しばらく動きがなかった陣場岳回折ルート上(旧西津軽郡地域)某所でのフジテレビ系・秋田テレビ(AKT)の固定受信計画だが、完結したので報告。

 使用した受信機材はアンテナがLS206TMHで、ブースターがUBCBW45SS、既存の青森局受信用アンテナとのUHF-UHF混合器はMXHUD-Pと、基本の3点セットはマスプロ電工製を採用した。
 LS206TMHの動作利得はAKTの21ch約13dBUBCBW45SSの増幅利得は45dB

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【バンドパスフィルター BPF-U21K】

 事前に某アンテナメーカーに機材の相談をしたところ、青森局と秋田局のチャンネル構成上、混合にはAKTの21chのみを通すバンドパスフィルター(BPF)が必要との助言があり、同社に紹介されてサイトウコムウェア製のBPF-U21K(特注品)を追加した。
 非常に微弱ながら山形県の鶴岡局の電波も陣場岳の山岳回折によって到達しており、秋田向のアンテナを設置すると異常伝搬時に鶴岡局が青森局に混信してしまうことも、BPF-U21Kの設置判断に繋がった。

 ここからが進まなかった。
 
 以前の屋根の上なら自ら作業もできたが、現在はコンクリート柱なので高所作業が出来ない。
 近隣の電器店や工務店に相談するも「やったことがない」とか「高所作業車を持っていない」と断られる。
 何とも、遠距離受信の実績が少ない津軽平野らしい反応である。

 地元業者では厳しいかもしれないと判断し、かつて北海道文化放送テレビ北海道の函館局に向けてアンテナを向けていた青森市の電気工事会社に連絡してみると二つ返事でOKが出た。
 自分がブログ管理人であることをリアルの人に知られてはいけないと思っているインターネット老人世代なので、その社長から当ブログの記事を紹介された時は困惑したが、お値段が良心的だったので工事をお願いした(社長、ありがとうございました。あずましく映っています。内緒にしてくださいね)。

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アンテナ LS206TMH

 そして工事日が決定したが、数日前からは「これで映らなかったら」と心臓に悪い日々が続いた。
 確かに過去に何度もフルセグ復調には成功しているが、あれが全部、ラジオダクトなどの異常伝搬日にたまたま当たって映っていただけだったらどうしようか。

 当日も、高所作業車のゴンドラの上でアンテナ調整しながら測定器とにらめっこする社長の動きを緊張して見ていられない。ただひたすら、陣場岳を眺めながら手を合わせていた。

 社長から「"秋田放送"、映る!」のコメントが出たときはホッとした。
 ただ、高所作業車から降りてきてマスプロ電工製のレベルチェッカー・LCV3の画面を見せられると、秋田テレビの電界強度は29dBμV/mしかなく、MER(変調誤差比)も9.5dBという低い数値。余談ながら、一縷の望みを託して見てもらったテレビ北海道函館局(19ch)の電界強度は21dBμV/mでさらに低く、「"北海道放送"は厳しいな」とのことだった。
 MERとC/Nの値はほぼ同じと聞いており、C/N=9.5dBで映るんだろうかとまた不安になるが、経験豊富なプロの言葉を信じるしかない。

 それから、バンドパスフィルター BPF-U21Kは使用しない方がよいのではないかとの話が出た。BPFも損失になるのは間違いなく、ギリギリの戦いになることから山形波(鶴岡局)の妨害混信がないか検討の上、使用しないことに決定した(無駄になってしまった)。

 こうして、リモコンの┐魏,靴討澆襪函帖

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津軽平野でフジテレビ系列受信確立!

 テレビ東京系のある函館局の受信は惜しくも叶わなかったのが悔しいが、日本テレビ系(RAB)テレビ朝日系(ABA)TBS系(ATV)フジテレビ系(AKT)の民放4系列が確保できた。

 アンテナレベルはSHARPのアクオスで42前後で安定していた。
 地上デジタル放送の受信に十分なレベルではないかもしれないが、ギリギリ、なんとか持ちこたえるレベルである。ときどき、ブロックノイズが出るが、経験的にはむつ市で岩手めんこいテレビを見ているのに近い感じだ。実用的と言える。
 BPFを挿入しなかった関係で秋田朝日放送(AAB)も復調する結果となったが、そちらはレベル60まで上がった。
 
 嗚呼、素晴らしき哉、陣場岳の山岳回折!
 陣場岳という奇跡の山から恵みを授かり、こうして山岳信仰は生まれるのだろうなあと実感している。
 ありがとう陣場岳。

 これで、10月10日21時〜のフジテレビ系列の「鬼滅の刃」も津軽で視聴可能になる。

 アナログ放送時代、当地は鷹森山から放送されるVHFのRABNHKの電波状況があまり芳しくなく、馬ノ神山のATVABAを受信するためのUHFアンテナ1本で五所川原中継局の電波(RABは44ch、NHKは46ch)を受信していた。

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【アナログ放送時代、なぜか映っていたABS秋田放送11ch】

 このためVHFアンテナは取り付けていなかったのであるが、上記画像の通り、秋田県の日本テレビ系列局・秋田放送が11chで映っており、秋田局の受信に可能性は感じていた。
 残念なことにアナログ時代はAKTが37chで、ATVの38chと隣接となるため受信がかなわなかったが、地デジでは奇跡的なチャンネル割当の結果、福音がもたらされた。
 本記事を読んでいただき、もしも私と同じように津軽で秋田テレビ(AKT)の受信を目指そうとお考えの方がいらっしゃればお伝えしておきたいことが何点かある。
 
 まずはアナログ放送時代、特に何もしていなくても、秋田の電波がビリビリでも良いから届いていたかどうかである。
 2chに秋田の教育テレビ、9chに秋田のNHK、11chに秋田放送が入っていたという人は、秋田局の山岳回折が成立する土地に住んでいる可能性が極めて高い。

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【ブースター UBCBW45SS】

 ただし、山岳回折が成立する地理条件でもVHFとUHFでは伝搬の仕方が違うので、私のように地デジの受信が成功するかは保証できない。
 45dBの強力なブースターをもってしてもワンセグが限界だったり、ワンセグすら復調できない場合もある。
 
 保証は出来ないが、それでも可能性はある。
 FMラジオを手に、下記の周波数を設定してほしい。
 
 82.8MHzのFM秋田がノイズなく明瞭に受信できれば、秋田テレビも可能性はある。
 FM秋田は秋田テレビと同一鉄塔を使用しており、山岳回折の条件に非常に参考になると考えている。
 FM秋田に少しでもノイズがあるようであれば、おすすめしない。
 
 続いて、FM秋田よりも電波が弱い90.1MHzの秋田放送(ABS)ラジオが受信できるか確認してほしい。
 FM秋田の実効輻射電力は16kWと強力だが、1.8kWしかないABSラジオもノイズなく明瞭に受信できるなら、さらに可能性は上がってくる(可能性が高いとは言っていない)。
 もっとも、繰り返しになるがFMラジオの周波数帯であるVHFと地デジのUHFでは伝搬の仕方に違いがあるので、これらもあくまでの目安である。

 これらFMの受信が出来れば、地上デジタル放送対応のカーナビや、テレビ搭載のAndroidスマホかワンセグ機能搭載のガラケーで、チャンネル設定を「秋田」にして┐僚田テレビを選択し、アンテナを秋田に向けてワンセグでも復調するようなら可能性はある。

 これらの条件をすべて満たしていれば、挑戦する価値はある。
 
 いずれにせよ、いきなりLS206TMHとかUBCBW45SSとか高性能な機材を用意するのは危険である。
 今回、結局使うことのなかったバンドパスフィルターのBPF-U21Kは受注生産品で、アンテナやブースター以上に高価である(わたしのお小遣い1か月分では買えない)。
 
 高性能な機材=受信を保証する機材ではないのだ。

陣場岳陣岳
【西目屋村と弘前市相馬地区の境に聳える陣場岳の遠景】

 津軽で秋田テレビが映る範囲は、陣場岳や田代岳、烏帽子岳などの回折ルート上の限られた地域となり、地理的要素がカギを握ると考えている。
 国土地理院の地理院地図で地形データを確認し、山岳回折が成立する地形なら、手持ちのFMラジオやワンセグ対応のかつてのガラケーやカーナビなどを使用することで、本番も成功するかどうかある程度予測がつくだろう。

 最高の受信機材を買いそろえるのは、最後である。
 それでも映らない可能性はあるので、その覚悟がある人のみ挑戦者となりえるのだろう。
 
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