一部ながら青森県津軽地方に山岳回折利得によって秋田テレビ(AKT)秋田大森山親局送信所の受信をもたらすのが、青森・秋田県境地帯の峰々(白神山地、大鰐山地等)である。

 ──青森で秋田の放送を受けることができるのなら、秋田で青森の放送を受けることも出来るのだろうか。

 秋田の大森山から送信される場合と、青森の馬ノ神山から送信される場合で、当然、山岳回折が決まるルートは変わってくる。
 青森側にAKT親局の受信(フルセグ/ワンセグ問わず)をもたらす山は小岳、陣岳、陣場岳、尻高森、烏帽子岳、田代岳などがあるが、大まかに地形データを分析した結果、秋田側の人里に馬ノ神山の電波をもたらす可能性がありそうなのは陣場岳田代岳大日影山であった。

 新型コロナウイルス禍による県境越えが解禁され、秋田県で受信調査を実施したので記事にする。

▲ 陣場岳回折波を男鹿市で受信

 地形データの分析の結果、男鹿市払戸(旧南秋田郡若美町払戸)にて馬ノ神山からの放送波を回折1回で受信できそうなことが判明したので、今回の遠征の最遠目的地と設定した。
 払戸の読みは「ふっと」。
 秋田道 八竜ICで降りて秋田県道42号で大潟村を南下しながら払戸を目指すと、大潟村と男鹿市の境界付近から払戸にかけ、FM青森が非常に良好に受信できた。

 

 県北の大館や鹿角ならともかく、県都秋田市まで約30kmという男鹿市で、中華飯店幡龍の「待ってるはんで〜」という津軽弁や、「♪うみねこ中古車フェアァー!」のサウンドロゴや、「〽ご飯の国からやってきた〜お米大使がやってきた〜ご飯を食べると勇気が湧くぞ青森モリモリ青森米」のCMソングが聞こえてくると結構ビックリする。

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 払戸交差点の角にちょうど物産直売所と飲食店を兼ねた施設があり、ここの駐車場にてNHK Eテレ青森ワンセグ復調を確認した。
 NHK Eテレ青森は物理chが13chと一番若く、ERPも青森局で最も強い8.9kWなので、秋田でも受信しやすいとみている。

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 レストランしらやまで「男鹿岩のりラーメン」を昼食とする。岩のりがたっぷりで、海苔好きには嬉しい。

 ちょうどAKTで11時半からの「Live News days」を放送している時間だったのだが、後から来た地元のオドサマ二人組が「チャンネル変えで良いがぁ?」と店のお姉さんに聞いている。
 お姉さんが「どうぞリモコン使ってくださーい」というと、オドサマの一人が┐魏,靴董◆屬いおい、今あなた見てるのAKTだろ」と思ったその次の瞬間だった。



 081−0[AKT]秋田テレビ
 

 
 ええええええええ!
 レストランしらやまさん(男鹿市払戸)、AKTの081に枝番ついてますけど!?!?




 確かに秋田市ではかつて秋田ケーブルテレビがテレビユー山形(TUY)の区域外再放送を実施していたし、男鹿半島でも高台などでは同局の遠距離受信が可能とは聞いているが、払戸の標高は4m前後しかないのでTUY鶴岡局は電波の見通し範囲外になるはず。
 かといって、青森にフジ系は無いし、岩手めんこいテレビ仙台放送の可能性は限りなく低いとなればやはりさくらんぼテレビ(SAY)なのか。

 ということで、会計の際にお姉さんに「もしかして、ここは山形のテレビ映るんですか?」と聞いてみる。
 答えは「ここは映らないです。天気次第で、たまーに映ったりするみたいですけど、常時は映らないです。」だった。

 おおおお。払戸、条件次第だが青森と秋田と山形の3波受信もできるのか。

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 この近郊の受信状況を確かめたくなり、お土産を買いに船越のアマノまで行くこととし、船越(南側)に向かってはTUYにチャンネルを合わせながら移動し、帰りはまたEテレ青森にして北上することにした。

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NHK Eテレ青森
青森局物理ch=13ch
レベル:11
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NHK 総合青森
青森局物理ch=16ch
レベル:9
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青森放送(RAB)
青森局物理ch=28ch
レベル:0(反応有)
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青森テレビ(ATV)
青森局物理ch=30ch
レベル:0
joahhutto
青森朝日放送(ABA)
青森局物理ch=32ch
レベル:4

 結論から言うと、やはり電波の見通し範囲外という地形データと、レストランしらやまのお姉さんの「常時は映らない」の情報を裏付けるように、TUYは全くダメだったが、青森局はEテレNHK総合ワンセグ復調し、ABAも復調こそしないがレベルが4まで上がった。
 Eテレのレベル最高値は船越の跨線橋の頂上部での瞬間値であり、あくまでも参考値。結局、レストランしらやまさんの駐車場での数値計測となった。

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【払戸からのカシミール3D画像。陣場岳の延長線上に馬ノ神山がある】

 予想していた事ではあるが、残念なことに男鹿の人にとって最も重要であろうTBS系のATVは全く反応なし。
 ATVは物理chが30chだが、これは寒風山中継局のABS秋田放送と重複になってしまう。

 もともとABSは大森山親局が17chを総務省から割り当てられていたが、新潟弥彦山のBSN新潟放送との混信が発生したため苦肉の策で寒風山中継局を建てており、これがATVに被ってくるとは。
 まあ、他局の数値を見てみると、寒風山局がなくても受かるとは思えないレベルではあるが、陣場岳は青森から秋田へも山岳回折の恵みをもたらすとは。

▲ 田代岳は失敗も、別の回折点を発見

 払戸での調査を終えて青森に帰る際は、Eテレ青森にチャンネルを合わせて秋田県道42号を北上したが、レベル10程度でワンセグになる地点が2か所ほどあった。


 一か所目は五明光橋の近くの北緯40度3分31.98秒、東経139度57分53.25秒付近の右コーナーを抜けた先。


 二か所目は西部承水路と東部承水路を隔てる築堤上の北緯40度5分20.15秒、東経139度59分59.78秒付近のストレート。この先、八竜中学校付近まで微妙に反応が出ていたことをお伝えしておきたい。

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 帰宅して地形データをみてわかったことだが、藤里駒ケ岳(1158m)の山岳回折ルートだ。
 藤里駒ケ岳は大森山から津軽方面への伝搬の場合、延長線上に岩木山(1625m)がそびえているため津軽では山岳回折受信には使えない山なのだが、馬ノ神山から秋田方面への場合は岩木山の東側を通過して藤里駒ケ岳に到達し、八竜から大潟村北西部のあたりに回折波が降りてくるとは。
 地形図上で、馬ノ神山の山頂の三角点と、男鹿の寒風山の山頂の三角点を直線で結ぶと、ほぼ藤里駒ケ岳の山頂に近い場所を通過しているんだなあ。
 これは追加調査やりたいぞ。。。

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 一方で、北秋田市の松ヶ丘の新興住宅地は期待外れの結果に。
 地形データをみた感じでは、田代岳の山岳回折1回で降りてきそうな場所だったのだが、空振り
 ストリートビューでは青森に向いていると思しきアンテナ設置例もあるのだが、アナログ時代の遺物なのだろうか。

秋田県道24号・大館能代空港地下道トンネル 鷹巣市街方向に走行中、ATVワンセグ復調

 松ヶ丘はエフエム青森の受信状態も完全に砂嵐で、失意の中で大館能代空港ICを目指し秋田県道24号の大館能代空港地下道トンネルを北上しているとトンネル内から川口南交差点付近までATVレベル14でワンセグ復調したりと、地形データで山岳回折を予測することの難しさも感じた場所だった。
 空港地下道だと、西股山とか田代岳周辺の無名峰に何回もぶつかって、山岳回折は上手くいかなそうな感じなんだけどなあ。

▲ 大日影山回折波を受信、区域外再放送する大館ケーブルテレビ

 最後は大館市の大館神明社に立ち寄って大館ケーブルテレビの受信点を見ておいた。

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大館ケーブルテレビ受信点全景
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受信アンテナ拡大
 
 大館ケーブルテレビはATVの区域外再放送を実施しているが、大鰐町と大館市の境にある大日影山(820m)付近の稜線で山岳回折した馬ノ神山親局の電波を受信しており、受信点のある大館神明社周辺の住宅の多くが青森方面に30素子高利得UHFアンテナを高く上げ設置する景観はなかなかのものがあった。

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 大館神明社に参拝後、神社北側の住宅地を写したものだが、ほとんどの家が青森に向けアンテナを建てATVを受信しているようだった。
 車載テレビのアンテナレベルも26まで上がり、市街地で見通しが悪い中でもなかなかの数値が出ていた。

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 この後、大館市街を抜けて大館北ICに向かう際に常盤木町の飲み屋街を通ったわけだが、「青森」という店名のスナックに思わずブレーキを踏んでしまった。
 大館。多くの市民がATVを見ているし、買い物も秋田市に行くより弘前や青森市に行く方が便利で、青森県との交流が盛んな都市ではあるが、店名に「青森」ってのは凄いな。

 叶うことなら、またこうして秋田県で受信調査をやってみたいものである。

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