青森県道45号十和田三戸線は文字通り十和田市と三戸町を連絡する主要地方道だが、十和田市・三戸町間の自動車での移動は大動脈・国道4号の独壇場であり、里道を継ぎ接ぎしたかのように右左折を繰り返す県道45号で移動する者は皆無であろう。
それもそのはず、青森県道45号には「通行不能区間」があるからなのだ……

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なかなか見ない感じの〔45〕十和田三戸線の標識があるのが新郷村田茂代(たもだい)。終点の三戸町から起点の十和田市へ向かう上り線に設置されている青看だ。よく農道の入口に「農道○○線」というのが出ているが、県道でこれは珍しい。
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翻って同地点の下り線(三戸町)方向の写真がこちら。右折すると青森県道45号の続きなのだが、その行先表示は三戸でもなければ新郷でもなく、今いる地区と同じ田茂代である。それでもとりあえず右折し、田茂代集落の中心部を目指そう。
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田茂代の集落に到着すると、この先 未整備区間のため車両通行止 三八地域県民局の看板が。
バス停のような造りの小屋の中に椅子が並んでいるが、バス路線は無い。
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田茂代集落の中の道路は狭いので邪魔にならないようにクルマを路肩に寄せる。犬の散歩中の高齢女性がいたので挨拶をして「繋がっていない県道を見に来た」旨を伝えると、快く応じてくれた。
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この女性曰く、「奥の田んぼの所までは車でも行ける」というが、さらに奥に歩いて行けるかと聞くと「昔は行けたみたいだが…」と前置きの上で「行けない」と言う。やっぱり本当に通じていないのだろうか。
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快く応じてくれた高齢女性も"青森ナンバー"でやって来たよそ者の行動が気にならないはずはなく、距離を置いて犬を連れて付いて来ているのがわかったが、私の身なりから畑や田んぼを荒らしに来たり山菜の盗掘に来たような輩ではないと判断したのか、気が付くと引き返して行った。
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"青森ナンバー"、というのもここは"八戸ナンバー"の領域で、江戸時代までは盛岡藩の領土である。世が世なら弘前津軽藩の民が盛岡領に闖入しているわけであり、現在も青森市や弘前市よりも八戸市と密接なこの地域では怪しまれるのも無理はない。田茂代の集落から坂を上がると、確かに水田が広がっていた。小規模ながら、棚田のように段差の構造を持っている。
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しかし、十和田から三戸へ向かって右手の水田はもう耕作を行っていないのか、乾いた草原と化している。台地の上なのでかつて水源確保に先人は苦労したであろう。
なお、休耕田を貫く電柱と電線はこの後も出てくるのでお忘れなく。
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北海道の遠別を訪れた際にも思ったことだが、かつての日本人が持っていた「米をとろうという強い執念」に思いをはせることが増えたように思う。ここ新郷村もヤマセ常襲地帯で、コメ作りには決して向かない土地である。
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田んぼのあぜ道を散歩しているつもりになりかけたところで、車道の突き当りに主要地方道青森県道45号十和田三戸線なのだと主張する標識が登場。
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ああ、これのことだね、青森県道45号不通区間ってのは。
廃道歩きなんてのは十年くらいしていないが、すんなり受け入れてしまえる。
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一応、引きで交差点の全景をみてみる。もう一本、三戸に向かって斜め左方向に降りていく小道もあるが、三八地域県民局の標識のおかげでどれが青森県道45号なのか丸見えだ(笑)
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あくまでも車両通行止」なんだな。「対象 車両」と念押しするくらいだし、歩行者なら問題ないだろう。資料通り、不通区間も600mだから行けそうだ。
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こりゃあさすが現役主要地方道・青森県道45号だね。だいぶわかりやすいよ。わはははは。
嫌な予感と緊張で写真がブレておる。
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田茂代集落の南側を流れる頃内川の谷に向けてぐんぐん下って行く。熊避けとハンターの誤射を防ぐためにスマホで大音量で音楽を再生すると、偶然流れたのが安全地帯「プルシアンブルーの肖像」。なんともシュールだ。
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濃い藪ではないけれど、笹は嫌ですねえ……
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こりゃあ確かに車両通行止である。しかしどこが道なのかは非常に明瞭で、歩行者ならまだまだ行けるぞ。
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なまじ道が続いているのが明確なので、引き返せない。あらためて冷静に写真で見ると、行きたくないレベルになりつつある。
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うええぇ、木が邪魔だよぅ。
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藪を薙ぎ払いながら進むと、また道は明瞭になり、前方の視界も開けて来た。本当に不通区間なのかいな。根性で行けるんじゃないか?
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頃内川の谷底が見えてきたが、結構まだまだ標高差がありそうだ。下を覗いてみようかな。
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垂直!落ちたら死ぬ高さじゃねえか!
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いつの間にやら転落に細心の注意を払わなければならない危険な局面に入っていた。大きな倒木も現れ…これはしゃがんでくぐる。下手に跨いでバランスでも崩したら怖い。
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まあでも行けるかな、と思ったその鼻っ柱をへし折るように現れたのがこの斜面の大崩落。写真だとわかんねーべ?現地で見ると結構えぐいぞ。
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路盤がごっそり落ちちゃっている…。それと、頃内川谷底までの高低差が大きすぎる。電柱も向こうに見えてるんだけどなあ。
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「山行が」のヨッキれんさんの松ノ木峠とか日原の大崩落に比べれば小規模で、私でも準備さえして来れば突破できないこともないのだろうけれど、妻子持ちの社会人が突破を決断できるレベルではないな。「ORRの道路調査報告書」のへなりさんも「もしあなたに失うもの(財産、彼女、妻子)があるならば、管理された一般道を走るのが正しい生き方と言っている。これは勇気ある撤退だ。
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それにしても、撤退時の虚しさよ。藪を無理くり引き返し、車両通行可能区間に戻るとホッとした。そして、田茂代集落のすぐ南を流れる頃内川支流の深い沢を築堤で乗り越えていることに気が付く。やはり主要地方道、ただの畦道ではないのだろう。


では、今度は三戸側からトライしてみるとしようか(後編に続く)。


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