青森県道45号十和田三戸線は文字通り十和田市と三戸町を連絡する主要地方道だが、十和田市・三戸町間の自動車での移動は大動脈・国道4号の独壇場であり、里道を継ぎ接ぎしたかのように右左折を繰り返す県道45号で移動する者は皆無であろう。
それもそのはず、青森県道45号には「通行不能区間」があるからなのだ……

前編はコチラ

DSC_1267
回り道に従って、三戸側の不通区間の端点に移動する。1.5車線幅ではあるが全線舗装されており、不通区間の迂回には現地の人たちもあまり困っていないかもしれない。不通区間の入口、わかりやすい。
DSC_1268
三戸側は十和田側よりさらに畦道という雰囲気が強い。Googleストビューでみると、畑と県道の境目が不明瞭になってるくらいだ。
DSC_1292
で…これはクマ用かイノシシ用かわからんが、害獣駆除用の檻だよな。クマにしては小さいような気もするが、イノシシでも会いたくないなあ。
DSC_1293
害獣の檻と、不通区間入口との位置関係はこんな感じ。この辺、害獣出没地帯なんだろうと思うと、なんか嫌になるぜ。
DSC_1269
三八地域県民局の標識のおかげで入口もわかりやすいが、ストビューでの事前調査ではこの看板が無く、現地に来るまでまったく見当もつかなかった。ありがたいんだか、ありがたくないんだか……
DSC_1270
三戸側の不通区間は十和田側より笹薮の密度が酷い。そうそう、今さらながら、auの携帯はこの周辺は圏外である。絶対に生きて、無傷で戻らないといけない。
DSC_1271
こちらも十和田側と同様に頃内川の谷底へ向けてぐいぐい下って行く。
DSC_1272
廃道歩きで笹薮は嫌いだという人は多いのではないか。自転車やバイクでは笹が絡まるし、歩きでも硬く撓った茎が行く手を阻む。
DSC_1273
ただでさえ笹薮だけでも嫌なんだが、もっと嫌なのは「悪臭」がすることである。最初は、入口の畑の堆肥か何かの臭いかと思っていたのだが……
DSC_1274
悪臭は弱まることなく続いており、気が付けば斜面左手に石垣があるではないか。古いかなと思うが、意外にも新しいようで。
DSC_1277
何らかの杭打ちの跡も。道路建設よりは、河川管理か、上の畑地の保護が目的のような気もする。そして、悪臭が堆肥ではないのではないかという考えに至る。
DSC_1275
幼少の頃、祖父とカブトムシを採りに行くときは樹液の出る木々も行くが、実は最も効率よく採れるのが「堆肥を掘る」という行為であり、堆肥も臭いには臭いが、この不通区間に漂う臭いとは明らかに違う。
DSC_1279
この不通区間に漂う臭いは、東京都内のガード下にいるホームレスの臭いに非常に似ていることに気が付く。そして思い出したのは、環境アセスメントの仕事で年がら年中、山を歩き回る大学院時代の同期の林道での話。
DSC_1280
「クマの臭いって、真夏のホームレスと同じ臭いすんだよ」
彼は、福島県の山中でツキノワグマの親子と対峙した経験があり、その時の強烈な印象が、臭いだという。ああ、あの「獣臭い」という表現、本当の獣の臭いから来てるのか!いや感心してるじゃない。もしかしてクマが出るのかここ!?写真を撮る手が震える。
DSC_1281
帰宅して検索すると、新郷村では2016年に新郷中学校付近でツキノワグマが目撃されているという。殺人グマが出る鹿角の山中からは距離があるが、ツキノワでも今は怖い。しかし、電柱の再登場に人のぬくもりもまた感じる。時折、電力関係者は来ているはずである。
DSC_1282
そして、恐怖と緊張の中で思わず「築堤だ!」と声を上げたのがこちら。両脇の低地から路盤だけ高くかさ上げされているのがお分かりいただけるかと思う。
DSC_1283
だがこの築堤が現れたということは転落の可能性も出て来たということだ。十和田に向かって左側には頃内川に注ぐ沢が深く地面をえぐっている。落ちても死なない高さだが、登れるかどうかは怪しい。
DSC_1284
築堤を進むと、前方に場違いな真っ白な人工物が見えて来た。青森県道45号よ、頃内川を渡れるのか!
DSC_1286
だが、なかなか左の沢を渡れそうな気配がないまま築堤の突端が近づいてくる。行けるのか?行けないのか?
DSC_1287
無念、頃内川の本流を渡る歩行者用の白い橋は見えているのだが、その手前の沢を渡る術がないのだ!
DSC_1288
見回すが迂回できそうにない。向こうに見える平場は、かつては水田だったであろう雰囲気だ(国土地理院の地形図では今も水田ということになっている)。
DSC_1289
沢の対岸にさえ渡れれば、白い橋を越えて、不通区間の先に進めるのだが……ここが三戸側からアプロ―チできる最奥部か。
DSC_1290
頃内川の対岸の不通区間の道筋も見えている。そして右前方には、前回の撤収地点の大崩落と、崩落地点から見えた電柱も見える。本当に徒歩でも通過が出来ない区間は100mも無さそうだ。悔しい。
DSC_1291
何度見ても、沢を渡れるコースが無い。沢水を覗くと、渓流魚が泳いでいた。三戸側からの不通区間アタックもこれまでだ。イノシシなのか、クマなのかわからないが、濃い獣の臭いに心が折れそうになりながら、来た道を戻ったのであった。

青森県道45号十和田三戸線不通区間、本当に通行不能だった。
最後に航空写真を見ておこう。
まずは国土地理院の1974〜1978年ごろの写真から。
青森県道45号不通区間1974アニメ
【スマホや携帯でアクセスの方はクリックでアニメ再生されます】

このころはまだ谷底で水田が営まれており、人や農機具の行き来があったのか、道筋がよくわかる。
件の高齢女性がまだ30代の頃だろうか。

青森県道45号不通区間2016アニメ
【スマホや携帯でアクセスの方はクリックでアニメ再生されます】

続いてはYahoo!地図の航空写真。
谷底の水田は休耕田と化し、そこへ農作業に行く人がいなくなったせいか道筋がわかりづらくなっている。
また、崩落個所が衛星でも確認できるほどに。

ここには同じ県道45号の後藤川大橋みたいな立派な橋はかからないんだろうなあ。

崩落点と、沢の渡渉が出来れば通り抜けられるだろうけど…まあ妻子持ちの通る道路じゃないな。
約十年ぶりという久々にして、もうしばらくやらなそうな廃道突入レポ、終了。

blog_rankingクリックでブログランキングに投票!