JRでどこか遠くの街へ出かける際、片道の距離が601km以上の場合は往復割引が適用される。

東京駅から東北新幹線の場合、偶然ながら601kmの位置に岩手県の二戸駅があり、八戸駅や新青森駅、新函館北斗駅などと東京駅を往復する場合は往復割引が適用される。
逆に言えば、東京駅から601kmに満たない、いわて沼宮内駅より南の盛岡駅や仙台駅との往復には割引が適用されない事になる。

東海道・山陽新幹線の場合、東京駅から601kmを超えるのは兵庫県の西明石駅となる。
ということで、東京駅から片道601kmに満たない名古屋駅や京都駅、新大阪駅を往復する場合には往復割引が適用されないのである。

まあ、東京〜名古屋や東京〜大阪など利用者の多い区間では、往復割引などを使わなくてもお得なきっぷがJRからも発売されているわけで、普通はそういうきっぷを利用するのが良い。

ところで、この601kmという数字にはもう一つの意味がある。
JRの乗車券には長距離逓減制があり、距離に応じて1kmあたりの価格が変わってくる。
1kmあたりの価格は、601kmを境にかなり安くなるのだ。

2017年8月27日、この制度を悪用利用して名古屋に行ってきたので、今日はその時の日記である。
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東京駅〜名古屋駅の距離は366.0kmで、普通に乗車券を買うと6,260円だ。
片道601kmに満たないので、往復割引の切符は買えない(お得なきっぷはある)。
片道ずつ「東京都区内⇒名古屋市内」と「名古屋市内⇒東京都区内」と乗車券を2枚買うと、6260×2=12520で往復の乗車券代は12,520円になるのだが、写真をご覧いただければわかる通り、「東京都区内⇒東京都区内」で乗車券代は2,040円ほど安い10,480円に抑えられているのだ。

ところで、「東京都区内⇒東京都区内」ってどんなきっぷだよ、という人もいるかもしれないので、下の地図で説明しよう。
東名一筆書き
東京駅から東海道新幹線で名古屋駅に行き、名古屋駅で中央本線に乗換えて塩尻駅経由で東京都区内の新宿駅に帰ってくる、というルートで乗車券を買うのだ。
名古屋駅から塩尻駅経由で新宿駅までは386.6kmで、片道の乗車券代は6,480円。
東海道新幹線の方の東京⇒名古屋の乗車券代は6,260円だから、片道ずつに分けて買うと6260+6480=12740で12,740円になってしまうが、東京から名古屋と塩尻を経由して新宿に戻るというルートにすることで距離は752.6kmとなり、601kmを超えるので乗車券代が割安になるのだ。

一応、一度通った区間は再度通過できない規則があるため「一筆書き」としなくてはならないが、往復割引が効かない区間に行く場合には有効な手段である。
東日本大震災の前には、東北新幹線常磐線特急を利用することで「東京都区内⇒仙台駅⇒岩沼駅⇒東京都区内」というきっぷを買えば安くなるという技もあったのだ(まあ、こんな技を使わなくても良いようにお得なきっぷはあったが)。

こういう切符を買っても、東京駅で改札を入ったら新宿駅まで改札を出られないのではないかと思うかもしれないが、JRは100kmを超える長距離きっぷの場合、途中駅で下車することもできる。
距離によって有効期間も変わってくるが、この752kmのきっぷの場合は有効期間4日。
4日の間に、浜松駅で降りて餃子でも食ってまた浜松駅から名古屋駅に向かうとか、名古屋駅で降りて名古屋市内に一泊してから塩尻に向かう、なんてことも可能である。

前置きは長くなったが、以下が旅の日記。
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東海道新幹線東京駅で11:47発の「のぞみ337号」に乗車。
安く済ませようとしている癖に指定席を取るとか無駄なことをしているが……

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東北新幹線だと「大清水」の狭山茶だが(最近あまり見ない気がする)、東海道新幹線だと静岡茶。
旅の気分を盛り上げるアイテム。
缶ビールと行きたいところだでもあるが、まだまだお日様が出ている。
多摩川を渡って神奈川県に入っていくぞ。

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静岡県に入り、富士川を渡ったところで後方に富士山が見えた。
のぞみは静岡県内無停車で、静岡と浜松という二つの政令指定都市を通過し、浜名湖を超えて愛知県を目指す。

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で、名古屋駅に着きまして、在来線3・4番線ホームに。
名代きしめん 住よしに、きしめんを食べに、そのためだけに名古屋に来たのだ!
まず、上の写真の店舗入口の張り紙「当店の天ぷら揚げたてを提供させていただいております」に注目。
住よし自体は新幹線ホームにもあるので食ったことがあるが、これが在来線の3・4番線を選んだ理由だ。

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住よしの「かき揚げきしめん」

おいしい♡


3・4番線ホームの住よしには天ぷら調理用のフライヤーが設置されていて、かき揚げや天ぷらをトッピングするならここが良いと聞く。
到着時点で13時30分をとうに過ぎていてもなお、カウンターは隙間が無いほど客で埋まっていて、私が食べ終わる頃には、昼休みに入ったばかりのJR東海の子会社の社員もきしめんを食べに入ってきた。

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さて、中央本線に乗換えないといけない。
14:00発の長野行特急「しなの15号」には車内販売が無いのでホーム売店をご利用くださいとアナウンスが入るが、きしめんを堪能しつつ水をがぶ飲みしたため、何も買う気が無く乗車。
熱いきしめんを食ったこの日、まだ8月で真夏の名古屋である。

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名古屋を離れてしばらく行くと、水田が広がり始める。
岐阜県に入る頃には、8月下旬だというのに黄金色の田んぼが。

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「しなの」は木曽谷へと入っていく。
どういうわけか、各地に撮り鉄の方々が集結しており、通過と同時にシャッターを切る様子がみてとれたが、何か貴重な車両だったのだろうか。

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長野県の塩尻駅には5分程度の遅延で到着。
篠ノ井線経由で長野へ行く「しなの」を下り、新宿へ向かう「あずさ」に乗換の駅だ。

しかしこの日、「しなの15号」が接続する「あずさ」は指定席が満席だというので、一本ずらすことにしたのだ。
途中下車してみよう。

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塩尻駅前に出て来た。
「短歌のまち」の石碑。信州は少しだけ涼しい気がした。
それよりも、塩尻駅前の海鮮居酒屋が「築地直送」をアピールしている事に驚く。
内陸県長野の中でも、塩尻は海が遠い場所の一つだろうと思うが、まさか築地だとは。

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塩尻駅を離れてスーパーマーケットのデリシアまで歩いてみたが、特に信州らしいという感じではなかった。
途中、信号機に英語表記があるのを発見したが、これは長野オリンピックの遺産ですなあ。

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「あずさ」も、5分程度遅れて塩尻に到着。
私が購入した時には空席に余裕のあった指定席は既に完売だという。
あずさは長野県内は岡谷や下諏訪、上諏訪、茅野など細目に停車していったが、山梨に入ると一気に停車駅を絞って甲府の次は東京の八王子だという。
大月〜八王子付近の中央道国道20号の渋滞を尻目に、快適に進んで行く。

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ところで、指定席全席完売のはずが、隣の2席と後の座席には、ついに乗客が乗らないまま、八王子駅を発車した。
どういうことだ……集団でキャンセルか。あるいは、旅行代理店が買い占めた座席が売れなかったのか。
私は見知らぬ女性と隣同士でC席とD席に座ってきたが、これなら私はA席でも良かったではないか。

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八王子を過ぎてA席に移動し、立川や吉祥寺の夜景を見ながら新宿駅に到着。
まあまあ、時間はかかったが、車窓を楽しみながら帰ってくることが出来た。
電車に乗ることが苦痛で無いのなら、おススメできる。

今回は東名間の移動だったが、北陸新幹線金沢駅と東海道新幹線米原駅に挟まれた福井県に東京から行く場合なんかは、この一筆書き作戦で回遊すれば安くなるし、往路も復路も同じ程度の所要時間で廻れるのではなかろうか。

8月最後の日曜日は、こうして過ごしたのだった。
(きしめんを食うために20,500円也……。)

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