青森と秋田の県境地帯の山々によって津軽にもたらされる、山岳回折による電界強度推定図シリーズの第5回(第1回は陣場岳第2回は小岳第3回は岩木山第4回は陣岳)。

 今回は五所川原市下岩崎で車載テレビ(Panasonic製ストラーダ)でアンテナレベル30超のワンセグを記録している尻高森(977m)の山岳回折について。
 青森県西目屋村と秋田県大館市の県境にあり、秋田市の大森山にある秋田テレビ(AKT)の秋田局(親局)からの方向は約14.6°方向なのだが、県境線の尾根が見事に14.6°くらいのラインになっており、多重回折になってしまう。
 山岳回折は基本的に回折回数1回の場合が最も良好で、回折回数が増えるほど電波の伝搬は悪くなる。

 ただまあ、何回か通ってみても五所川原の下岩崎ではアンテナレベル30前後のワンセグを確認できており、小岳の山岳回折では秋田から160kmの市浦脇元でワンセグが受かるという事例もあるので、多重回折の電界強度をみていこう。
 
 尻高森を仮想・尻高森中継局と見立て、周波数521MHz(最小周波数518MHz、最大周波数524MHz)、送信高977m、送信方向14.6°(角度1°ズレで-10dB、2°ズレで-20dB)、実効輻射電力0.3Wにて津軽方面へAKTの電波を出すシミュレーションを実施した。

尻高森山岳回折推定電界強度
【画像はクリックで拡大します】

 やっぱり厳しそうだ

 県境の尾根に多重回折した後も洪水森などに遮られるため、弘前市内ではほぼ絶望的な状況である。
 板柳周辺から0〜6dBμV/mの青色と表示されるエリアが出てくるが、経験的に鶴田や板柳の国道339号バイパスで受信経験は皆無である。
 弘前市種市の津軽りんご大橋の西側の岩木山土手でワンセグというのが唯一の事例だ。
 VHFの方も、FM秋田であればノイズ混じりながら多少は受かったりもするが、ABSラジオは反応すらない。実に厳しい結果を反映させていると考えている。
尻高森山岳回折推定電界強度(五所川原)
【画像はクリックで拡大します】

 とはいうものの、下岩崎での実績から五所川原市周辺だけはみておこう。
 下岩崎の受信点近くに18〜24dBμV/mの青緑色の所もあるが、これはさすがに厳しいように思う。
 電界強度が弱すぎるため、45dBブースターで増幅してもノイズに負けてしまう気がする(ブースターは信号だけではなくノイズも増幅する)。

 尻高森の山岳回折が機能すれば、旧五所川原市でも希望が開けると思っていたのだが、尻高森は下岩崎などごく一部にホットスポットをもたらす以外は厳しいのだろう。
要注意!! 受信の可否を保証するものではない

 今回も重要なことなので書いておくが、Radio mobileでのシミュレーション結果と実際の伝搬状況が一致しているとは限らない。

 シミュレーション結果からは有望と考えられても、実際には空振りに終わる可能性もじゅうぶん有る。
 

 このような感じで、主に弘前市北部と西北五エリアに秋田テレビ受信をもたらす可能性のある山を5つ紹介したが、実際のところ有望なのは陣岳陣場岳、それに岩木山が加わるかどうかというところ。
 小岳は秋田から160km以上の市浦まで飛び、尻高森も多重回折ながら五所川原の下岩崎にホットスポットをもたらすという特徴があるが、これらはどうしてもフジテレビ系同時視聴が必要な時にクルマで出かけてワンセグで見るという、移動受信向けだろうか(市浦の人なら小泊漁港まで行って渡島福島を狙った方がよいか)。

 次回は、弘前市および南津軽郡方面をみていく。
 
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