高速道路の制限速度が段階的に110km/h、120km/hに引き上げられるのだという。

当然、設計速度140km/hで基本的に整備された新東名伊勢湾岸新名神だろうと思っていたら、まさかの岩手県から東北自動車道が選出

対象となるのは、花巻南IC⇔盛岡南IC
だという。


首都圏の高速道路を走っている自分は、岩手なんかより茨城常磐道千葉東関道の方が遥かに高速でぶっ飛んでる実感がある。

実情に合わせるなら常磐道の方が先のような気もするが、3月24日の朝日新聞によれば、
『警察庁は、120キロで安全に走れる造りの道路▽事故が少ない▽実際の走行速度が100キロを超えている▽渋滞が少ない――といった条件を満たせば、規制速度を引き上げられると判断した。』
とある。

なるほど。

 ● 道路構造令で設計速度が毎時120キロメートル以上
 ● 事故多発区間ではない
 ● 実勢速度が100km/h以上
 ● 渋滞頻発区間ではない

4条件を満たす必要があるようだ。

常磐道東関道渋滞するし、派手にクラッシュしてるのを見かけることも少なくない。

それを考えると、花巻南IC⇔盛岡南ICで渋滞に遭遇した経験はない。
意外だったが、岩手は制限速度向上の実験をするには適地なのだろう。

◆ 岩手県の高速道路をデータ化してみる。


さっそく、岩手県の高速道路の実勢についてみていきたいと思う。

対象とするのは高速自動車国道に限ることにするので、三陸道八戸久慈道などは除外する。

岩手に存在する高速自動車国道は、下記の4路線になる。

東北自動車道(東北縦貫自動車道弘前線)
八戸自動車道(東北縦貫自動車道八戸線)
釜石自動車道(東北横断自動車道釜石秋田線)
秋田自動車道(東北横断自動車道釜石秋田線)

国交省の道路交通センサスから、この4路線の区間ごとの平均旅行速度を算出しよう。
もっとも、3月25日現在で平成27年版はまだ公表されていないので、最新版は平成22年版になるが、平成22年と言えば民主党政権で高速無料化実験がやられていた年だ。
岩手県内でも無料路線が選ばれており、普段高速を走り慣れていないドライバーを含め、非常に多くの車両が流れ込んだ年である。
H22年版はある意味で貴重なデータになっているわけだが、無料実験が終了済みの現在の実勢に近いものとして、ひとつ前の平成17年のデータを用いることにした。
データを落としたのが、下図である。

岩手県 高速自動車国道 平均旅行速度図(H17)
【地図はクリックで拡大します】


図にしてみれば一目瞭然で、やはり将来的に120km/h制限に緩和される花巻南IC⇔盛岡南ICの平均旅行速度は概ね90km/h台になっている。

平成17年のデータで東北道最速区間となるのは、福島県の福島松川SIC⇔福島西ICの10.2km区間で観測された94.4km/hであるが、花巻IC⇔紫波ICの12.8km区間で観測された93.8km/hというのは第2位である。

なるほど、あまり印象にないが、確かに花巻南IC⇔盛岡南ICの実勢速度は高速であるようだ。


次に、交通量もみてみよう。

ちなみに、暫定2車線から4車線へ整備される目安の交通量は1日10,000台だそうである。
暫定2車線の場合、車線1あたり5,000台を超えるようだと渋滞が発生する時間帯も出てくるという計算だ。
車線数が増えれば、低速車を追い越すことも可能になり、5,000台を越えても耐えられることになる。

● 岩手県 高速道路区間別 交通量(2013年)
東 北 自 動 車 道
区間名車線数交通量/1日交通量/車線
若柳金成⇔一関426,793台6,698台
一関⇔平泉前沢426,652台6,663台
平泉前沢⇔水沢427,048台6,762台
水沢⇔北上金ヶ崎429,779台7,445台
北上金ヶ崎⇔北上JCT430,397台7,599台
北上JCT⇔北上江釣子428,009台7,002台
北上江釣子⇔花巻南427,890台6,972台
花巻南⇔花巻JCT427,886台6,971台
花巻JCT⇔花巻429,449台7,362台
花巻⇔紫波430,124台7,531台
紫波⇔盛岡南429,036台7,259台
盛岡南⇔盛岡422,938台5,734台
盛岡⇔滝沢420,349台5,087台
滝沢⇔西根418,014台4,504台
西根⇔松尾八幡平416,189台4,047台
松尾八幡平⇔安代JCT415,423台3,856台
安代JCT⇔安代48,937台2,234台
安代⇔鹿角八幡平48,464台2,116台
八 戸 自 動 車 道
区間名車線数交通量/1日交通量/車線
安代JCT⇔浄法寺48,564台2,141台
浄法寺⇔一戸48,133台2,033台
一戸⇔九戸47,933台1,983台
九戸⇔軽米46,688台1,672台
軽米⇔南郷46,777台1,694台
釜 石 自 動 車 道
区間名車線数交通量/1日交通量/車線
東和⇔花巻空港23,442台1,721台
花巻空港⇔花巻JCT24,428台2,214台
秋 田 自 動 車 道
区間名車線数交通量/1日交通量/車線
北上JCT⇔北上西26,714台3,357台
北上西⇔湯田27,040台3,520台
湯田⇔横手26,679台3,339台
国土交通省「道路統計年報2015」より作成


120km/hへの緩和が予定されている花巻南IC⇔盛岡南ICの交通量は29,000台前後となる。
首都圏であれば50,000〜100,000台に達する交通量も、仙台を越えて岩手までくればこの程度まで減る。

まあ、岩手の高速道路は他の路線も含め、滅多に渋滞しない数値とみてよかろうか。



ちなみに、やろうと思えば青森県内でも、100km/h規制の大鰐弘前IC⇔青森ICで実施できそうな120km/h緩和。

青森が今回選ばれなかったのは、本州最北端という末端区間に位置し、交通量が岩手に比べると少なく、その恩恵を受けるのも青森県でも津軽地方住民とフェリー利用の道南地方住民程度しかいないからではないかと考える。
それに対し、岩手での実施であれば、岩手県民のみならず太平洋側の南部地方を含めた青森、秋田県民も恩恵を受けられる。

なにぶん、我が国の道路史で初の高速道速度規制緩和である。
多様な意見を集めるためにも、岩手での実施というのは合理的ではないかと思う。

結果次第で、いずれは北海道や青森、宮城などの100km/h区間にも緩和があるかもしれない。
楽しみだ。

2017年11月10日追記
E4 東北道 花巻南−盛岡南 昼間12時間平均旅行速度

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