沖縄県都・那覇市は人口32万弱だが、那覇都市圏の人口となると87万を超え、90万に迫る勢いである(2019年12月1日の推計人口による)。
 那覇都市圏の87万という人口は、平成の政令指定都市第1号である宮城県仙台市が山形県境まで至る合併を実行した1988年頃とほぼ同じ人口である。

 平成時代に成立した政令指定都市は、千葉市を除くとすべて合併で周辺市町村の人口を上乗せし、80万とか70万という数字を確保して成立している。
 三大都市圏内の神奈川県相模原市とか大阪府堺市などは元々の市域だけでも政令市移行可能なだけの人口があったり(この2市の合併相手は規模も非常に小さい)、さいたま市は東京のベッドタウンとして浦和〜与野〜大宮と市街地が連続している特徴がある訳だが、広域合併で人口を稼いで政令市移行条件の「大台()」を確保した仙台、新潟、静岡、浜松、岡山、熊本の6市と、那覇都市圏を地図上で簡単に比較してみたいと思う。

 那覇都市圏を、同一縮尺の地図上に落として上述の6市との比較を行うこととする。
 以下に出てくる図は那覇市役所を、6市の市役所に重ねた地図である。
 (過去の似たような記事 青森県の大きさを比較してみる

()政令指定都市の移行となる人口は50万以上だが、実際のところ約70万人からとなっている。


◆ 熊本市との比較
Naha on Kumamoto
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 まずは同じ九州・沖縄地方に属し、2012(平成24)年に政令指定都市に移行した熊本市と比較してみる。
 熊本市は北九州市、福岡市に次いで九州では3番目に成立した政令市で、人口は739,674人(2019年12月1日現在)。
 他の5市(仙台、新潟、静岡、浜松、岡山)より熊本市は面積が狭いのだが、那覇都市圏の面積はさらに下回る。
 もし那覇都市圏が合併すれば、熊本市を凌ぎ九州・沖縄で第3の都市ということになる。

◆ 岡山市との比較
Naha on Okayama
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 続いて、2009(平成21)年に政令市移行した中国地方第2の都市・岡山市との比較。
 6市および那覇都市圏の中で唯一の民放5局地区でありテレビ東京系列局があるというブランドを持つ「大都会岡山」だが、最南端と最北端の直線距離は約50kmに及ぶ広大な市域である。
 昭和期に破談に終わった倉敷市との合併に成功していれば、これほど広大な市域でなくとも人口100万に到達していた岡山だが、那覇都市圏も隣接の沖縄都市圏ごと合併できれば人口110万は優に超えてくる。

◆ 浜松市との比較
Naha on Hamamatsu
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 政令指定都市が2市以上ある都道府県は神奈川県(横浜、川崎、相模原)と大阪府(大阪、堺)と福岡県(北九州、福岡)、そしてこの浜松市と静岡市を擁す静岡県と、全国に4府県しかない。
 そもそも平成以前は政令市が2市以上ある県は神奈川と福岡のみで、政令市が1市もなかったところからのし上がったのが静岡県で、この浜松市も合併で大台を確保した。
 太平洋に面する浜松はもともとの人口も50万は軽く超えていたが、佐久間や水窪まで合併したため長野と県境を接する全国で一番広い政令市になってしまった(2007年政令市移行)。
 那覇都市圏は、西に90度傾けて配置してみたが、浜松、でかいなあ。

◆ 静岡市との比較
Naha on Shizuoka
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 こちら静岡県都・静岡市も長野県と県境を接しているが、合併を実行する前の旧静岡市の時代から最北端の間ノ岳までが市域だった。
 政令市移行は浜松より早く2005年。
 人口50万に満たなかった静岡市を「70万」の大台に乗せた立役者たる合併相手は清水市で、約23万の人口を稼いだが、今も人口では浜松市の後塵を拝している(個人的には、駅前から中心市街地を歩いてみて、都会な感じは浜松より静岡の方だが……)。
 浜松同様、那覇都市圏は西に90度傾けての配置である。

◆ 新潟市との比較
Naha on Niigata
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 前述の浜松とともに2007年4月1日に政令市に移行した栄転同期がこの新潟市である。
 福島県の会津地方や山形県の庄内地方まで影響力をもたらす有力都市でもあるのだが、元々の新潟市の人口は50万になかなか届かない40万台だった。
 2001年に黒埼町を編入合併したのを皮切りに、計14市町村を編入して人口80万を突破したが、現在は80万を割っている。
 那覇都市圏は北東に45度傾けての配置。

◆ 仙台市との比較
Naha on Sendai
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 大物・ラスボス感があるのが仙台市。
 平成の政令指定都市で人口100万を確保できているのはさいたま市と仙台のみである。
 しかし、さいたま市が合併時から100万を超越したのに対し、仙台の場合はかつて「80万の大台」に上げてくれた泉市(現泉区)がなければ今も人口80万人台にとどまり、「100万の大台」どころか「90万の大台」からも落ちる。
 「平成」のカテゴリーから外れ、同じ1980年代に人口100万未満で政令市移行した広島市と比較しても、広島は合併相手の佐伯区(五日市、湯来)を除いてもきちんと人口100万を突破しており、昭和時代に政令指定都市になれた都市たちと、平成の政令指定都市の格の違いがあるように思う(これもあくまで個人の感想である。北九州みたいに100万割った昭和の政令市もあるし)。
 那覇都市圏は西に90度傾けた。
◆ 那覇都市圏隣接の沖縄都市圏
 
 このように地図上での面積比較を行ったが、一応、比較対象とした6市(仙台、新潟、静岡、浜松、岡山、熊本)の人口と面積の数値も記載する。
 
 それらと那覇都市圏の数字を比べる前に、沖縄都市圏にも触れておきたい。
 沖縄都市圏は那覇都市圏に隣接する都市圏で、中心市は沖縄第2の都市・沖縄市(人口約14万)で、都市圏人口は29万を超えてくる。
 かつて沖縄都市圏に属していた読谷村も、村でありながら単独で約4万という人口を有しており、那覇都市圏に沖縄都市圏、読谷村まで加えるとどうなるか。

人口面積(㎢)
那覇都市圏874,553281.85
那覇・沖縄都市圏1,167,592445.25
那覇・沖縄都市圏+読谷1,207,196480.53
仙台市1,090,698788.09
新潟市795,983726.10
静岡市690,8811388.78
浜松市791,7071511.17
岡山市709,036789.91
熊本市739,674389.53
(岡山のみ2019年11月末日の値、他は2019年12月1日の値)

 ご覧の通り、那覇都市圏+沖縄都市圏+読谷村の合併であれば120万人を突破して、広島市(2019年12月1日の推計値で1,199,401人)をわずかに上回るほどの人口に達するのだが、それでも面積は広島市の半分強しかない。
 人口100万突破なら、那覇都市圏+沖縄市+北中城村でも可能となる。

 これだけ狭い範囲に政令市移行要件の「大台」たる70万どころか100万都市になれるだけの人口があるのだから、那覇市周辺では合併が進行しても良いのではないか。

 政令指定都市移行のメリットは「都道府県からの権限移譲」とか色々御託はあるが、結局のところは「都会」とか「大都市」と外部から認識されることだろうと私は考えている。
 那覇都市圏に90万近い人口があるという事実をきちんと知っている人はともかく、そうではない人に那覇市だけの人口の数字を見られて「30万都市」ということで青森や盛岡などと同レベルの田舎の県庁所在地の一つだと認識されるか、合併で「100万都市」になって広島や仙台並の大都市だと認識されるか、その差は大きい。
 かつて周波数割当(那覇30ch)まで行きながら開局できなかった南西放送だって、那覇が100万都市だったら当時の日テレも沖縄県での開局まで頑張ったかもしれない、などと思うのである。


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