本日2018年7月30日付の北海道新聞に「貨物低調 厳しい船出」と題して、宮古−室蘭フェリー航路の苦戦を報じる記事が出た。

当ブログは2015年3月10日に「室蘭港フェリー復活報道を受けての雑感」という記事をアップして、岩手県沿岸の人口の少なさと交通アクセスが決して良くはない事を理由に、「利用はあまり見込めないと思う」と書いてみたり、
2017年6月1日には「青森県は今こそ八戸-釧路のフェリー誘致に動くべき」という記事をアップし、宮古の武器だったはずの「乗船時間のうち2時間は休憩時間に加算されない拘束時間ルール」が無くなったので、「室蘭も宮古じゃなくもう一度、八戸と組んだらどうなのか」と書いて、たぶん関係者(特に室蘭・北海道側より宮古・岩手側)を怒らせるような酷評記事ばかり書いてきた。

ブログの記事更新ネタもあまりないし、当時の予想との検証をしてみようかと思う。
◆ 予想が当たったようで当たってないような苦戦の中身

道新の記事の中見出しには「岩手の道路不便」とある。
僕も2015年の記事で、国交省の平成22年の道路交通センサスを基に札幌南IC仙台南I.Cの移動所要時間で八戸−苫小牧航路に到底勝てないことを指摘していた。
ポジティブな要素として、仙台−苫小牧航路になら所要時間で勝てる可能性と、建設中の三陸自動車道の大部分が無料供用で費用面では優位に立てる可能性も指摘したが、道新には「トラックが1台も利用しない便もある」という衝撃的な事実も報じられた。

三陸自動車道は全通しても暫定2車線だろうから、乗船締切時間ぎりぎりになってしまったトラック運転手が4車線で整備済みの八戸自動車道のように遅い車を90km/hの怒涛の走りで追い越して行くこともできない。
暫定開通中の現在でも、三陸道国道45号で山本譲二の「夢街道」の2番状態で、“煽るつもりはさらさらないが〜ちゃちな車に つい泣かされる〜”とこらえ煙草が目に沁みてるトラックドライバーが想像されてしまった。

話はそれたが、僕は2015年の記事観光客の利用はあまり見込めないと思う。と予想したが、道新の小見出しには「旅客は好スタート」とあるので、これは外した。


一方で気になる文章は「浄土ヶ浜などの観光地が周辺にあり、同社は苫小牧―八戸便よりも旅客の割合が増えると見込む」というもの。

川崎近海汽船の航路全体の旅客輸送量のうち、宮古−室蘭航路の旅客数が八戸−苫小牧航路を上回る見込みだと言っているのか、それとも宮古−室蘭航路と八戸−苫小牧航路を比較すると旅客シェアが高いのは宮古室蘭の方だと言っているのかで、意味は変わってくる。

僕は後者の方、つまり「宮古室蘭航路は、旅客は乗ってるが貨物はあまり載ってない」の方かなと思うのだが、根拠は宮古市と八戸市の観光入込客数の規模が違いすぎることだ。

宮古市の平成27年の観光入込客数は1,216,295人(うち浄土ヶ浜の分は739,101人)。
(出典は岩手県宮古市「宮古市の統計 平成28年版」)
八戸市の平成27年の観光入込客数は6,986,643人と5倍以上の差で圧勝
(出典は青森県「平成27年青森県観光入込客統計」)


宮古の後背地を岩手県全体でとらえても平成27年の数字は27,454,923しかないが、青森県は35,156,570人と800万ほど上回る(出典は岩手県の「平成28 年版岩手県観光統計概要」と、青森県の「平成28年 青森県観光入込客統計」を比較)。
室蘭には登別温泉や洞爺湖があるとはいえ、八戸と結ばれる苫小牧だって支笏湖があるし何より北日本最大都市の札幌市の海の玄関口にもなるわけで…。

今は予想以上の好況の観光面も、いつまで持つかわからんと、僕はやはり思う。
◆ いつの間にか消えた「2時間ルール」言及

それから、今回の道新の記事には、かつてフェリー乗船中の2時間は休憩時間として計上不能だったことへの言及がまったく無いようだ。

10時間程度の所要時間になる宮古−室蘭航路なら8時間の休憩時間が確保できることが、当初の宮古−室蘭航路誕生の強みだったはずだが、その直後にフェリー乗船時間がすべて休憩時間に算定可能となったのでちょうど8時間程度の八戸−苫小牧航路が再評価されつつあるという逆の状況になっていたのである。

それがいつの間にか忘れられたのか、道新は「内陸を走る東北道と比べて積雪が少ないのが利点で、川崎近海汽船が宮蘭航路を就航させる決め手となった」と書かれているが、雪による岩手県内の東北自動車道の通行止時間って、平成19年で一冬にだいたい24時間以内、平成20年でもだいたい30時間以内(NEXCO東日本資料)で、雪で通行止めなんてことは滅多にないのだ。

なんかもう、本来あるはずだった強みがなくなってるのには触れられたくない感じか?

北東北3県は室蘭工業大学に進学する生徒も少なくないから、公共交通機関として室蘭にフェリー航路があった方がよいとは間違いなく思うが、本州側の基地は宮古より八戸や秋田、かつて航路があった青森の方がまだマシなのではないかと考えてしまうのである。

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