ミルコ
 これまで8回に分けて山岳回折による津軽地方での秋田テレビ(AKT)の受信電界強度推定図を紹介してきたが(第1回は陣場岳第2回は小岳第3回は岩木山第4回は陣岳第5回は尻高森第6回は無名尾根と長慶森第7回は烏帽子岳と雷岳第8回は田代岳)、弘前市街地で秋田テレビ(AKT)受信の可能性がありそうなのは烏帽子岳田代岳の伝搬ルートくらいであった。

 烏帽子岳と田代岳の間に位置する雷岳も、伝搬路上にある長慶峠北東の884.2m高地が支障して弘前都心部では多重回折になってしまうため芳しくない。
 陣場岳も旧岩木町の一部や弥生地区、三和地区などでは有望であるとみているが、弘前市街地の西側を通過してしまう。

 弘前都心部で烏帽子岳田代岳の伝搬ルートから外れる地域は諦めるしかないのだろうか?

 秋田テレビ(AKT)が無理なら、北海道文化放送(UHB)渡島福島局なり岩手めんこいテレビ(MIT)二戸局を試してみる。
2021_02_04 18_14 Office Lens
【2010年に弘前市の座頭石付近で受信したTVh渡島福島局

 UHBとかめんこいと言うと、弘前でフジ系受信は無理だと決めつけている層からはミルコ・クロコップの反応が返ってくると思うが、アナログ放送時代は弘前大学の学生寮や一部の一軒家等でUHB渡島福島局が受信されていたのである。
 ワンセグ止まりではあるが、弘前市一野渡(座頭石付近)の山間部のりんご果樹園でテレビ北海道(TVh)渡島福島局の受信ができることも確認している。
 渡島福島局の受信に成功すれば、八戸や盛岡や仙台や山形では不可能なテレビ東京系を含めた受信が確立される。
 弘前にはそのポテンシャルがあるのである。

 それから、情報提供者から許可は得ていないので詳しく書けないが、弘前にも岩手めんこいテレビフルセグ受信に成功している世帯がある。
 それも岩木山の斜面とかの僻地ではなく、弘前の人口集中地区(DID)内に位置する都心部での話である。Googleストリートビューで弘前都心部をくまなく見て回れば、二戸に向いた立派なアンテナが確認できるが、シミュレーションすると確かに烏帽子岳でも田代岳でも秋田テレビ(AKT)の受信は難しい位置にある。

 「あきらめたらそこで試合終了だよ」なのだ。
 報われると限らないが、あきらめなければ三井寿になれるかもしれない。

 こうやって書いても馬鹿げた話のように感じるだろうが、弘前は秋田、渡島福島、二戸と選択肢が3つもあるのである。そんな都市は滅多にあるものではない。青森市の場合、函館局に向けてダメなら他に選択肢はない。
 てなわけでまずは渡島福島局をシミュレーションしてみる

 北海道福島町の檜倉岳にある渡島福島局からみて福島町中心部がだいたい170°方向なので、標高400mで170°方向にERP=8Wでシミュレーションしてみる。

渡島福島局弘前DID方面推定電界強度図
【画像はクリックで拡大します】

 24〜30dBμV/mの黄緑色の所が標高の高い所に分布するが、弘前市街地ゆえ建造物の陰になったり、電気機器や自動車のエンジンなど様々なノイズの影響を受けてなかなか上手くいかないだろう。

 こちらの記事で書いた通り、渡島福島局はERP(実効輻射電力)がアナログ時代よりかなり弱くなっており、弘前での受信難易度は上がってしまった。

 やっぱり無理じゃねーかと突っ込むのはちょっと待ってくれ。

 渡島福島局から弘前市街地は電波の見通し距離内にあるので、地形的には地平線に遮られず直接波が届く条件が整っている。
 青森市街地で函館局を受信する場合、標高10mとか20mだと不可能であるのを考えれば、青森で函館を狙うより弘前で渡島福島局を狙う方が有望というものである(電波の見通し距離についてはこちら)。
 二戸をシミュレーションしてみる

 二戸局がある折爪岳から弘前の間には多くの山があり、直接波受信はできない。
 秋田局を狙う場合と同じように山岳回折を利用することになるが、有望な回折路を検討するにあたり、まずは範囲を弘前のDIDに限定してみようと思う。
 
2nohetohirosaki01
【画像はクリックで拡大します】

 弘前のDIDがすっぽり入る範囲を求めると、二戸からみて約293.34〜298.56°の範囲になる。
 地図上で電波伝搬路と重なる国道などの線形がグニャグニャになっている様子からも、非常に険しい地形だと想像できる。
 本当にこんな地形でも山岳回折を成功させる猛者が弘前にいるというのが恐ろしい。

2nohetohirosaki02
 ちなみに弘前のDIDは拡大するとこの範囲。
 撫牛子と千年を結ぶラインの中に、奇跡的に山岳回折をキメることができる範囲はあるのだろうか?
 さっそく、Radiomobileで二戸局から弘前市街地方面をシミュレーションしてみる。間をとって送信方向は296°で、半値幅6°でERP=390Wで弘前方面に出すシミュレーション結果が下図。

二戸局弘前DID方面推定電界強度図
【画像はクリックで拡大します】

 
 折爪岳自体に900m近い標高があるので田子とか三戸の山は普通に超えることができるらしく、水面の標高が400mの十和田湖を越えて十和田湖西側の外輪山付近までは60dBμV/m級の電界強度のエリアが存在している。
 が、十和田湖から浅瀬石川沿いの山々がかなり厳しい感じにみえる。

二戸局弘前DID方面推定電界強度図(小国葛川切明)
【画像はクリックで拡大します】

 十和田湖西側の、切明とか小国とか葛川方面を拡大したのが上図。
 十和田湖外輪山をみると岩岳のほか、雪中行軍を描いた映画「八甲田山」で高倉健演じる徳島大尉が率いる弘前隊が越えた「元山峠」など複数の嶺に60dBμV/mが出ている。

 だが。
 
 十和田湖西側の外輪山や、さらに西側の高地や山が山岳回折波を弘前方面に飛ばしてくれるのだが、まず南半分は三ツ森(872m)に遮られる。
 生き残った北半分も、かつてヒメギフチョウの分布で名高かった平賀の矢捨山(564m)に遮られてしまう。
 三ツ森と矢捨山の隙間をくぐりぬける奇跡的な伝搬路に希望を繋ぎたいが、そこにも大舘山(347m)が立ちはだかる。

 なんと無慈悲な。

 
 それでも、弘前に成功者がいるというのは事実であり、「ここなら通るのかもしれない」というルートはあった。
 高倉健が元山峠に登る手前で右手に見えていたであろう、御判如森の南の嶺を通過する約295.9°のラインがそれである。

 無論、当地に秋田テレビ(AKT)の受信をもたらしてくれる陣場岳のように山岳回折が1回でキマるような地形ではない。
 しかし、五所川原の下岩崎・毘沙門方面での結果がある尻高森のように多重回折でも可能性はある。

二戸局弘前DID方面推定電界強度図(863高地経由弘前都心)
【画像はクリックで拡大します】

 御判如森の南の嶺から、陣場岳と同じERP=0.3Wでシミュレーションした結果がこれである。
 24〜30dBμV/mの黄緑色のラインが、中央弘前駅や鍛冶町、弘大病院の付近を通過し岩木方面に抜けるのだ。

 1階建とか2階建の一軒家ではほぼ不可能だろうが、ビルなど高層建築物の屋上にそれなりの規模のアンテナを設置すれば、可能なケースがあるのだろう。

 確かに成功する可能性は非常に低いが、やみくもに青森市で函館局を狙うよりは弘前で二戸を狙う方が可能性があるだろう。絶望する条件ではないのだ。

二戸弘前間断面図
【二戸局−弘大病院間の伝搬路地形断面図】

 二戸局−弘前市街地間の伝搬路をみると、基本的には十和田湖外輪山にぶつかった後、小国や切明の山々に何度もぶつかり、回折回数が3回以上で弘前に到達することが多いのだが、奇跡的に回折2回のみで弘前に到達する隙間があることがわかった。

 受信難易度は易しい順に「山岳回折回数1回で伝搬する秋田局」>「きわめて微弱ながら直接波が到達する渡島福島局」>「山岳回折回数が複数におよぶ二戸局」となると考えられるが、チャンスは3回あると考えたい。
 田代岳や烏帽子岳の伝搬路上などを除き、山岳回折の条件が良くない場所なら秋田局は無理であるので、渡島福島局や二戸局の可能性に賭けるしかない。
 何回も言うが、地形条件から函館局受信は無理で諦めるしかない青森平野(後潟など北部を除く)より、弘前の方が選択肢が多いのは事実である。

 今日2月5日の東奥日報に弘前・土手町で複合施設を核に再開発構想という記事が出ているが、もしここが近隣のポレスター弘前公園やライオンズマンション弘前一番町を上回る超高層ビルになるならば、渡島福島と二戸には受信成功可能性がある立地だとみている。
 最後に恒例の当地の受信状況報告を。

秋田民放3波受信データ(2021/1/30)
FEM表示画面表示値
2021_01_31 12_20 8秋田テレビ(AKT)
AntLV=50
POWER=-49dBm
C/N=19dB
BER 7.69E-4
2021_01_31 12_20 5秋田朝日放送(AAB)
AntLV=50
POWER=-45dBm
C/N=19dB
BER 7.96E-4
2021_01_31 12_21 4秋田放送(ABS)
AntLV=34
POWER=-56dBm
C/N=13dB
BER 2.20E-2


 1月30日の津軽の天候は、午前中は猛吹雪で強風だったが午後は少々落ち着き、時折小雪が舞う曇りの天気。
 AKTAABも映像の乱れは目視確認されず、良好な状態が続いていた。電波の強さはAABの方が少し良いが、品質はAKTの方が良かった。ABSは今回も復調せず。

aktkdkngrm
【孤独のグルメ2020大晦日スペシャルが放送中だった】

  AKTを見ていたら、テレビ東京系で2020年12月31日に放送されていた「孤独のグルメ2020大晦日スペシャル」が放送されていたので鑑賞。
 青森市の自宅ではケーブルテレビでテレビ北海道(TVh)が視聴可能だが、大晦日はNHKの「紅白歌合戦」をリアルタイム視聴し、RABの「笑ってはいけない」を録画したため、惜しくも「孤独のグルメ」は断念していたのである。

 (今回は「孤独のグルメ」を録画していなかったが)県外の放送で録画した番組を見れずにいるうちに、地元局の遅れネットで放送されているのをたまたま見てしまうというのは“遠距離受信あるある”かもしれない。
 
 職場にいる南部出身の同僚に聞くと「めんこいで録画したのに忙しくて見れないでいるうちにATVでやってるの見ちゃう」ってのはあるようだ。

OWANI
【おおわに冬季観光キャンペーンCM】

 それから、AKTで青森県南津軽郡大鰐町のCM「おおわに冬季観光キャンペーン」を初めて見た。その後、ATVでも見たが、秋田の方で先に見てしまうとは。
 新型コロナ禍ではあるが、これに「県外県外」と目くじらをたてることはない。
 大鰐町からみれば、同じ青森県内の八戸市やむつ市より、秋田県の大館市や能代市、鹿角市などの方が近いのである。
 冬の間なんて大鰐から十和田湖に直行する国道454号・102号は雪による閉鎖路線であり、大鰐町役場からだと東北道−八戸道経由で八戸市庁まで行くより、秋田市の秋田県庁に行く方が近いのである。

 それにしても、バブル期の観光開発に失敗して早期健全化団体に陥った大鰐町が、青森や秋田のテレビ局にまたCMを流せるほど体力が戻ってきた
というのが感慨深い。

 バブル崩壊後の1990年代前半のスキーブームの頃、西武系の鰺ヶ沢や雫石、リクルートの安比高原なんかが盛んにCMを流していたが、その中でも「♪OWANI」という独特のサウンドロゴが印象的な大鰐温泉スキー場のCMは記憶に残っている。

 1990年代は蛍光色の「APPII」のロゴステッカーを貼ったRV車が関東でもガンガン走っていたくらいなので(2000年代以降の「水曜どうでしょう」ステッカーブームより多かったと思われる)、全国的はAPPIIの方が有名なのだろうが、OWANIのCMもなかなかシャレオツでナウかったように思う。
 
blog_rankingクリックでブログランキングに投票!