青森と秋田の県境地帯の山々によって津軽にもたらされる、山岳回折による電界強度推定図シリーズの第7回(第1回は陣場岳第2回は小岳第3回は岩木山第4回は陣岳第5回は尻高森第6回は無名尾根と長慶森)。

 陣岳の締めで「次回は、弘前市および南津軽郡方面をみていく。」と書いてから2か月以上が経過してしまった。
 回折点となる山は大館市の烏帽子岳(1133m)と雷岳(1128m)で、秋田市の大森山送信所からの角度はそれぞれ17.4°、18.0°になるのだが、なんで2か月間更新をためらったかというとだ。

 弘前市街地を通過するもんで、慎重にならざるを得なかった。

 弘前市ってのは都市圏人口では青森都市圏に匹敵する都市であり、もしも当ブログを読んだ方から「弘前でもフジテレビ系が見れるぞ」という断定形の誤った形で大きく広まってしまった場合、「おめえ映るって書いだはんでアンテナ建でで電器屋呼んで高ぇジェンコ払ったず無駄になったべな」と余計なトラブルになるのが非常に心配なのである。
 「ひょっとしたら奇跡的に映るかもしれない」くらいに考えてもらえれば幸いである。
 
 烏帽子岳を仮想・烏帽子岳中継局、雷岳を仮想・雷岳中継局と見立て、周波数521MHz(最小周波数518MHz、最大周波数524MHz)、送信高901m、送信方向17.4°と18.0°(角度1°ズレで-10dB、2°ズレで-20dB)、実効輻射電力0.3Wにて津軽方面へAKTの電波を出すシミュレーションを実施した。

 まずは烏帽子岳の方から
烏帽子岳 山岳回折推定電界強度
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 烏帽子岳から17.4°方向に山岳回折した電波はまず久渡寺山(663m)の山頂付近に42〜48dBμV/mの黄色の電界強度の分布域をみせ、その後は県道126号久渡寺新寺町線に沿うような形で弘前市街地に達する。
 弘前市街の西寄りを進み、藤崎町から五所川原市七和方面へと延びていくラインであり、ライン上には移動受信でのワンセグ復調点もいくつか存在している。
 拡大してみていく。
烏帽子岳 山岳回折推定電界強度 弘前南部
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 弘前市南部の住宅地である桜ヶ丘付近から電界強度の色が付き始めるが、住宅が立ち並んでいるせいか県道126号からは見通しが良くなく移動受信でのワンセグ復調経験はない。
 試してみるのは面白いかもしれないが、このエリアはあまり自信がない。
烏帽子岳 山岳回折推定電界強度 弘前中央
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  続いては弘前都心部が入ってくる。
 弘前城本丸・旧天守閣(未申櫓)跡の展望台周辺はお城からお岩木山を眺める絶好のスポットなのだが、なんとAKTをはじめとする秋田局のワンセグがガラケーで復調可能であることを確認している。
 ここはさすがにクルマでは立ち入れないし、LS146TMHのような高性能アンテナを持ち込むのも憚られる場所なので調査未実施だが、36〜42dBμV/mの萌黄色のラインから推定すると「映る」ような気がしている。
 ただ、五十石町とか紺屋町とか栄町の方は弘前城本丸より標高が低いので、シミュレーション通りいくか未知数である。
烏帽子岳 山岳回折推定電界強度 弘前北部・藤崎
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 そのまま北へ弘前市をみていく。
 岩木川左岸の藤野や右岸の清野袋36〜42dBμV/mの萌黄色が通過しており、こちらも挑戦する価値があるかもしれない。
 さらに北の岩賀のファミリーマートの駐車場は私も移動受信でワンセグ復調経験がある場所である。クルマではフルセグに届かなかったが、こちらもガラケーで受かってしまうなかなか良いロケーションの場所である。
 平川を超えると藤崎に入るが、弘大の農場を通過して林崎方面へ抜けていく。
烏帽子岳 山岳回折推定電界強度 常海橋
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 俵舛や常海橋方面。
 俵舛は水田地帯でAKTフルセグ復調可能な地点があると聞いている。私のクルマの移動受信ではアンテナレベルが30に届くか届かないかといった結果であったが、LS146TMHのような高性能アンテナにブースターを組み合わせれば受かる可能性が高いとみている。
 俵舛以北も可能性はあると思うが電界強度は30〜36dBμV/mの黄緑色が広く支配するようになっており微妙である。
烏帽子岳 山岳回折推定電界強度 七和
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 最後は五所川原市東部方面。
 こちらの記事で取り上げた七和受信点(五所川原市持子沢)はまさに伝搬ラインの中心にあり、これが好結果に繋がったのだろう。
 集落内の住宅が建ち並ぶ場所でも安定しているので、水田の際など見通しが良い場所や、屋根の上のアンテナであれば映る見込みがあるのだろうと考えている。

 次は雷岳の方もみてみる。

雷岳 山岳回折推定電界強度
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 ご覧の通りで、途中の地形があまりよくないようで、弘前市街地での電界強度分布のシミュレーション結果は烏帽子岳よりよくない。
雷岳 山岳回折推定電界強度(藤崎・常海橋)
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 雷岳は烏帽子岳の東隣の嶺であり標高こそ5mほどしか違わないが弘前市内ではあまりよくなく、電界強度が30〜36dBμV/mの黄緑色で希望が出てくるのは平川より北の藤崎町付近からとなる。
 藤崎中心部はシミュレーション上は悪くないが、移動受信での復調経験はない。
 藤崎より北側では、前述の俵舛の近隣の柏木堰とか滝井は興味深い。

雷岳 山岳回折推定電界強度(高野)
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 そして五所川原東部。
 高野36〜42dBμV/mの萌黄色が点在していて可能性があるかもしれない。電波到来方向から角度がずれるが県道35号五所川原岩木線ワンセグ復調を確認できている。
 その後は主にリンゴ果樹園や山林などが広がっていくが、狼野長根公園(楠美家住宅)でもワンセグは確認済み。
要注意!! 受信の可否を保証するものではない

 今回も重要なことなので書いておくが、Radio mobileでのシミュレーション結果と実際の伝搬状況が一致しているとは限らない。

 シミュレーション結果からは有望と考えられても、実際には空振りに終わる可能性もじゅうぶん有る。
 
 やはり西北五の人間なので弘前方面はそれほど詳しくなく、遠距離受信の実績のある方々からツッコミが入りそうな気がするが、烏帽子岳雷岳も山岳回折で津軽にAKTをもたらす有力な山ではある。
 保証は全くできないが、「絶対に無理だと絶望する地理条件でもない」ことはお伝えできれば幸いだ。

 いよいよ次が最後、田代岳である。
 
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