津軽地方で秋田・大森山親局送信所の放送波を山岳回折で受信させる山は数か所あるが、割と有望な山を新たに見つけたかもしれないので簡単に報告。

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 五所川原市下岩崎の北部、毘沙門との境界に近い県道36号五所川原金木線
 県道36号を金木方面から南下する際、津軽鉄道と毘沙門駅付近で接近した直後にAKTワンセグ復調することは気が付いていたのだが、受信可能範囲が狭くフルセグにも届かないことから、これまで紹介してこなかったポイント。

五所川原市下岩崎受信点(2020年7月15日)
2020_07_15 11_17 Office Lens
AKT秋田テレビ
物理ch=21ch
レベル:31
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NHK総合秋田
物理ch=48ch
レベル:21
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NHK Eテレ秋田
物理ch=50ch
レベル:17
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ABS秋田放送
物理ch=35ch
レベル:30
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AAB秋田朝日放送
物理ch=29ch
レベル:16


 実はAKTアンテナレベルを30以上に持ってこれる山は多くない
 鶴田と五所川原と柏の一部にフルセグをもたらす陣場岳と、常盤方面で強く反応する田代岳などを除くと、山岳回折自体は成立してもレベル20台以下のケースが多い。

 この山の名は尻高森

 この伝搬路上には弘前市と板柳町の境のりんご大橋などもあり、確かに弘前市立新和中学校がある弘前市種市の岩木川土手でアンテナレベル20くらいまで上がるのは事実だが、どうしても近隣の鶴田の野木ならフルセグ復調が受信することから、尻高森の伝搬ルートにあまり注目していなかったことを反省したい。
 
 尻高森の標高は977mだが、伝搬路の青森県側の延長線上には三角点のある標高801.6mの高地や、洪水森(785m)などがあって、これらが支障するため弘前北部や板柳北部、鶴田東部ではフルセグに届かないとみていたが、もっと距離をとって五所川原の下岩崎まで北上すれば801m高地と洪水森をかわせるのか。

 答えは「否」だ。

K3D SHIMOIWASAKI
 こちらはカシミール3Dで現地から見える山々を出したもの。
 尻高森は洪水森が邪魔で、五所川原市下岩崎からは見えない。

 確かに下岩崎は距離を取る分、弘前市種市の岩木川土手の場合よりも伝搬条件は良さそうだが、AKTの電波は大森山から飛んできて尻高森で回折した後、もちろん洪水森にも接触するが、それ以前に尻高森周辺の約3.3kmに渡って標高850〜950m程度の尾根を通過しており、回折回数は相当に多そうなのだ

 多重回折でも、これほどまでに強く受信できるケースもあるとは。

srtkmrroute
 しかも、だ。
 これは秋田・大森山と五所川原市下岩崎の受信点を結ぶ伝搬路(ピンク色の線)に、尻高森山頂を通過する垂線(黒色の線)を引いて、垂線の断面図を出したもの。

 前述の通り尻高森回折伝搬路は約3.3kmの長さをもって西目屋村と大館市の境界の尾根を通過しており、この平均台のような尾根から少しでも左右にずれると一気に標高が落ち込み、上手く山岳回折が成立しないらしい。

 このため、下岩崎の受信点から10mも移動してしまうと全く映らなかったりして、尻高森ルートはかなり狭いシビアな幅で飛んでくるのだろう。
 マスプロ電工のLS306TMHなど多素子の超高性能アンテナは利得において非常に優れるが、指向性も鋭く取るため半値幅は狭く、尻高森の回折波を狙う場合はわずかな角度の調整でまるで成果が違ってくる可能性が高いと予想する。
 低利得ではあるが、普及型の14素子アンテナなど半値幅の広いアンテナの方が尻高森の回折波は受けやすいかもしれない。

 山岳回折利得という言葉からは、山に電波が当たって回折すれば電波が強くなりそうだと誤解しそうだが、山が天然のブースター(増幅器)の機能を持っているなんてことはなく、基本的には山に当たれば電波は弱くなるのである。
 確かに直接波と大地反射波が山頂で合成されて電波が強くなるという説明はあるが、複雑な日本の山岳地形で直接波と反射波の合成が上手く成立する所など稀だろう。
 陣場岳や田代岳はその近隣の陣岳や烏帽子岳との間にも東西方向の尾根が発達しており、山頂から多少位置がずれても受信可能性があるのだが、尻高森はかなり難しいと思われる。
 それでも条件さえ合えばクルマのフィルムアンテナでも容易にアンテナレベル30まで上がるし、ここはAKT以外の局も比較的レベルが上がる傾向があり、NHKABSは陣場岳ルートより強く受かるのである。
 
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