来年4月でいよいよ国鉄民営化から30年を迎えるわけだが、それに先立つ2016年12月5日に留萌本線留萌‐増毛廃止された。

非常に残念な話であるが、今回は生き残った留萌本線深川‐留萌もいずれ廃止にする方針であることがJR北海道に発表されている。

今回の増毛に関していえば、うまく留萌本線の一部として扱われ生き延びてきたものだと僕は思う。
仮に、留萌本線が深川から留萌を経て幌延へ至る路線―すなわちかつての羽幌線ルートであれば、おそらく留萌から増毛へ向かう区間は支線の増毛線という扱いになり、国鉄民営化と同時に消えていただろう。

増毛町より規模の大きな紋別市や中標津町、松前町や岩内町からも既に鉄道は失われている。
残念だけれど、致し方ないのかなとも思う。


さて、今回はもう少しだけ生き延びることが決まった留萌本線深川‐留萌に並行するように、深川留萌自動車道が伸びてきている。

かつての国道でさえ未整備の時代においては、在来線鉄道は自動車に競争力を持つ存在であっただろう。

国道の整備が進んだ昭和後半においても、高速道路となるとまだまだ整備は進んでおらず、長距離移動となればまだ在来線鉄道の急行や特急列車に分があったように思う。

しかし、現在はさらに国道の整備は進展し、高速道路も非常に整備が進んでいる。

国鉄民営化直後の1987年4月と、2016年12月現在で、どれほど変化しているのか、みてみたい。

対象としたのは、北海道と東北6県に、新潟県を加えた地域である。


まずは1987年から。

JRと高速の整備状況1987
【上図はクリックで拡大します】

1987年4月時点では、廃止まで残り僅かな時間ではあるが旧国鉄から引き継いだ松前線や標津線、天北線などの路線も生き残っている。
弘南鉄道や下北交通などの民間私鉄に移管された黒石線や大畑線、第3セクター移管された池北線なども健在だ。

一方で、国鉄から移管された秋田内陸線や阿武隈急行がまだ全通しておらず、これから開業を迎えるところ。
やがてドル箱になる新潟の北越急行もまだ開業前だ。
新幹線も、東北新幹線上野‐盛岡上越新幹線大宮‐新潟しか開通していない。


在来線鉄道網はまだまだ賑やかなところだが、高速道路はどうか。

1987年時点では、県庁所在地である秋田市や山形市にも高速道路がないのである。

青森県八戸市には八戸自動車道が達しているが、東北自動車道に繋がるには2年ほど待たなければいけない。
新潟県内は北陸自動車道関越自動車道が整備されているが、まだ関越トンネルが開通しておらず、群馬県境を越えられない。

この時点で、東北・新潟の7県で東京(埼玉県)まで高速道路が繋がっていた主要都市は青森市・弘前市・盛岡市・仙台市・福島市・郡山市ぐらいなのである。


北海道に目を向けても、道央自動車道 登別室蘭‐札幌JCT‐岩見沢が開通しているのと、札樽自動車道 札幌西‐小樽といった道央のごく一部が開通しているのみ(まあ、室蘭新道はあるが)。
次にいこう。

2016年12月現在の様子はこちら。

JRと高速の整備状況2016ミニ
【上図はクリックで拡大します】


在来線鉄道が廃止された区間が出てくる。
北海道で顕著だが、東北からも岩泉線や大畑線、黒石線などが消えている。

在来線に対し東北・北海道新幹線が八戸、新青森、新函館北斗と延伸したし、新潟では北陸新幹線も開通した。


ただ、それよりも、高速道路網の発達が凄まじい。

1987年時点の東北ではせいぜい、南北に縦貫する東北自動車道1本程度しかなかったのに、南北縦貫系では常磐自動車道日本海東北自動車道東北中央自動車道などの整備が進み、東西横断系でも秋田自動車道山形自動車道磐越自動車道が開通するなど枚挙にいとまがない。

それどころか、具体名を書くと叱られそうなので書かないが、本当に必要なのかわからない所へも整備が進んでいる(私はかつてコチラの記事で書いた通り三陸沿岸道路整備には断固大反対である)。


北海道もまた凄いことに、JR北海道が単独維持困難だと表明した線区に並行するように数多くの高速道路が延伸。

旭川紋別自動車道はその名の通り紋別を目指すので、現在の丸瀬布ICから北見へと直結する整備計画は当面ないが、並行する石北本線にとっては脅威になりうる。
特急オホーツクで旭川-北見は3時間程度かかるが、旭川紋別自動車道を制限時速70km/hを守って走っても旭川鷹栖から丸瀬布まで1時間25分程度。
丸瀬布から北見も、1時間20分もあれば行ってしまうところなので3時間かからず旭川〜北見を連絡可能である。
まあ、飛ばす車なら旭川-北見で2時間半を切るだろう。

クルマで旭川北見を2時間半というのは無積雪期に限った話ではあるが、1年の3分の2ほどの期間で石北本線は自動車に対し所要時間で優位性を持てないことになる。


前述した留萌本線は、既に深川留萌自動車道に対する速度での競争力を持っていない。

高速道路網の延伸もまた、JR北海道の都市間輸送にとっては非常に脅威なのである。
JR北海道の路線維持には国費を投入してもよいのではないか。

もはや、ここまで発達した高速道路網に、鉄道が速度面で勝てるとしたらよほど金をかけて在来線を高速化するか、フル規格新幹線くらいしかないような気もする。
かといって、フル規格新幹線はおろか、高速化だってなかなか困難である。

一時期、JR北海道はだいぶがんばっていたと思うが、さらなる高速化で高速道路網を走るバスや自家用車に対抗していくのは難しい。

―とはいえ、このまま負けるわけにもいかない。


高速道路無料区間と並行するJR線区には、国費を投入してはどうか。


NEXCO東日本だって、すべての区間で営業しているわけでは無い。
一般に、無料で通行できる高速道路というのは、全てがあてはまるわけでは無いがNEXCOが経営しても儲からないから、国民の税負担で整備されている区間である。

儲からない区間の高速道路網に国民の税の投入ができるのなら、JR北海道の鉄路維持に国民の税金が投入されても良いはずである。

北海道は冬の間、鉄道が無いとどうしても困るのである。
このまま、JR北海道を見殺しにすることが得策とは思えない。


整備状況アニメ小


最後に、もう一度、1987年当時と2016年現在の鉄道と高速道路の整備状況の図をアニメ化した。

僕はやはり、もう都市間輸送において在来線鉄道は北海道に限らず東北や新潟でも高速バスに勝てないところまで来ていると思う。

仙台・山形間の高速バスが最短5分間隔で平日80往復にも上っているが、それに人々が列を作っているのをみると、これが高速鉄道ならもっと少ない本数でも大量に、バスより少ないエネルギーで、さらに短時間で輸送可能なのに無駄だなあと思う。
話はずれるが、山形県は奥羽新幹線のフル規格整備より、単線でいいからフル規格の仙山新幹線を作った方がマシだと思う(単線のフル規格ってのも変な日本語だが)。

もしも盛岡秋田道路なんてのが本当に実現して、全長118kmを平均80km/hで移動するバスが登場すれば、盛岡・秋田間の所要時間は1時間半。
これに対し盛岡⇔秋田の「こまち」は1時間45分程度もかかる。
もっとも、秋田から盛岡に用があって乗るより、盛岡を通過して仙台や東京まで行く乗客の方が遥かに多いだろうから直ちに影響はないだろうが、高速道路の整備というのは所要時間だけを考えればミニ新幹線を食う可能性すらあると僕は思う。

しかし輸送量や輸送コストを考えれば、高速道路を走るバスや自家用車より、鉄道に優位性があるだけに、なんとかして鉄道を維持できないのかと強く思うのである。

blog_rankingクリックでブログランキングに投票!