青森と秋田の県境地帯の山々によって津軽にもたらされる、山岳回折による電界強度推定図シリーズの第3回(第1回は陣場岳第2回は小岳)。
 
 今回は県境地帯の山ではないのだが、青森県最高峰・標高1625mの岩木山による山岳回折を取り上げる。
 実は、岩木山の山岳回折によるものでは移動受信にあまり成功したことがなく(本気でやってないのもあるが)、ちょっとシミュレーション結果には自信がない。

 岩木山は、秋田市の大森山にある秋田テレビ(AKT)の秋田局(親局)からの方向は約10.0度方向。
 大森山から岩木山への伝搬路上に非常に近いところに藤里駒ケ岳(1158m)があって、藤里駒ケ岳は馬ノ神山にある青森局から秋田県男鹿半島方面への山岳回折を実現させる有望な山なのだが、逆の場合は大森山から飛んできて藤里駒ケ岳が回折した電波は岩木山に遮られてしまい津軽平野まで降りてこない。

 そんな藤里駒ケ岳の壁となる岩木山を仮想・岩木山中継局と見立て、周波数521MHz(最小周波数518MHz、最大周波数524MHz)、送信高1625m、送信方向10.0°(角度1°ズレで-10dB、2°ズレで-20dB)、実効輻射電力0.3Wにて津軽方面へAKTの電波を出すシミュレーションを実施した。

岩木山山岳回折推定電界強度
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 今回は自画自賛して良いのかわからない出来。

 岩木山から10°方向に半値幅2°で発射してみると、森田から田光沼を経て、岩木川が十三湖に注ぐデルタ地帯へと、おおむね津軽の新田地帯を伸びていくようだが、新田の中心たる木造の市街地や、稲垣の中心部は通過しないようである。

 それでも、ところどころ人家が建ち並ぶ集落地帯を貫きそうな場所もあり、拡大してみていこう。
岩木山山岳回折電界強度推定図(森田)
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 まずは森田周辺の状況から。
 岩木山北麓の原野や畑地を貫きながら伝搬路を北上し、最初に集落単位で可能性がありそうなのは鯵ケ沢町建石の餅ノ沢で、フルセグ復調の可能性が高い36〜42dBμV/mの萌黄色の地点があるが、移動受信でワンセグ復調すら確認できていない。もっとも餅ノ沢を貫く県道31号は伝搬路とほぼ直交しており、クルマのフィルムアンテナは鰺ヶ沢、弘前いずれに向かって走る場合も受信指向性はよくないので、映らないだろう。きちんと方向調整してみるか、FM秋田で実験してみるか。
 その北側、萌黄色になる新小戸六ダムの堤上でワンセグ復調経験があるが、たしかレベルは20くらいでフルセグには程遠い感じだった記憶。
 森田の旧国道101号沿いでは森田郵便局周辺に36〜42dBμV/mの萌黄色の地点があるが、岩木山側が上り勾配の斜面になっていて微妙だろう。岩木山の頂上が良好に望めていれば試してみる価値はあるかもしれないが……。
 森田より北側の木造の福原とか菊川千代田は広大な水田地帯であり岩木山の眺めも良く興味深い。移動受信ではあまり芳しくないが、この3集落のうちの一つで、秋田方向を向く30素子アンテナを見たことがあるのだ。プライバシーの問題もあるので集落名や位置は明かさないが、今でもあるだろうか……
岩木山山岳回折電界強度推定図(田光沼)
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 次は木造新田北部・稲垣・車力方面。
 林や菰槌、千年(稲垣)、舘岡、筒木坂、牛潟と、新田の集落も屏風山の集落もことごとく外れて伝搬路が通過していく。山田川沿いの水田地帯を36〜42dBμV/mの萌黄色が伸びているのだが……
 それでも田光沼北西岸の下牛潟 鶴舞岬の集落は比較的有望な気がする。ここまでの伝搬路上に市街地は無く、もしも岩木山から良好に回折波が降りてくるならば品質は良いはずだ。
岩木山山岳回折電界強度推定図(十三湖)
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 最後に山田川と岩木川が悠然と流れる十三湖南側方面を。
 車力の豊富の千貫の南側の方は36〜42dBμV/mの萌黄色で、試す価値はあるかもしれない。その北側の富萢の集落も同じ萌黄色だが、岩木山方向に丘がなく開けていればともかく、期待できるか微妙な感じだ。
 中里側は、若宮の集落がかするかと思ったが、伝搬路外。道の駅十三湖の高台は良さそうだが、移動受信では辛うじてAKTワンセグ受信できたが、あまりアンテナレベルは上がらなかった場所。
要注意!! 受信の可否を保証するものではない

 今回も重要なことなので書いておくが、Radio mobileでのシミュレーション結果と実際の伝搬状況が一致しているとは限らない。

 シミュレーション結果からは有望と考えられても、実際には空振りに終わる可能性もじゅうぶん有る。
 

 津軽新田方面でFM秋田を聞いている限りでは岩木山も山岳回折で秋田の電波をもたらしている山だとは思うのだが、どうも地デジとなると微妙なようで、移動受信では経験上あまり芳しくない。
 それでも、前述の通り旧木造町の某所で南向きの30素子アンテナを上げる一軒家も見ており、津軽で秋田テレビを見ている先輩かもしれない。どうしてもどうしてもフジテレビ系リアルタイム視聴が必要な時は、クルマのテレビでワンセグ受信なら出来るという場所は確実にある。
 あまり期待は持たせたくないが、津軽新田も「絶対に無理だと絶望する地理条件でもない」とだけ、お伝えできれば幸いだ。 
 
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