私は2017年11月に宗谷と留萌を巡る旅をしたばかりだが、その記憶もまだ新しい2018年1月20日、また北海道へ行ってきた。

<根室駅−釧路駅>
16:10〜
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JR根室駅の男子トイレの手洗い場はセンサーが故障しているのか水道管が凍結しているのか、私も別の客も水が出なくて困ってしまった。しかたなくウェットティッシュで手を拭く。これも、変な中年女性と、バスの運転士に食ってかかる乗客と共に、根室の印象になってしまった。
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始発の根室駅では釧路駅での特急の乗換えをレクチャーする父親に見送られ、札幌に向かう大学受験生風の若い女性客の姿なども見られ、殺伐とした根室の悪印象を中和する暖かな家族のやりとりなどもあったが、一駅目の日本最東端の駅・東根室駅にて、件の根室交通バスの運転士に食ってかかっていたコートのホックおじさんが登場。コートのホックおじさんが降りた明治町3丁目の辺りからだと、東根室駅は徒歩圏内。最東端駅を見に行ったのだろうか。
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最東端の根室の日暮れは早く、西和田の駅に着く前は車窓に馬も見えたりしていたが、昆布盛駅に着くころには暗くなってしまった。昆布盛駅には迎えに来た父親の軽トラに乗り込む女子高生も居たが、車内の高校生風の若者たちはほとんどが昆布盛か厚床まででいなくなった。コートのホックおじさんは、ロングシート部分の4、5人分を占拠し横に寝ていた…。車窓が見えないので私も眠りに就いたが、時折エゾシカの出没で警笛と急減速で何度か起こされ、また寝るのを繰り返し、とうとうケツの痛さで目が覚めたのが厚岸駅

【釧路・根室間でJR根室本線(花咲線)国道44号を比較してみよう】
根釧間 鉄道 国道44号 比較図
【地図はクリックで拡大します】
ケツが痛かったので、根室本線(花咲線)釧路−根室の表定速度と、並行する国道44号の平均旅行速度を比較してみた。
根室本線は2018年1月現在のダイヤでの1日上下3本(1.5往復)の快速列車の所要時間、国道44号は平成27年の国交省の道路交通センサスの昼間12時間平均旅行速度の上下線平均値から算出した。
国道44号は釧路駅にほど近い釧路市北大通5交差点(北海道道24号釧路停車場線接続点)から、根室駅にほど近い根室市の光和町1丁目交差点(道道312号根室停車場線接続点)までで比較した。
釧路・根室間には有料無料を問わず高速道路は存在しないが、国道44号は浜中町浜中基線〜浜中町・根室市境の14.5kmに渡って平均旅行速度が73km/hを突破するなど非常に速く、釧路・根室間で最も速い根室本線快速3629D列車「快速ノサップ号」さえも凌駕してしまう。国道44号を自動車で走行すれば、信号の多い釧路都心を通行しても釧根間で2時間切りが可能なのだ。
くしろバスと根室交通の都市間バス「特急ねむろ号」の所要3時間20分(2018年1月現在)というダイヤよりは根室本線快速列車の方が速いが、対自家用車では敗北しているのである。
釧根間に並行する高速道路が無くてこれでは、JR北海道の競争環境はきつい。
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ケツの痛さに耐えること2時間42分(表定速度は50.14km/h)。定刻で釧路駅に到達すると、乗換える時間もないまま釧網本線網走行最終列車が出発していった。網走には22:02着、こちらも3時間10分の長旅だ。車内放送で「釧網線は東釧路駅でお乗り換え下さい」と繰り返していたのはこれだ。東釧路・釧路間をズルして始発の空席狙いで釧路に行こうと企むと、間に合わない。
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釧路駅構内の案内板。このスーパーおおぞら12号も、釧路から札幌への最終列車。道都・札幌着は22:58だ。そして、その26分後に出発する普通列車新得行は、帯広や新得など十勝管内まで行く最終列車となる。この後の根室本線上り列車は21:33発の普通音別行しかない。
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夜になって看板に明かりが灯って、北海道教育大学釧路校の広告もあることに気が付く。北教大釧路は釧路唯一の国立大学にして、道東唯一の教育学部だ。道東の国立大学はこの他に帯広畜産大と、北見工業大の計3校である。
19:00〜
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駅を出て宿に向かうと、何やら路上でしゃがみこんで地面にスマホを向けている若い女性が。路面にご覧の蝋燭を並べてキャンドルナイトというイベントを実施しているのだった。
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しかし宿に向かって歩くオフィス街は暗い。まあ土曜日の夜にオフィス街が明るかったらブラック企業の社畜さんばかりという、それはそれで嫌な街になるわけだが、釧路市は全国の地方都市の中でも人口減少が深刻な部類に入る。釧路市街地は企業が撤退した空きオフィスビルと、そのオフィスビルが老朽化して取り壊された空き地と、新興のホテルチェーンの立地が進んでいる。
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一応、釧路には製紙産業など大規模な工場もあって働き口はあるのだが、これだ。釧路市の後背地(釧路・根室管内)の周辺町村も衰退しており、中核都市として人口を周辺から集める力が弱くなっているのだろう。この動きは北海道の地方都市に始まり、いよいよ青森市もそうなりつつあるが、十年後には盛岡や秋田など東北各地の県庁所在地も同じ道を辿っているだろう。
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そんな釧路市ではあるが、れっきとした道東の中核都市であることを印象付けるものはある。これは北海道警察釧路方面本部である。
北海道以外の地域の場合、各広域地方ごとに東北管区警察局とか九州管区警察局といった管区警察局があり、東北管区の下に青森県警、九州管区の下に福岡県警といった形で各県警がぶら下がる形になるが、北海道には北海道管区警察局というものがない
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北海道は管区警察局がない代わりに道警本部が管区警察局と同等の役割を果たす形になり、それにぶら下がる形で道内各地に方面本部が設置されているのだ。いわば方面本部とは県警本部に相当する組織であり、釧路方面本部とは釧路県警本部みたいなものである。
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釧路方面本部の管轄地域は釧路総合振興局の他に、十勝と根室も管轄しており、北海道警察の組織上は釧路が帯広の上位という位置づけになる。釧路の他に道東には北見方面本部もあってオホーツク振興局(旧網走支庁)管内を所轄としている。
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釧路・十勝・根室の3管内の人口は2017年末現在で65万人を超えるので、鳥取県より人口が9万人ほど上回る。釧路方面本部の警察官数は不明だが、鳥取県警は条例での警察官の定員数が1,231人(平成29年4月現在)とされているので、これに近い規模の組織だろうか。しかし釧路方面本部の管轄面積は北方領土部分を除いて約20327k屬發△辰橡椽最大面積の岩手県よりも広く、国境地帯でもあるので鳥取より規模は大きいかもしれない。
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道警釧路方面本部のすぐそばにはボーリング場が。奇しくもこの日1月20日の北海道新聞には国内最北、稚内朝日ボウル営業終了へ 存続望む声多くと題する、稚内からボーリング場消滅のニュースも入っていた。映画館の無い地方都市というのは珍しくないが、今後はこうしてボーリング場やゴルフ場など、地方都市からは人口減少と若者の所得減少で娯楽施設も消滅していくのかもしれない。がんばれ釧路。稚内も映画館を復活させたぐらいだ、ボーリング場もがんばれ。
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そしてNTT東日本の鉄塔。釧路市黒金町は釧路の中心業務地区と呼ぶべき地域なのだ。釧路の黒金町もまた青森県庁のある青森市長島と似た雰囲気を醸し出している。衰退しているとはいえ、県庁所在地である山口市や鳥取市よりは釧路市の方が都会である。
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こちらは釧路市役所。午前中に釧路に到着した際は晴れてアスファルト路面も乾燥していたのに、急に吹雪が酷くなってきた。私が泊まるのは市役所向かいの釧路プリンスホテルである。
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吹雪から逃げるようにチェックイン。釧路プリンスホテルは釧路を代表するホテルの一つとあって、結婚式も数組行われていたし、従業員も洗練されていた。駐車場で雪かきに勤しんでいる従業員のエンジの外套が、昔鯵ヶ沢スキー場によくいたスタッフと同じ色合いであったのも懐かしい。鯵ヶ沢プリンスホテルは西武が手放してしまった。客室から眺める釧路都心部の夜景は、実に都会的だ。
19:40〜
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ホテルに大きな荷物を置いたら、さっそく釧路の夜の街へ繰り出す事にする。徒歩で国道38号に出て、釧路市役所を撮ってみる。市役所は青森より立派に見える。
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ホテルや市役所のある黒金町からみて、国道38号国道44号が接続する北大通5交差点
の対角にあたるエリアが末広町になる。繁華街にあたる訳だが、この廃墟は旧・丸井今井釧路店。KUTEという再開発ビルとして再び営業開始を目指した時期もあるらしいが、KUTEは開業に至らぬまま廃墟化したという。
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このKUTE(旧丸井今井釧路店)の周辺の景観をもって釧路の衰退を嘆く旅行者や釧路在住者のブログもしばしばみられるが、皆が言うほど寂れてもいないかなと思ってしまう元・青森市民の私。しかし本当、正直に「明るい」と思ってしまった。確かにひときわ明るいのは全国チェーンの居酒屋だったりするが、青森の本町とか秋田の川反とか盛岡の菜園とか山形の七日町とか、東北地方の県庁所在地の繁華街も似たような感じだからあまり驚かない。地方都市は仙台や新潟や岡山や松山や熊本など比較的規模の大きなところは例外として、人口10〜30万くらいの都市はだいたい全国で似たような感じだろう。
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釧路在住者が釧路の衰退を嘆くのは釧路が栄えていた時代を知っているからこそであり、旅行者が釧路の衰退ぶりを嘆くのとは別の次元にあるように思う。旅行者の場合、東京在住で、「北海道の夜の繁華街=札幌の大通やススキノ」というイメージが強ければ、釧路に限らず旭川や函館でも寂れているように見えてしまうのではないかと思う。
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ことさらに「衰退している」とか「若者の流出が止まらない」とメディアが地方の衰退をセンセーショナルに報じるのも、地方の衰退に拍車をかけるように思う。例として不適切かもしれないが、有名人の自殺報道が誤った方法でセンセーショナルに行われると、その報道の後に自殺が増加するという。
「〇〇市の人口減少数は全国ワースト▲位で、若年層の流出が止まらない」などとセンセーショナルに何度も報じられれば実際〇〇市に住んでいて雇用もあって何の不満もない若者に「出て行った方が良いのかな」と思わせてしまうかもしれない。それでなんとなく〇〇市から東京や札幌などの大都市に出て非正規雇用やブラック企業で酷使され心身を破壊されるのでは不幸である。
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1泊2日で見ただけだが、釧路の街は良い印象であった。子供の頃に訪れた際に「釧路は都会」と思わせてくれたが、今もじゅうぶんに地方都市としては都会である。本州以南の県庁所在地とさほど遜色ない生活が出来るだろう。
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釧路の末広町にはこんな素敵なレストランがあるのだ。釧路のソウルフードとまで呼ばれる「スパカツ」発祥の店として有名なレストラン泉屋本店だ。
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扉をあければ、なんとも魅惑的なメニューのサンプルが並ぶショーケースが!
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この日は1階は結婚式の2次会か何かで貸切状態だったので、階段を上がって2階の店舗へ。「Wine house Izumiya」とある。
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食事に来たのに、ついうっかり黄金に光り輝くサッポロクラシックを頼んでしまう(一応、小サイズ)。
あぁ、美味ぇ……
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そして、結構ビックリするくらいの早さでスパカツ登場。ああ、鉄板の熱気がすげえよ!

鉄板でミートソースがジュウジュウと音を立てるのを思わず動画に撮影だ。
美味そうではないか!美味そうではないか!

(スマホの調子が悪くて音声が入っていないことに後で気が付くという失態だ)
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鉄板でスパゲティの麺にはパリパリのおこげが出来るほどで、これがまた美味い。ジュウジュウと沸騰するミートソースとカツレツの相性がこんなに良いとは…!
あぁ、美味ぇ……
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上空から撮ったら、湯気であっという間にスマホのレンズが曇る曇る。泉屋はスパカツが運ばれてくる度にあちこちで湯気が立ち上るのだw

ああ、大満足である。
20:10〜
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泉屋本店から目と鼻の先を釧路川が流れており、川沿いの公園は泉屋本店で軽く汗ばんだ身体にはちょうどよい涼しさだ。LEDでイルミネーションをやっており、日本人の他に中国人(台湾人?)カップルもキャッキャキャッキャと写真なんかを撮っていた。
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札幌の豊平橋(豊平川)と旭川の旭橋(石狩川)と共に、北海道三大名橋に数えられる国道38号・幣舞橋
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右岸下流側(フィッシャーマンズワーフMOO側)から左岸の方を向いて撮ってみる。川の反対側は翌日に散策予定の地域だ。
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あっという間に寒くなってきたので幣舞橋から再度繁華街へと戻る。ここは末広町と隣接する栄町のスナック街。このスナック街も、味があるではないか。この通りを抜けた角に、炉端焼きの名店として名をはせる「炉ばた」があるのだが、現地にて「値段が無い」という恐ろしい情報を知り、緊急回避。ちょっとお財布に覚悟が足りない。
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泉屋のスパカツで満腹状態なのだが、せっかく釧路に来たのだから炉端焼きも食べたい。他にリーズナブルな炉端焼きはないかと栄町をうろつくが、満員だったりでどうも上手く見つからない。栄町平和公園の辺りまで来て、もう一回末広町の方に向かうと、写真左側、ひときわ明るい光を放っていたのは風俗の案内所。一応、炉端焼きの店や居酒屋も案内しているというが、なかなか地方都市では珍しいと言えるほど嬢の写真が目白押し。石原慎太郎が浄化作戦やる直前の歌舞伎町の案内所みたいだ。
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結局、末広町をうろつくも手頃な価格ですぐに入れる炉端焼き屋は無く(どこも混んでいて入れなかった)、また風俗案内所の方まで戻って来ると、ごぎけんな酔っ払い衆が「次はどこ行きます?」「おち*ちんフ●ラしてくれる店ー」「ガハハハハ」などと下衆な会話をしていて釧路やべえと思ってしまう。
続けざまにフルスモークのミニバンが来ると、降りてきたのはクッソ寒いのに、コートの下は下着が隠れるくらいのタイトなミニスカに20か30デニールかという薄い黒パンストで太腿を包んだセクシーなお姉ちゃん。周囲をキョロキョロしながらおもむろに若いお兄ちゃんに「〇〇さんですか」と人定すると、二人で腕を組んで夜の街へ。風俗案内所至近のセイコーマート末広4丁目店はデリヘルの待ち合わせ場所になっているのかもしれない。
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根室へ向かう国道44号。李下に冠を正さず、一人旅で遊んでると思われぬよう、ここはスパッと宿に帰るのが夫婦円満の秘訣だろうか。私はセイコーマートで焼きししゃもと茶碗蒸しとサッポロクラシックサッポロクラシック富良野Vintageを1本ずつ買い、宿へ。
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帯広 120kmの青看の横に、マリモの標識が旅情を誘う。そういえばこの直前にみた国道44号の青看には根室 124kmとあった。釧路は帯広と根室のほぼ中間点に位置しているのだ。
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宿へ向かい市役所の東側を行くと、みずほ銀行釧路支店を発見。みずほ銀行は宝くじ(当せん金付証票法で販売できるのは全都道府県と政令指定都市)を販売していることもあってメガバンクの中で唯一全都道府県に支店を置いているわけだが、それでも地方で支店を置くのは県庁所在地くらいまでであり、中核市の中でも八戸や呉、佐世保にはみずほの支店がない。釧路の都市の格は、県庁所在地に準ずる都市ということだろう。
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釧路市役所を回り込むように、釧路プリンスホテルに戻ってきたのは21時になるかならないかの頃。テレビ北海道で「アド街」(野沢温泉)を見ながら富良野Vintageをグビッとひっかけ、だらだらと過ごし23時過ぎに就寝。なのだが、最後にもう2枚だけ。
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これは21時にホテルでスイッチを入れた直後のテレビのEPG画面なのだが、フジテレビ系の北海道文化放送(UHB)だけ「番組データがありません」の状態なのである。NHKと他の民放4局は番組情報がある(余談ながら、スイッチを押した瞬間のチャンネルはテレビ朝日系の北海道テレビ(HTB)であった)。
これはUHBが番組情報をサボっているからではなく、しばらく長い間、このテレビで┐魏,靴UHBを見た客がいないという事である。私も青森の実家に戻って久しぶりにテレビをつけると全局「番組情報がありません」の状態になるが、通常、首都圏の自宅でEPGの番組情報が無い状態になりやすいのは放送大学くらいだ。
視聴者のフジ離れは本物かもしれないと、こんなところからも感じてしまうのである。

(5)につづく

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