2008年8月末に「岩木山(弘前市)での地デジ受信」と題して、津軽岩木スカイライン終点の八合目駐車場で秋田波と山形波(鶴岡中継局)の受信を実施したが、どうやら日本海側で大規模なラジオダクトが発生しているらしいと聞いて11年ぶりに同所へ。

なかなかの凄い結果が出たが、まずは津軽岩木スカイラインの走行動画から。

 津軽岩木スカイラインは「クロソイド曲線?何それおいしいの」と言わんばかりのヘアピンカーブと直線ばかりでジグザグに岩木山に登坂する、現在では環境保護の面からも絶対に実現しないであろう凄まじい山岳道路である。
 有料道路としては青森県初の路線であると同時に、他の道路に通り抜けることができない―すなわち終点で折り返すしかない、唯一の往復路線でもある。
 こうした往復路線の有料道路は、現在では北日本(北海道・東北)ではほかに藻岩山観光自動車道、蔵王ハイライン、湯殿山有料道路、羽黒山有料道路とあわせて5路線しかない。

DSC_4562 DSC_4564
 八合目駐車場。とりあえず、南西方面に向けてスキャンをかけてみた。
channel scan
 まだスキャンの途中だが、長野県のテレビ信州とか、富山県のEテレ富山とかとんでもないことになってやがるwwwwwww
 前回は受信できなかった新潟が受信出来れば収穫ありのつもりで来たのに、これがラジオダクトの異常伝搬ってやつか!すげえ…

 では、各局の受信状況(フルセグ/ワンセグ/復調せず)を。

秋田波(大森山親局送信所)
NHKG AKITA
NHK総合秋田
物理ch=48ch
レベル:23
NHKE AKITA
NHK Eテレ秋田
物理ch=50ch
レベル:30
ABS AKITA
ABS秋田放送
物理ch=35ch
レベル:33
AKT AKITA
AKT秋田テレビ
物理ch=21ch
レベル:26
AAB AKITA
AAB秋田朝日放送
物理ch=29ch
レベル:37
山形波(鶴岡中継局)
NHKG YAMAGATA
NHK総合山形
物理ch=34ch
レベル:36
NHKE YAMAGATA
NHK Eテレ山形
物理ch=32ch
レベル:34
YBC YAMAGATA
YBC山形放送
物理ch=16ch
レベル:11
YTS YAMAGATA
YTS山形テレビ
物理ch=18ch
レベル:35
TUY YAMAGATA
TUYテレビユー山形
物理ch=20ch
レベル:49
SAY YAMAGATA
SAYさくらんぼテレビ
物理ch=27ch
レベル:27
新潟波(弥彦山親局送信所)
NHKG NIIGATA
NHK総合新潟
物理ch=15ch
レベル:35
NHKE NIIGATA
NHK Eテレ新潟
物理ch=13ch
レベル:34
BSN NIIGATA
BSN新潟放送
物理ch=17ch
レベル:54
NST NIIGATA
NST新潟総合テレビ
物理ch=19ch
レベル:53
TeNY NIIGATA
TeNYテレビ新潟
物理ch=26ch
レベル:57
UX NIIGATA
UX新潟テレビ21
物理ch=23ch
レベル:61
長野波(美ヶ原親局送信所)
TSB NAGANO
TSBテレビ信州
物理ch=14ch
レベル:13
富山波(呉羽山親局送信所)
NHKE TOYAMA
NHK Eテレ富山
物理ch=24ch
レベル:27
KNB TOYAMA
KNB北日本放送
物理ch=28ch
レベル:27
石川波(七尾中継局)
NHKG KANAZAWA
NHK総合金沢
物理ch=52ch
レベル:21
NHKE KANAZAWA
NHK Eテレ金沢
物理ch=44ch
レベル:20

 YAI YHA!
 大間に続いて、悲運のマグロ漁師・山本秀勝さんの「YAI YHA!(やいやぁ!)」を叫ばずにはいられない。

 一応、Radio Mobileを使って、各送信所/中継局から岩木山八合目駐車場までの地形データをみてみよう。

Omoriyama-Iwaki
 まずはお隣・秋田の大森山親局送信所は距離にして111km。
 岩木山も1625mの山頂なら見通し内にあるようだが、1250mの八合目駐車場では青森と秋田を隔てる白神のどこかの嶺に引っかかるようだ。
 (鉄塔の高さとか、送信アンテナの利得とかの細かい数値は適当にいれたので不適当な数値となってますのであしからず)

Takadateyama-Iwaki
 次は2県隣の山形県沿岸部の鶴岡中継局(高館山)は約215km。
 意外にもこちらは青森と秋田の県境の嶺の低い所をかわして飛んでくるようで、ぎりぎり見通しがあるのか。
 ということは、強力な送信出力と実効輻射電力、北方面にもある指向性などの要素から考えても、異常伝搬でなくとも岩木山なら常時受信可能だろうし、山岳回折がズバッと決まれば津軽平野でも常時受かるポイントが点在しているかもしれない。
 (これも鉄塔の高さとか、送信アンテナの利得とかの細かい数値は適当にいれたので不適当な数値となってますのであしからず)

Yahiko-Iwaki
 いよいよ、異常伝搬以外では未知の領域の3県隣の新潟県の弥彦山親局送信所は約352km。
 当然ながら、この距離になると地球の丸さも影響してきて見通しはない。
 それにしても350kmという距離を超えて民放4局フルセグ復調とは。

Utsukushigahara-Iwaki
 今回、残念ながら復調には至らなかったが、まさかの日本海沿岸県ではない長野県の親局・美ヶ原から飛んできた放送波を認識できたのがとても嬉しかったりする。
 距離はなんと今回の最長となる527km!さすが、2000m級の超高所の送信所だ。

Kureha-Iwaki
 続いて、北陸は富山県の呉羽山送信所も514kmと、美ヶ原に次ぐ長距離。
 ラジオダクトのような異常伝搬でない限り、到底無理な条件ですな。

Nanao-Iwaki
 そして最後は放送区域では5県隣という今回の最遠県となった、石川県の七尾中継局は約489km!
 テレビ朝日系のない富山県でもHAB北陸朝日放送目当ての七尾局受信世帯があるらしい。
 七尾局は能登島からの到来となるが、NHK総合金沢は50Wの出力で52ch(707.14MHz)というハイチャンネルで、ストラーダのフィルムアンテナの動作利得も弱い周波数帯なのに、受かったわ。。。


 ところで、11年前にはフルセグ復調した秋田や鶴岡の局で、今回はワンセグ復調に甘んじる結果となったところも。
 2008年と比べて、地デジの中継局が大幅に増えたのが影響しているかもしれないが、このラジオダクトの影響で別の遠隔地の電波が混信した可能性もあるかもしれない。
 下表のとおり、各物理チャンネルごとの結果を分析してみたい。

物理ch受信局結果日本海側の主な同ch局
13Eテレ新潟1segEテレ札幌親局、青森親局、Eテレ山形親局
14TSB親局FailTVh親局、Eテレ函館親局、NHK山形親局、MRO親局
15NHK新潟1segNHK札幌親局、STV函館、NHK秋田大館、NBS親局
16YBC鶴岡FailNHK青森親局、SBC親局
17BSN親局FullHBC函館、ABS大館、NHK長野親局
18YTS鶴岡1segNHK函館親局、ATV鰺ヶ沢中村、ATV深浦、ABN親局、BBT親局
19NST親局FullHBC親局、TVh函館、ABA鰺ヶ沢赤石、NHK青森深浦
20TUY鶴岡FullNHK青森鯵ケ沢中村、AAB大館、MRO七尾、FBC親局
21AKT親局1segSTV親局、RAB鰺ヶ沢赤石、Eテレ青森上北烏帽子、Eテレ福井親局
22ーSAY親局、TUT親局、FTB親局
23UX親局FullHTB親局、HTB函館、NHK青森上北烏帽子、HAB親局
24Eテレ富山1segABA鰺ヶ沢中村、NHK秋田鷹巣、Eテレ山形米沢
25ーUHB親局、UHB函館、ATV上北、ATV深浦、NHK秋田花輪
26TeNY親局FullRAB上北、RAB深浦、Eテレ青森鯵ケ沢中村、ABS鷹巣
27SAY鶴岡1segABS花輪、NHK富山親局
28KNB親局1segRAB親局、NHK山形米沢、韓国地上波4k
29AAB親局FullAKT花輪
30 ―STV渡島福島、ATV親局、KTK七尾
31 ―AAB花輪
32Eテレ鶴岡1segHTB渡島福島、ABA親局、YBC米沢
33 ― 
34NHK鶴岡1segYTS米沢
35ABS親局1segNHK青森上北外ヶ浜
36 ―ABA上北、ABA深浦
37 ― 
38 ―UHB渡島福島、韓国地上波4k
39 ―AKT鷹巣、ITC七尾
40 ―TVh渡島福島、AAB能代、SAY米沢
41 ―NHK青森鰺ヶ沢赤石
42 ―Eテレ函館渡島福島、NHK秋田能代、HAB七尾
43 ―AAB鷹巣
44Eテレ金沢1segHBC渡島福島、ABS能代
45 ―Eテレ秋田能代
46 ―NHK函館渡島福島
47 ―ATV鰺ヶ沢赤石
48NHK秋田1seg韓国地上波4k
49 ― 
50Eテレ秋田1seg 
51 ―韓国地上波4k
52NHK七尾1seg韓国地上波4k

 こんな感じ。
 秋田局のうち、NHK総合とEテレとABSは新潟・弥彦山親局との混信対策でチャンネル変更が行われているので、2008年との比較は難しい。
 周波数変更がなかったAKTはワンセグに甘んじ、AABはフルセグにギリギリ届くも前回よりレベルを落としている。
 3kWの札幌のSTV親局などの遠方局もラジオダクトで到来し混信しているのか、近傍の鰺ヶ沢赤石局や、同じ県内の上北局の影響なのか、この辺はわからない。

 山形・鶴岡局の復調しなかったYBCやワンセグ止まりのNHK総合とEテレは、非常に飛ぶという天元台の米沢局なのか、はたまたTSBと同じ美ヶ原から飛んでくる長野の親局の影響なのか、これもわからない。

 総務省の資料によれば、韓国で開始された地上波4k(UHD)放送で、広域都市圏で使用する周波数が「日本の放送局(28ch、38ch、48ch、51ch、52ch)と相互に混信する可能性が高い」とあり、ひょっとするとラジオダクト発生時には韓国波が到来する可能性もあるのかもしれないが、韓国UHDを復調させる術は持っていないので調べようがない。

 とりあえず、一部局しか到来しなかった長野・美ヶ原送信所や富山・呉羽山送信所、石川・七尾中継局をみると、到来できなかった局には日本海側の同一chの大出力局や、岩木山近傍の中規模な中継局、また"良く飛ぶ中継局"がいるのは確かなようだ。

Radioduct20190806
 ラジオダクト予報を行っているコチラのサイトによると、8月6日のラジオダクトの様子はこんなだったらしい。
 ラジオダクトの強度が強いエリアはおおむね能登半島より北東側ということで、受信結果にも表れているように思う。よく美ヶ原からTSB来たな……
 8月4日(日)なら北海道から山陰方面まで広がっていたようで、これはもっと凄まじい成果が出たかもしれない。


 ひと通りラジオダクト受信局をまとめたら下山だ。
 津軽岩木スカイラインの下坂も動画にしたのでご覧いただければ。

 そして最後、日本海側は北海道松前を最後に福岡・北九州まで存在しないテレビ東京系がないのがどうも物足りなくて、岩木山北麓方面へ移動。
DSC_4567 DSC_4566
 鯵ケ沢町の第二松代で、方向的には渡島福島局に向いているであろう高利得アンテナの新設世帯も見つけた。
 このまま長平まで移動だ。

北海道波(函館送信所・渡島福島中継局)
UHB OSHIMAFUKUSHIMA
UHB渡島福島中継局
物理ch=38ch
レベル:39
TVH OSHIMAFUKUSHIMA
TVh渡島福島中継局
物理ch=40ch
レベル:31
TVh Hakodate
TVh函館送信所
物理ch=19ch
レベル:14

 時間の都合上、青森県に系列がない2局のみの受信調査としたが、UHBは安定の(といってもいつもギリギリの数値だが)フルセグ復調が決まったのに対し、TVh渡島福島局がレベル31もあっても復調しないのだ。
 電波の強さ的には問題ないのだろうけれど、品質(C/NとかMERの値)に問題があるのだろうなあ。
 秋田のAAB能代局や、山形のSAY米沢局あたりが混信してるのか、あるいはもっと小規模の局の仕業か。
 物足りないから函館局でワンセグ復調を。

 といったところでお開き。
 ねぶたなぬか日に制作した、8月6日異常伝搬調査であった。

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