帰郷して上北地方某所の車庫兼・農作業小屋でバーベキューをしていたところ。

「なんか白くてでっかいガが入ってきた!」
「なんだあの青いの!?」

と家族が騒ぐので、オオミズアオでも入って来たのかと思ったのだが、

「うえぇ何かすごい黄緑!」

と言うので視線を向けると、綺麗なカマキリが立てかけた梯子に止まっているではないか。

で、こいつ↓ではないんだけど。
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当ブログではときどきご出演のカマキリの皆様。
上の写真は大分県別府市で発見したハラビロカマキリ(♀)だが、私が人生で目撃したことのある国内のカマキリは下記。

・オオカマキリ(鰺ヶ沢町、青森市、今別町など青森県内外各地で多数)
・チョウセンカマキリ(東京都昭島市で1回)
・ハラビロカマキリ(東京都練馬区、小金井市、大分県別府市など青森県外各地で多数)
・コカマキリ(東京都昭島市、小金井市、府中市など青森県外各地で多数)

この4種は一般に発見しやすいのではないかと思う。
意外と大学在学中に東京都内でたくさん見つけているわけだが、僕が子供の頃は「北海道にはカマキリがいない」と言われていたくらいで、青森県も南の地方に比べるとカマキリは多くない気がする。

一方で、「文部省の学習指導要領に沿って」作成したと小学館がコメントをする児童向けの図鑑「昆虫の図鑑」(中山周平 著)にも載るほどなのに、実際に探してみてもなかなか見つかることはないのが今回発見のカマキリ。

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ウスバカマキリ(学名:Mantis religiosa)

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見慣れたオオカマキリに比べると随分と小さく、見た瞬間にウスバカマキリの名は浮かぶが、非常に数が少ないとされているのを知っているので確認したときの感想は「まさか!」の一言。

オオカマキリ♀とウスバカマキリ♂の体格差のイメージ図
なにせ明らかに見慣れたカマキリより小さいのだ。
青森県でもよくみかけるオオカマキリの♀だと、体長は9cmにもなる。九州や沖縄など南方では10cmを超えたりするくらいだ。
ところが、今、目の前にいるカマキリは測定すると体長は5cmを少し超える程度。
まさにイメージとしては普通のカマキリの半分くらいのサイズだ。
オオカマキリの♀とウスバカマキリの♂を並べてみた場合の体格差は、上のイメージ図のようになるのだ。

Mantis religiosa04
ウスバカマキリの特徴として、前脚(カマ)の付け根の内側に黒い模様があることが挙げられる。
これを確認したときは、童心に返るという言葉がぴったりの興奮状態に。

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というのも、ウスバカマキリは環境省のレッドデータブックにも名前が載るほど希少となっているからだ。
一応、環境省の扱いは「情報不足(DD)」であるからまだまだ深刻な状態ではないにせよ、青森県では「絶滅危惧ii類」すなわち「絶滅の危険が増大している種」という扱いになる。

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カマキリは待ち伏せして獲物を捕らえるので本来じっとしていることが多いのだけれど、この個体は交尾相手のメスを探しているオスのためか、とにかくすばしっこく動き回る。


歩き回るウスバカマキリを動画でも。
親戚の声が混入しているがそこはご愛嬌で。

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小屋の中では蚊取り線香を焚いていたので、外の庭木に放す。
さようなら。

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翌朝、同じ場所に行くも気配すらない。

ウスバカマキリの♂が交尾相手を探しにどのくらいの範囲まで遠征するのかわからないが、今回の発見地は実は住宅地である。
田畑が広がる地域だと自然が広がっているようで、農薬をまかれて生き残れないかもしれない。
希少な種類は、意外と人間の暮らしのすぐそばで息づいているのかもしれないと思った次第だ。

とりあえず、青森県の自然環境課にも報告した。
希少種ゆえ次の個体を発見するには越年となるだろうが、機会をみながら周辺のウスバカマキリがいそうな場所で捜索をしていければと思う。

ウスバカマキリ
学名Mantis religiosa
分類カマキリ目カマキリ科
個体の性別
個体の体長52mm
形態成虫
採集地青森県上北地方
採集時期2018年8月
環境省RDBカテゴリDD(情報不足)
青森県RDBカテゴリ重要野生希少生物(B)
(青森県のRDBカテゴリは青森県レッドデータブック(2010年改訂版のカテゴリによる)


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