受信実験に出かけたいのだが、異常伝搬の季節である。
 異常伝搬抜きで、普段から映るということが証明できなければ遠距離受信のすそ野も広がらない。
 
 さて、青森の県境線に近い秋田県大館市の田代岳連峰(田代岳、雷岳、烏帽子岳、茶臼岳など)で成立する山岳回折によって、吉野田(浪岡)郷山前(浪岡)前田野目(五所川原)持子沢(五所川原)常海橋(板柳)福舘(常盤)矢沢(藤崎)岩賀(弘前)大久保(弘前)AKT受信可能であることを確認してきた。

久井名舘集落から見た田代岳連峰
【旧常盤村久井名舘から望む田代岳連峰

 ふと思い出したことが。
 2021年01月15日に公開した記事田代岳の山岳回折で津軽で秋田テレビが映るかもしれない地域にて、旧常盤村久井名舘についてこんなことを書いていた。

 久井名舘の東側については知人によれば「グイナのオヤグマギの家でやったばてマイネがった」

 意訳すれば、久井名舘の親戚の家で実験したが失敗した、となるが。

 久井名舘って、受信に成功した郷山前より西側に位置するのだよ。

 てなわけで国土地理院の地形図上で久井名舘集落を中心に、前田野目吉野田郷山前の各受信点への伝搬路の線を引いてみる。

久井名舘集落
【久井名舘を縦断する田代岳山岳回折波の伝搬路

 2019年10月23日にPanasonicのストラーダでアンテナレベル31でAKTワンセグを確認していた地点は集落の西側を縦断する農道上であり、地形図上ではピンク色の点をプロットした。吉野田への伝搬路はこの至近を通過していることになる。
 原田種苗本店にほど近い地点で受信に成功した郷山前への伝搬路は、久井名舘集落内の東寄りを縦断する。

 知人のオヤグマギの家の具体的な位置を晒すわけにはいかないので(そもそも知らないが)、地形図上で標高18mの点と、秋田市大森山のAKT秋田局を結ぶ線も引いてみる。
 久井名舘への伝搬路は、吉野田への伝搬路と郷山前への伝搬路の間を伸びていくことになり、これだけ見れば上手くいきそうな気もするが。

 カシミール3Dで精密に断面図を分析してみる。

AKT-TSR-GUINADATECHUO
AKT秋田局−久井名舘中央(18m地点)の伝搬路断面図】

 ああ!久井名舘の集落の中心部だと三ツ森(949m)に引っかかるのか!
 三ツ森は南津軽郡大鰐町と秋田県大館市の県境の尾根に位置し、三ツ目内川の源流を抱く949mの山である。グイナはこれさ引っかかるのか。。。
 これが久井名舘で「オヤグマギの家でやったばてマイネがった」の原因になるのだろう。

 大森山のAKT秋田局から久井名舘の方角は18.92°になる。

AKT-TSR-YOSHINODA
AKT秋田局−吉野田受信点の伝搬路断面図】

 不安になって吉野田の方も断面図を取ってみるが、三ツ森に引っかかることなく無事に回折は1回のみ
 なかなか芸術的な山岳回折が決まる地形断面図だなあと感心してしまう。こりゃあ120kmも離れていても遠距離受信が成功するというものである。

 ちなみに吉野田受信点は、大森山のAKT秋田局からの方角は18.68°になる。
 久井名舘との差は−0.24°しかない。

AKT-TSR-GOSANMAE
AKT秋田局−郷山前受信点の伝搬路断面図】

 郷山前の方も、断面図を見ると三ツ森に引っかかることなく無事に回折は1回のみ
 大森山のAKT秋田局からの方角は19.07°になる。
 久井名舘との差は+0.15℃。

 AKT秋田局から吉野田受信点と郷山前受信点で方角差はわずかに0.39°という幅しかないが、その中に三ツ森に遮られるエリア──久井名舘中心部のような例もあるということだ。

三ツ森山頂付近
三ツ森付近の色別標高図】

 最後に、三ツ森付近の地形(標高)を見ておく。
 見事なまでに久井名舘(18m地点)への伝搬路が三ツ森の山頂至近を通過しており、多重回折になる様子が地形図からも読み取れた。

 ただ、久井名舘でも西側の農道に近い方や、東側の一部などであればAKT秋田局受信は可能だろう。
 
 晴耕雨読、異常伝搬の季節は地図とにらめっこして過ごすしかないな。

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