5月1日の東奥日報に、北海道新幹線の開業で、今別町の高校生が青森市内の高校に通学可能になったという、下記のような記事が出た。
(以下引用)

◆ 新幹線通学、部活動もできます

新幹線通学は快適で、部活動にも参加できます−。北海道新幹線・奥津軽いまべつ駅が開業した青森県今別町は今春から、青森市などの学校に通う同町在住の高校生に対して新幹線通学定期券代の助成を始めた。若者の定住対策と新幹線利用促進の一環。同町から新青森駅へは在来線で約1時間10分かかるが、新幹線だとわずか15分。青森市内の高校で学び、部活動にも励む同町の高校生2人の新幹線通学に同行した。
 4月28日午前7時すぎ、奥津軽いまべつ駅にバレー部の大きなかばんを肩に掛けた青森西高1年の伊藤綾香さん(15)の姿があった。同6時45分ごろに家を出てバスで駅までやってきた。少し遅れて来たのは、青森北高1年の小鹿夏海さん(15)。「おはよう」。駅構内の待合室で落ち合った2人は同7時26分発のはやぶさ10号東京行きに乗り込んだ。
 今年3月に今別中学校を卒業した2人は、バレー部でともに汗を流した親友だ。伊藤さんは高校でもバレーを続け、小鹿さんは陸上部で長距離走に挑戦している。今別中によると、同校を今春卒業し、新幹線で通学しているのは、この2人という。
 2人は行きも帰りも一緒。新幹線車内で学校や友人の話など、おしゃべりをしていると15分はあっという間だ。同7時41分、新青森駅に到着。駅を出ると、伊藤さんは徒歩、小鹿さんは自転車でそれぞれの高校に向かった。学校に着くのは同8時ごろ。
 北海道新幹線開業に伴い、今別町は本年度から、新幹線通学定期券代の3分の1を助成している。奥津軽いまべつ駅から新青森駅までの通学定期券代は月約4万8千円(3カ月定期の場合)で、2人の場合は月約3万2千円(同)の負担で済む。青森北高によると、同市内の下宿代の相場は月約5万〜5万5千円で、新幹線通学より高いという。
 町では在来線通学でも同じく助成しており、同町の津軽二股駅から新青森駅までの定期券代の自己負担は月1万円以下。だが約1時間10分かかる上、朝は午前6時19分発の列車に乗らなければ学校に間に合わない。帰りも津軽二股駅に着く最終列車に間に合うには新青森駅午後5時37分発に乗る必要があるので、学校には遅くまで残れない。
 「新幹線駅ができたから部活に入れた」。2人は口をそろえる。この日、午後7時半ごろに部活動を終えた伊藤さんと小鹿さんは同8時ごろ、再び新青森駅で合流した。待合室で学校での出来事などを報告し合って同8時42分、新函館北斗行きのはやぶさ29号に乗った。同8時58分、奥津軽いまべつ駅に到着し、2人はバスで帰宅した。
 「最初は新幹線で通学するのに少し違和感があったけれど、あっという間に着くし、とても楽です」と伊藤さん。小鹿さんは「新幹線がないころは、高校では部活に入れないと思っていた。毎日が充実している」と話した。
 町企画課の太田和泉総括主幹は「定住人口確保のためにも、高校生には町から通ってほしい。ただ現在のダイヤでは、新幹線通学が可能な青森市の高校は限られる。さらに多くの高校生が新幹線で通学できるよう、ダイヤ改正をJRに働きかけていく」と述べた。(引用ここまで)  ―2016/05/01 東奥日報



記事の最後の方にも書かれているが、今別から北海道新幹線で通学可能な青森市内の高校は本当に限られる。

というか、新幹線では通えない高校の方がほとんどだろう。

青森市街 鉄道駅と高等学校所在地
【地理院地図を元に作成(クリックで拡大します)】

旧浪岡町を除く青森市内には県立高校が9校私立高校が3校の計12校ある。
このうち、青森市外から鉄道で遠距離通学してくる生徒でも通いやすい、駅から徒歩圏内に位置する高校というのは少ない。
そりゃ、1時間でも2時間でも歩けばどの高校へも徒歩で行けるだろうが、高校生の平均的な徒歩の速度を4km/hとして、徒歩15分程度で行ける1km以内の所までを徒歩圏内と定義したい。

そうすると矢田前駅から約300mの青森東高校、筒井駅から約400mの青森高校、野内駅から約500mの青森工業高校、新青森駅から約700mの青森西高校、油川駅から約800mの青森北高校5校が駅から徒歩圏内ということになる。


特別豪雪地域にある青森市の場合、鉄道駅から徒歩圏内にあるかどうかというのは特に重要だ。

列車の場合、東京や仙台のようにちょっとやそっとの雪程度で遅延とか運休することは青森ではあまり多くない。
しかし、11月下旬から3月下旬まで冬の約4か月間は自転車通学が不可能になる。
冬の間は青森市営バスも定刻ではまずやってこないし、遅延も日常茶飯事だ。



北海道新幹線の開業は、今別や三厩など津軽半島北部から、鉄道駅に近い5校(青高、東、西、北、工業)への通学を可能にしたのだろうか?

最新版のダイヤから、みてみる。

津軽半島北部から青森市街へ 朝の鉄道ダイヤ(2016年5月現在)
線名駅名津軽線
ルート
北海道新幹線
ルート
津軽線三厩06:04
今別06:11
津軽二股06:19
北海道新幹線奥津軽いまべつ07:26
新青森(着)07:41
奥羽本線新青森(発)07:4108:03
津軽線蟹田(着)06:45
蟹田(発)07:05
油川07:37
青森(着)07:4607:4708:09
青い森鉄道線青森(発)07:5208:0808:33
筒井07:5808:1408:38
矢田前08:0708:2308:46
野内08:1008:2608:48


『津軽二股⇒奥津軽いまべつの乗換は非現実的』

まず、朝の通学時間帯に走っている北海道新幹線は、新函館北斗6:35発の「はやぶさ10号」しかない。
この「はやぶさ10号」は、奥津軽いまべつ7:26に着く。

奥津軽いまべつ駅は、津軽線・津軽二股駅に隣接しているのだが、7:26「はやぶさ10号」に接続する津軽線の普通列車蟹田行は三厩6:04発・今別6:11発で、津軽二股着が6:19の便しかない。

津軽二股奥津軽いまべつでの乗換待ち時間が1時間7分。

今別や三厩から青森への新幹線通学を考えるのであれば、今別町の巡回バスに乗るのが現実的だろう。
巡回バスは三厩駅前6:44発・今別駅前発6:57発で、奥津軽いまべつ駅着は7:06になる。
これなら、乗換待ち時間は20分。
今別や三厩であれば、真冬でもバスが間に合わないほど遅れるという渋滞はまずありえないので、有効な手段だろう。



『唯一の新幹線が接続する奥羽線青森行は8:03発』

さて、奥津軽いまべつ7:26に発った「はやぶさ10号」は、新青森7:41に着く。

東奥日報の記事にある通り、青森西高校なら余裕で通学可能だ♪

ところが7:41、ちょうど新青森駅で奥羽本線の青森行と弘前行が同時に発車する時刻である。
青森西以外の高校へ向かうには、この青森行に乗れれば良いのだが乗換時間ゼロなので、次の8:03発まで待たないといけない。



『青森駅には、津軽線の方が早着してしまう』

さて、新青森駅7:41発青森行に乗換が不可能なので、次の8:03発に乗り換えると、青森駅着は8:09

青森駅で接続する青い森鉄道の発時刻はなんと8:33
1駅目の筒井駅ですら8:38着なので、青森高校はもちろん、それ以遠の青森東高校青森工業高校にも通学不能だ。

逆戻りする形になるが、津軽線はどうか?
こちらも蟹田行は青森駅8:05発だから、接続できない。
油川の青森北高校にも通学できない。

そもそも、三厩・今別から油川駅や青森駅には、三厩6:04発の津軽線蟹田行(蟹田着6:45)に乗り、蟹田で7:05発の青森行に乗り継ぐ方が早着(油川7:37着青森7:46着)するのだ。
これなら青い森鉄道7:52発八戸行に乗り換えることができ、青森高校青森東高校青森工業高校でも通学が出来る。

だが、これは北海道新幹線を使わないことになる。


こんなわけで、新幹線のお陰で今別から青森市内の高校に通えるようになった、とはいっても現実的なのは青森西高校くらいなのだ。

青森北高校、青森高校、青森東高校、青森工業高校はせっかく学校のそばに在来線の駅があるというのに、北海道新幹線を使うと、ちょうどいい接続列車がないために通えない。

特に、青い森鉄道筒井駅は青森高校への通学利便性向上も設置理由の一つだったし、野内駅は青森工業の移転を受けて駅自体も高校のそばへ移転してきた経緯がある。


通学利便性向上のために設置した在来線新駅と、
遠距離通学を可能にする新幹線リンクしない青森市



なんというちぐはぐ。



奥羽貨物支線の活用で、新青森と青い森鉄道を直通出来ないか』

青森だけの視点で見れば、北海道新幹線の新函館北斗始発時刻が5分早ければ全て解決するように見えるが、新幹線のダイヤにメスを入れようとすれば上越とか北陸にも影響が及ぶ膨大な作業になるので、対JR北海道・新幹線の交渉というのはやるだけ無駄になる気がする。

青森駅周辺路線図
【画像はクリックで拡大します】

比較的ハードルが低いのは、やはり青い森鉄道JR奥羽本線のダイヤ連携を考える方だろう。
JR奥羽本線も単線なので安易に増発するのが難しい状況ではあるとは思うが、新青森から奥羽貨物支線を直通する形で青森駅のスイッチバックをバイパスし、筒井方面へ直通で向かうとかできないもんだろうか。

例えば下表のように、八戸始発初電の青い森鉄道快速列車を津軽新城まで延長運転させ、代わりにJR奥羽本線の青森7:26発の津軽新城行は廃止する。
津軽新城からの折り返し便を奥羽貨物支線で筒井・浅虫温泉方面へ直通させるとかできないだろうか。
青い森鉄道快速列車(501M)の津軽新城延長・奥羽本線普通列車(4622M)との統合案
八  戸筒  井青  森新 青 森津軽新城
5:437:127:187:217:267:29
折り返し青い森鉄道快速列車(564M)の発駅を津軽新城に変更し、奥羽貨物支線経由
津軽新城新 青 森滝内(信)青森(信)筒  井八  戸
7:457:487:517:537:589:24


旅客列車の時刻表を見ながらの素人考えだから、貨物列車と行き違えないとか重大な支障があるかもしれない。
もし本当に実現可能で効果があるのなら、鉄道事業者はとっくに実現させているだろうから、やはりこれは素人の妄想レベルかもしれない。

だけれど、これなら北海道新幹線に乗ってきた今別や三厩の高校生が、新青森で乗換をすることで青森高校、青森東高校等の進学校にも通うことが可能になる。
構想段階の青い森セントラルパーク新駅を操車場跡地に設置できれば、私学の青森山田高校や東奥学園も通学可能範囲に入ってくるだろう。



今別から青森西高校に余裕で通学可能になりました、だけで喜んで終わらず、北海道新幹線の恩恵で通学可能となる高校の選択肢がもっと増えることを目指すべきだ。
これは今別のみならず、青森市や青い森鉄道を運営する青森県にもプラスになることだ。
鉄道会社もタダでやろうとは思わないだろうから、将来への投資だと思って鉄道に公費を投入するくらいはしてもいいんじゃないかと思うぞ、青森市や青森県。

若い世代が暮らしやすい街に変貌を遂げないと、本当に増田寛哉の予言通り青森市は消滅するぞ。
(なんて偉そうなこと書いてて、ダイヤの読み間違えしてたら恥ずかしい記事だなこりゃ)

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