前回の記事で、名阪国道「Ωカーブ」で発生した事故による渋滞に巻き込まれた話をした。

高速道路のものとは思えない急カーブである「Ωカーブ」であるが、名神高速道路には急すぎるカーブゆえに線形改良
が行われ、廃道と化した区間がある。
名神高速 今須カーブs
【Google Mapより加工 スマホの方は画像クリックでアニメが見られます】

その場所は岐阜県関ケ原町今須に位置した通称「今須カーブ」
関ヶ原IC米原Jctの間に位置し、1964年に開通した後、1978年には今須トンネルを供用開始し廃止された。
航空写真で見ても、かつての今須カーブの跡が今でもわかりやすく残っている。
(実際は画像よりさらに名古屋方面にもう少し線形改良区間があるが、省略した)

これは首都高速にも同じことが言えると思うが、黎明期の高速道路には無茶な線形が少なくない。

今日は、「今須カーブ」と著名な急カーブとを、同一縮尺上で比較してみようかと思う。

imasucurve「今須カーブ」を他の著名な急カーブと比較するにあたっては、国土地理院の地理院地図で同一縮尺上で行うことにする。

「今須カーブ」曲線半径(r)は約260mだったそうだ。
r=260mと聞けば、どのくらいの急さなのかすぐにピンとこない人の方が多いと思うが、東北道でも有数の急カーブの一つとして知られる菅生のカーブ(318.5km付近)でもr=400mだから、あれよりだいぶキツいカーブという事になる。

実際のところは曲線半径だけじゃなく、進行方向へ向けての勾配や、バンク(横傾斜)もカーブの曲がり易さ/曲がり難さに関わってくるので、急カーブを比較する場合は立体的にみた方が良いのだけれど、簡易的に平面上の曲線半径でみていこうと思う。


札樽自動車道 W28kmのカーブとの比較

北海道の道といえばまっすぐなイメージがあり、実際にそうなのだが、1971年に開通した札樽自動車道にはそれなりに急なカーブもある。
銭函IC朝里IC間にある、W28kmポスト付近(小樽市張碓)のカーブがそれだ。

今須on札樽張碓
「今須カーブ」を回転させて札樽道に重ねてみると、凄い曲がり方だなと改めてわかる。

北海道には道央道もあり、こちらも首都圏−北九州・福岡に至る太平洋ベルト以外では最も早く開通した高速道路の一つになるわけだが、初期の開通区間は石狩低地帯を行く区間であり、無理のない線形になっている。
それと対照的に札樽道は海岸近くの山地を走ることになり、カーブも多くなるが、さすがに「今須カーブ」にはかなわない。


東北自動車道 318.5kmのカーブとの比較

上の方で少し触れた、東北自動車道菅生PAにほど近い318.5kmポスト付近のカーブとの比較だ。
こちらはr=400mであり、仙台にも近いことから交通量が多く走りにくい区間に位置する、東北道を代表する急カーブであるが・・・

今須on東北菅生
やはり、「今須カーブ」に比べれば菅生のカーブも緩やかにみえてしまう。

この菅生のカーブも、下り線(川口→青森方面)を走って行くと下り坂の右カーブということで危険なカーブであるわけだが、なんと重なるように「今須カーブ」も名古屋から大阪方面にかけて、同じ様に下り坂の右カーブであった。


首都高速4号新宿線 参宮橋カーブとの比較

今度は首都高速を代表する急カーブの一つとして、4号新宿線の参宮橋カーブとの比較だ。
そもそも、4号新宿線には参宮橋に限らずえげつない急カーブが連続しているのだが・・・

今須on参宮橋
おお、さすがは首都高速だ。
「今須カーブ」もかなわなかったわけである。
参宮橋カーブに比べればマシだったということがわかる図ではないかと思う。
ちなみに、参宮橋カーブはr=88m。ひでぇ。

もっとも、都市高速高速自動車国道を比べるのにも無理はある。
普通に地方部の高速だと思って走ってて、「今須カーブ」級のカーブが現れたらビビるだろう。
張碓・菅生クラスとは異なり、油断して120km/hとか速度超過で走ってると事故っちまう可能性大だな。


中央自動車道 259kmのカーブとの比較

これはいわゆる「魔のカーブ」と呼ばれている、阿智のカーブである。
2006年に21台もの玉突き事故が起きているカーブであり、「最急カーブ」という警告標識まであるカーブである。

なんと、阿智のカーブはr=300mである。

今須on中央阿智
阿智のカーブに今須を重ねてみると、非常に似た急カーブっぷりがわかる図になったように思う。
やはり、「今須カーブ」のr=260mに匹敵するr=300mの急曲線だけある。

交通量も1日平均27,609台(H25年度、道路統計年報より)と決して少なくない。
阿智のカーブは、往年の「今須カーブ」の危険さを疑似体験するのに最も近い条件の急カーブかもしれない。


中国自動車道 251kmのカーブとの比較

今ではすっかり山陽道に京阪神・北九州間のメインルートの役を奪われてしまった感があるが、「先輩」である中国道には急カーブが何か所もある。
フェラーリの多重事故が起きた下関のカーブや、桜塚やっくんの亡くなった美祢のカーブも有名な危険カーブであるが、最急カーブは帝釈峡PAから下関寄りの251kmポスト付近、庄原市東城町戸宇にある。

今須on中国帝釈峡
東城IC庄原ICの間に位置する、この帝釈峡のカーブを含む区間は1973年と早い時期に開通している。

帝釈峡のカーブは、r=250m

なんと「今須カーブ」より急なカーブなのだ
ちなみに、地図上で左下(南西)に見えている烏賊塚のカーブも同じくらい急に見えているが、こちらはr=300mで、先出の阿智のカーブとほぼ同じ急曲線。
全く、すげえのが連発していたものである。
ただ、この区間は1日平均5,040台(H25年度、道路統計年報より)しか交通量のない閑散区間になっているので、危険度からいえば阿智のそれに及ばないだろうかと思う。


九州自動車道 327kmのカーブとの比較

九州においても急カーブは色々あるが、選んだのは鹿児島県の姶良ICから鹿児島寄りのカーブを選びたい。
ここは、特に上り線(鹿児島⇒門司方向)が危険なようである(私自身も実走済み)。

今須on九州姶良
ここ、姶良のカーブは鹿児島方面から門司方面へ向けて、5%という高速道路にしては相当急な下り勾配が連続している区間である。
その急な下り坂に、姶良のカーブはr=350mで左、右と2発連続で来るのだ。
「今須カーブ」に比べれば緩やかなカーブだが、姶良もまた背が高いトラックやワンボックスで走ると危険を体感できそうだ。


名阪国道 Ωカーブとの比較

北は北海道の札樽道から南は鹿児島の九州道まで各地の急カーブたちと「今須カーブ」を比較してきた訳だが、最後はやはり名阪国道Ωカーブとの比較だ。

さすがに、Ωカーブはいくつかのカーブの複合体になるので、同一縮尺上での表現がブログ上で出来ないので、画像をクリックすると同一縮尺版が表示されるようにした。

今須軍団on名阪Ω
【画像はクリックで拡大します】

今須カーブより緩いカーブもあるが、今須カーブよりキツいカーブが目立ちますな。

特に最も天理寄り、「Ω」の字の左下部分にあたるヘアピン状のカーブ、ここはr=150mである。

僕がここを体験した時は、通行止め解除と同時に渋滞の車両が一斉に天理へと走り出したので、2車線が車間距離ピッチリで大型トレーラーたちと高速で並走していくという状況だった。
首都高速の混み方も大概だが、名阪国道大型トレーラーの比率が高い気がする。

結局、我々がamazonとかの安い通販の恩恵に預かれる背景には、そのしわ寄せで運賃カットやら長時間労働を課されたトラック運転手がいて、高速料金節約と制限時間内での移動のために名阪国道みたいな無料高速を頑張って走る―ということになるのだよなあ。


危険なカーブは少しずつ線形改良で消えていくし、新しく開通する新名神高速なんかはとても走りやすい快適な道路になるけれど、今日も名阪国道を走行しなければならない事情のドライバーがいる。
今日も名阪国道を走る長距離ドライバーの皆様、どうかくれぐれも安全運転で。

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