先日、青森県旧67市町村の人口推移をみてみるという記事を公開したらその日のうちに誰かがFacebookにて共有したらしく、アクセス数が跳ね上がったので旧67市町村ネタを。

今回は、旧67市町村の2018年7月25日現在のコンビニエンスストアの設置状況を見ていきたいと思う。
ただし、人口は2015年国勢調査値を用い、店舗数は2018年7月25日現在値を用いるので、使用した数値の観測時期に差があるのはご容赦を。また、コンビニはセブン-イレブンローソンファミリーマート(サークルKサンクス含む)、デイリーヤマザキミニストップオレンジハートとし、サンボランタリーやモンマート、スパー(今でも青森にあるのだろうか…?)などは除外した。
◆ 人口1,000人あたりコンビニ店舗数をみる

まずは人口1,000人あたりコンビニ店舗数を旧67市町村で比較してみようと思う。
値が高ければ高いほど、住民にとってはコンビニが豊富にあるということになろうか。
旧67市町村人口1000人あたりコンビニ店舗数
【図はクリックで拡大します】
まず触れなければならないのは、青森県の旧67市町村のうち8町村にはコンビニエンスストアが存在しないということである。
その中で最も人口が多いのは旧下北郡川内町で、最寄りのコンビニはむつ市のファミリーマート城ケ沢店。
他にコンビニがないのは川内と同じ下北郡佐井村、風間浦村、旧脇野沢村と、三戸郡新郷村旧西津軽郡岩崎村、中津軽郡西目屋村、旧東津軽郡平舘村

無医村ならぬ「無コンビニ町村」のうち川内以外の7町村は人口でもワースト10に入り、やはり人口はある程度のバロメータになりそうだ。

それから気になったのは、旧8市の中で県庁所在地・青森市の人口1,000人当たりの店舗数が0.426と、旧8市で最も衰退している黒石市に次いで低い値を示していることだ。
一般的に都市部ほどコンビニ店舗数が充実してくる傾向があり、県庁所在地級の規模を持つ八戸市や弘前市では人口1,000人に対し0.5を超える中で、青森市のみガクンと値が落ちるのは、主要3市の中で最も人口減少が激しい青森市をコンビニ各社が「マーケティング上、魅力のない自治体」と見ているのではないかと不安になる。

逆に、今世紀の津軽地方でもっとも人口減少が緩やかな旧柏村は人口1,000人あたりの店舗数が1を超えるという県内最高値を記録するコンビニ充実自治体となっている。
中には「木造店」を名乗りながら住所は「つがる市柏広須」だったりする店舗もあって、つがる市の中心地区を木造から奪おうとする面積最少自治体・柏の勢いが伝わってくるようだ。

ここまでは住民すなわち消費者側の視点で見てきたが、次は店舗配置展開を考えるコンビニ経営会社の視点からみてみたい。
◆ コンビニ1店舗あたり人口をみる

繰り返しになるが、コンビニ1店舗あたり人口を旧67市町村で比較してみる。
値が高ければ高いほど、コンビニにとっては競争が緩くなる。低ければ低いほど競争が厳しくなるということになろうか。
いや、意外とそうでもないかもしれないが、図にしてみよう。
旧67市町村コンビニ1店舗あたり人口
【図はクリックで拡大します】
「無コンビニ町村」は別として、当然ながら人口あたりコンビニ店舗数が充実する自治体ほど、コンビニにとっては競争が過酷な環境ということになる。
前述の旧柏村では1店舗当たり人口が約850人とコンビニにとっては非常に厳しい環境になる。
面積最少自治体にして五所川原市のベッドタウンであり、つがる市最大の商業集積地となる柏はやはり「村」というよりは「都市部」に近い環境なのだろう。
県南地方でいえば、六戸町もこれに近いかもしれない。

市部でいえば八戸市や弘前市も1店舗当たり人口は2,000人を割っていて、都市部の熾烈なコンビニ競争が繰り広げられているであろうと推測される(我が青森市は1店舗当たり2,300人を超える人口があって、八戸や弘前に比べるとずいぶん競争が緩い)。

一方で、およそ都市化が進んでいるとは思えないような自治体で、1店舗あたり人口が少ないところといえば東津軽郡蓬田村の1,448人上北郡横浜町の1,511人などが挙げられる。
蓬田や横浜は地元住民の利用だけではなく、自家用車で長距離移動する利用者の需要を反映させているのだろうと僕は推測する。
蓬田も横浜も、役場周辺の中心部ではなく、国道280号や279号のバイパス沿いや沿線郊外にコンビニが立地していることがその証左かなと思う。


さて、逆に1店舗当たりで人口が多いところといえば競争が緩くなるはずだが、そういった自治体は6,607人の東通村を筆頭に6,441人の深浦町、5,227人の大間町など都市部からの遠隔地が多い。
かつて北海道旧221市区町村別セイコーマート店舗数を調べてみたで触れたように、札幌など道央圏からの遠隔地ほどセイコーマートが強い傾向が出ていたが、青森県の場合はかつてのサークルKがその役目を果たしていたのだろう。
東通、深浦、大間のいずれもサークルKの流れをくむファミリーマートの独壇場なのである。

商品供給拠点から遠隔地となる自治体では、人口があってライバル社との競争が緩いハンディキャップがあってもコンビニが進出できないのだろう。
◆ 旧67市町村別 店舗数最多コンビニは?

最後に、旧67市町村ごとに最も店舗数の多いコンビニが何社なのかを見ておこう。
旧67市町村最大手コンビニ
【図はクリックで拡大します】
青森県全体でみると、1997年に進出して以来勢力を伸ばしてきたローソンの店舗数が最多のようだ。
ローソンが最も多いという所も、旧67市町村のうち28箇所に及ぶ。

一方で、やはり、津軽・下北両半島先端部や深浦などの遠隔地では、かつてのサークルKの流れを汲むファミリーマートが強いようだ。
国内第3都市・名古屋を擁する愛知県が日本のサークルK発祥の地として知られるが、青森県は亀屋みなみチェーンが母体となって設立したサークルKノースジャパンの本拠地として商品供給拠点を設け、ローソン進出前はサークルKの独壇場であった。
さすがに人口が少なすぎる自治体は別として、北海道におけるセイコーマート同様にサークルKが店舗展開を頑張ってきたというのが、統合先のファミリーマートが大間や三厩や深浦を制している様子から見て取れるのではなかろうか。

ところで国内最大手のセブン-イレブンはというと、サークルKの牙城であった愛知県・名古屋が21世紀に入るまでセブン-イレブンを寄せ付けなかったように、2015年に進出したばかりの青森県でもまだそこまで浸透しておらず、首位を取れた自治体は一つもない。
商品供給拠点のある岩手県北上市から距離(長い所要時間)があると全く出店されないこともあって、店舗設置状況も偏りがあるようだ。

下北縦貫道が延伸され、東北自動車道八戸線と接続されれば、むつ市ならセブン-イレブンが進出ということはあるのかもしれないが、北上からみると八戸や青森より近いはずの岩手県二戸市にはセブン-イレブンは未だに店舗を置いていない訳で、どこまで出店範囲は広がるだろうか。


個人的にはサークルKを併呑したファミリーマートには複雑な思いがあるのだが、今はなき亀屋みなみチェーンのDNAを受け継ぐサークルKだった店舗が遠隔地で営業を頑張っているのをみると、応援したくなるのである。

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