がある。
民放は、AM局でHBCラジオSTVラジオの2局あり、FMではAIR-G'FM NORTHWAVEの2局、つまりAMとFM合計で4波になる。
以上、NHKと民放で合計7波ということになる。
(他にラジオ日経(旧ラジオたんぱ)もある。)

これらのどれかを聴いていることになろう。
このうち、娯楽放送をやっていないNHK第2を聴いていると思しき場面は出てこないので、消去法で除外させていただきたい。
また、FM NORTHWAVEは開局が1993年と遅く、「'95秘密」以前には存在しない。
「'95秘密」まで来ると、さすがの黒板純もテレビを保有しているのでラジオの存在感が一気に薄くなっており、純がテレビの無い生活に戻った「'2002遺言」の舞台となる羅臼では中継局がない。
よって、FM NORTHWAVEも対象から外しておきたい。

となれば、候補として残るのは5波。
彼らの生活の舞台であった富良野・羅臼で受信できそうな送信所を5か所くらいまで絞ったのが下表だ。

送信所名放送局別周波数
HBCラジオSTVラジオAIR-G'NHK第1NHK FM
旭川864kHz1197kHz76.4MHz621kHz85.8MHz
富良野84.2MHz
札幌1287kHz1440kHz80.4MHz567kHz85.2MHz
根室801kHz1062kHz1584kHz85.6MHz
中標津1341kHz89.9MHz

こんなところだろう。

富良野には民放ラジオの中継局がない、ということになるが、全国で聞けない地域があることを許されていないNHKもAMは置いていない。
ということは、旭川局のAMが普通に富良野でも受信できるということだろうから、HBCSTVも受信できることになろう。
(HBCラジオ公式発表のサービスエリア図でも富良野はエリア内のようだ)

富良野で受信できるのかどうか怪しいのはAIR-G'になる。

まずは各場面ごとに考察して行こうか。


「'2002遺言」 中標津から羅臼への帰路


時系列でいうと逆になるが、簡単な方から順番に見ていく。

「'2002遺言」では、根室管内中標津町にある水谷涼子先生の家から羅臼へ向け、純が結を助手席に乗せて走るシーンが出てくる。

ラジオから流れてくるのは山口百恵の「秋桜」。
「北の国からのテーマ」を作曲したさだまさしの楽曲だ。

さすがに最後の作品というだけあって、カーラジオにもプリセット機能が付いていて周波数を特定できた。

DSC_0717

1062kHz

普通に考えれば、STVラジオ根室局だろう。
夜なので遠隔地の大出力局の可能性も考慮してみるが、1062kHzは韓国KBS清州局(50kW)くらいしかない。
日本語で放送しているわけだから、STVラジオと判断する。

ところで、STVラジオを運営しているのは日テレ系の札幌テレビ放送
それに対し、「北の国から」に協力しているのはフジ系の北海道文化放送(uhb)
(一応、uhbAIR-G'と資本関係があるが、AIR-G'は道東のエリアは釧路までで、根室地方には中継局がない。)
道内の事情を考えれば、uhbにとって商売敵の局の採用だ。

ただ、フジテレビと同じフジサンケイグループに属するニッポン放送の番組を、北海道内で比較的多くネットしているのもSTVラジオということになる。
HBCラジオはテレビと同じくラジオもTBSをネットしていることが多いので、「HBCよりはSTV」としたのだろう。

色々複雑な大人の事情がありそう。


第6話 麓郷から八幡丘へ帰る草太の車中


雪子がプレゼントにマフラーを編んでくれている―と勘違いした草太兄ちゃんがノリノリで帰宅する際に大音量で音楽を聴いている場面。

これは正直なところ、ラジオではなくカセットテープの可能性もある。
ただ、雪子にご執心の草太をつららが強引に連れ戻し大音量の中でキスをする場面では「ポップス」と書かれたテープの背が映りこんでいる。
この場面ではテープの背が映らないので、ラジオの可能性を信じて考えていこう。

DSC_0713

54〜70

これは×10で540〜700kHzの間という意味だ。
チューニングはどちらかと言えば700に近い方にあるので、600kHz台(603〜693)かと思われる。

富良野付近で当てはまりそうなのは、NHK第1旭川局621kHzくらいしかない。

しかしこの場面、結構なハードロックが流れている。
あのNHK第1がまっ昼間から流しそうな選曲とは少し信じがたい。
民放だとHBCラジオ旭川局864kHzが周波数的に一番近いが、だったらチューニングの赤い針が70より右にないとおかしい。

やっぱりカセットテープなのかな?


第9話 純と雪子が八幡丘で遭難した車中


こちらは猛吹雪で視界不良の中、雪子がハンドル操作を誤って雪藪にスタックしてしまった場面。
車中で凍えながらラジオを聴いて気を紛らわせようとしていた場面のチューニングだ。
画質が悪いのは仕様だ。

DSC_0716

70〜90

これも×10で考えると700〜900kHzの間という意味だが、チューニングの針は900に近い位置にある。

今度こそHBC旭川局864kHzだろう。

ちなみに、草太兄ちゃんのクルマはおそらく父親の北村清吉(大滝秀治)の所有物だと思われる。
夏の間、草太兄ちゃんは原付を自分の足にしているが、冬季だけは親のクルマを利用していたと考えられる。

これに対し、雪子がクルマを借りたのは吉本家。
所有者はおそらく、草太の彼女・つららの兄である吉本辰巳だろう。

北村清吉は年齢的に既に60を超えていそうだが、吉本辰巳はまだ30代から40代前半だろう。
この二人の年齢層の違いを反映して、年寄りの北村清吉が所有するクルマはNHK、若い吉本辰巳のクルマは民放のHBCにした―
あくまで仮説だが、倉本聰はかなり緻密に背景を設定するというから、もしも本当に設定した上での演出なのだとしたら凄い。

ちなみに、HBCuhbと同じく北海道新聞が設立に関与しているから、道内事情で考えれば純粋な商売敵であるSTV(道新の敵・北海タイムスが設立)よりはHBCの方が近しい局ということになろう。

そもそも1980年って、まだHBCの聴取率がSTVに逆転される前みたいだな。


「'89帰郷」 蛍が聴いていたれいちゃんリクエスト


これは難しいぞ。
何が難しいって周波数がまったくわからないのだ。

ヒントとしてあるのは、FM受信用のロッドアンテナを目いっぱい伸ばしていることだ。

富良野にはわざわざNHK FMが中継局を置いている。
ということは、旭川局のFMは良好に受信するのが難しいのだろう。
つまり、麓郷ではAIR-G'旭川局を受信するのは困難だということになる。

DSC_0718DSC_0719

AIR-G'の可能性にも賭けてみたいが、同社は写真のような単独の本社屋を持っていない。AIR-G'の本社は時計台ビルの中にある。
繰り返しになるが、この時点でFM NORTHWAVEは未開局だ。

となれば、NHK FM旭川局84.2MHzを蛍は聴いていたと考えればよいだろうか。


しかし、この局舎、NHKじゃないような気がする・・・


「北の国から」ロケ地巡りをしている同業者のサイトを見ていても、放送局の情報が見つからず、結論を出すに至っていないが、
なんとなくuhbの本社っぽい気がする。

ということで、ここだけは結論出せずorz


札幌市中央区南12条西24丁目?

DSC_0720
さて、れいちゃんが尾崎をリクエストした局については答えにたどり着くことが出来なかったわけだが、「北の国から」は昔の"おおらかな時代"を見るのも窮屈な現代の楽しみの一つ。
"おおらかな時代"を全面的に肯定するつもりは毛頭ないが、「昔はこれでも許されたんだ」というシーンを眺めるのは楽しい。
明らかに飲酒運転していると見られる場面は肯定できないが、酒を勧められた草太が「もう1点しか残ってないから」と辞退する所なんかは笑える。でも、どちらも今のテレビじゃ放送不能な表現だろう。

"おおらか"と言えば、ラジオ局でれいちゃんの葉書を探し出して住所を調べて家にたどり着くなんてことは現在じゃ絶対に不可能だろう。

それから札幌市中央区南12条西24丁目って、それ旭ヶ丘2丁目のことか?という架空地名へのツッコミはよしておくにしても、れいちゃんがバイトしていたファミレスは豊平区福住1条1丁目だ。
最寄りの札幌市電の西線11条からだと、西4丁目→大通で札幌市営地下鉄東豊線に乗り換えても福住駅まで40分くらいはかかるわけで、40分以上もかけてファミレスにバイトに行くかなという気はする。

こうやってあまり細かいことは気にしないでおいた方が良い、とうことか。

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