青森周辺 主要県外局見通し(伝搬)距離 推定値()
受信高
(m)
送信所・中継局
秋田鶴岡函館渡島
福島
二戸
055.374.880.382.4123.6
159.479.084.486.5127.7
564.584.189.591.6132.8
1068.387.993.395.4136.6
1571.290.896.398.4139.6
2073.793.398.7100.8142.0
10096.5116.0121.5123.6164.8
300126.6146.2151.7153.8195.0
1250200.9220.5226.0228.0269.3

 何回か当ブログで掲載している、青森県で遠距離受信の対象となりうる県外の局の見通し(伝搬)距離の早見表。
 あくまでも各送信所の送信高の推定値から算出しているので目安だが、受信側の標高が1mならUHBの見通し(伝搬)距離は函館局で84.4km、渡島福島局で86.5km前後だろう。
 函館山の函館送信所の送信高を380m、前二股山の渡島福島局の送信高を400mとして計算したものである。

 今回のタイトルにある西津軽郡鯵ケ沢町中心部は、渡島福島局からの距離が85km前後となる。

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【鯵ケ沢町の受信実験3か所の地図】

 かつて行っていた車載テレビでの移動受信では渡島福島局受信に苦戦した。
 渡島福島局ではUHBATVアナログ親局と同じ38chだったので、地上アナログ放送の終了までチャンネル被りのない40chTVhで実験をしたこともあったが、当初は小泊でなければ不可能なのではないかとさえ思っていた。
 ようやく鯵ケ沢町長平の標高の高い地点で受信を確認できたのが2011年9月、人家に近い鯵ケ沢町大和田の大和田配水場で受信成功したのは2019年4月だった。

 大和田の配水場は車載テレビではギリギリ受かる感じだったので、実際にどの程度の望みがあるのか不透明なところもあったが、LS56AMP-UKを組み合わせてみたらかなり良い成績を叩き出すことがわかったのが前回の記事である。

eas030
William R. Hepburn氏の予報サイトから引用】

 というわけで、2022年11月12日、実際に鯵ケ沢町中心部で渡島福島局の受信に可能性があるかどうかを分析するため、現地調査を実施した。
 William R. Hepburn氏の予報サイトによればラジオダクトの発生もほとんど無さそうである。
 アンテナはマスプロ電工・LS56、ブースターはサイトウコムウェア・AMP-UK、ケーブルはマスプロ電工・S5CFB20Mを3m、受信機はSHARP・AQUOS(受信電力値が7デシ下方ずれ)で、受信点は鰺ヶ沢漁港(鯵ケ沢町本町)と鯵ケ沢町鳴戸の2か所である。

DSC_6384
【鯵ケ沢町本町の漁港岸壁からはまなす公園方向を望む】

 まずは鯵ケ沢漁港の岸壁からである。渡島福島局からの距離は85.42km。
 標高が1.5mしかないため、三脚の上にLS56を組んでも受信高が3mしかないので見通し距離は89.5kmである。見通し距離と実距離の差は4km程度しかないが、一応、見通しはある。

 ここで38chUHB40chTVhの受信実験をした。

鯵ケ沢漁港 UHBTVh渡島福島局受信データ(2022/11/12)
FEM表示画面表示値
2022_11_12uhb鯵ヶ沢漁港北海道文化放送(UHB)
渡島福島局UHF38ch
AntLV=5
POWER=-77dBm
C/N=1dB
BER 3.94E-2
2022_11_12tvh鯵ヶ沢漁港テレビ北海道(TVh)
渡島福島局UHF40ch
AntLV=7
POWER=-78dBm
C/N=1dB
BER 3.94E-2

 UHBTVhもC/N=1dBで惨敗。
 アンテナレベルは一桁ながら出ていて受信機もUHBTVhだと認識はしているっぽいが、これではワンセグすら無理

 しかし青森港の堤埠頭の岸壁で函館局の見通し外受信をやった時よりは数値を見てもマシな感じではある。なにせ受信電力の値が全然違う。電波が北海道から届いていればこその数値だろう。一応、鯵ケ沢港は渡島福島から見通し内なのである。

DSC_6383
【鯵ケ沢町本町の漁港岸壁から渡島福島局方向】

 青森市での函館遠距離受信の惨憺たる結果にも通ずるところがあるが、海上伝搬は見通し距離より多少の余裕がないと厳しいのだろう。
 はまなす公園周辺の七ツ石の住宅を見ていても、渡島福島向きのアンテナが朽ちている家が散見されており、鯵ケ沢の沿岸の標高の低い市街地は厳しいのだろう。
 家の屋根の上なら8mから9mの受信高はあると思われるが、それでも厳しいのだろう。
 もはやTVerのネット配信がある時代、遠距離受信が勝つにはワンセグ止まりでも良いとはならない。フルセグを勝ち取らねばならない。

DSC_6385
【鯵ケ沢町鳴戸 町役場下の旧国道101号沿い】

 続いてやってきたのは鯵ケ沢町鳴戸、鯵ケ沢町役場の下の旧国道101号沿いのかつて焼きイカ屋のあった空き地である。
 もともと役場は鰺ヶ沢町本町にあったが、老朽化とか津波対策とか色々な理由で鯵ケ沢町鳴戸の旧鯵ケ沢第一中学校だった場所に移転してきたのである。

 焼きイカ屋跡の空き地は、渡島福島局からの距離が84.85km。
 標高は22mあるため、三脚の上にLS56を組めば受信高は23.5mに達し、渡島福島局からの見通し距離は102.4km程度ある。これなら見通し距離にも結構な余裕が生まれる。

 とはいえ、かつての車載テレビでの結果は芳しくない場所である。車載テレビでも受信に成功している大和田配水場に比べると標高は34mも低い。
 鳴戸、LS56AMP-UKの組み合わせでどうなるか。

鯵ケ沢鳴戸 UHBTVh渡島福島局受信データ(2022/11/12)
FEM表示画面表示値
2022_11_12uhb鯵ヶ沢役場下北海道文化放送(UHB)
渡島福島局UHF38ch
AntLV=54
POWER=-60dBm
C/N=21dB
BER 9.00E-6
2022_11_12tvh鯵ヶ沢役場下テレビ北海道(TVh)
渡島福島局UHF40ch
AntLV=53
POWER=-60dBm
C/N=20dB
BER 3.00E-6

 UHBTVh受信成功!

 やはり受信高さえ稼げれば鯵ケ沢は今でもUHBTVhが受かるのだ!
 当ブログの試算では、鰺ヶ沢町で標高15m以上の地域に建つ2階建ての建物、屋根に上がって小泊の権現崎が見通せる場所なら可能性はあるとみる。
 鯵ケ沢町は受信可能自治体なのだ。

 このところ送信出力1kWの函館送信所とか秋田親局とばかり格闘している中、送信出力1W・ERP7.8Wでも、85kmの海上伝搬を経て北海道松前郡福島町から青森県西津軽郡鯵ケ沢町まで北海道の電波は届いている事実は本当に感慨深い。
 
 「といっても旧国道101号沿いの人が住んでない場所なんでしょ?」と思うなかれ。
 鳴戸地区の住宅地は旧国道101号より標高が上である。

DSC_6390
【鯵ケ沢町鳴戸の渡島福島局受信世帯】

 鯵ケ沢町鳴戸地区で渡島福島局受信世帯を実際に発見した。

 ご覧の通り、高台移転した鯵ケ沢町役場周辺の鳴戸地区で複数の渡島福島局受信世帯を確認した。
 この写真の住宅の場合、上のアンテナが渡島福島局向きである。当地で山岳回折AKT秋田親局を受信するのに使っているLS206TMHによく似ている、同じマスプロ電工製のLS206と思われる。
 下のアンテナは青森親局向き。青森局と渡島福島局で混合をする場合、どうしてもATVSTVABAHTBの混信は避けられず、渡島福島局アンテナに入れるフィルタはSTVHTBをカットするハイチャンネル用を準備しなければならないが、受信は出来る。

 フィルタはサイトウコムウェアのハイパスフィルタのHPF-U□Kシリーズが良いだろう。HPF-U33Kから33ch以上のみ通すことになっているが、U33Kだと32chのHTB渡島福島局を切り切れずABAに混信の恐れがある。かといってU38KだとUHBの38chで−3.658dBもあるので、U-36KとかU-35Kくらいがベストか。

 プライバシーの問題もあるので詳細は避けるが、Googleストリートビューで見るとアナログ時代にはLS14で渡島福島局を受信していた世帯のようだ。
 14素子から20素子に交換しているので、アナログ放送に比べて地デジの方が難易度が高いのは間違いないだろうが、最終兵器の30素子を持ち出すほど厳しい条件ではないのだろう。


 津軽平野にいるとAKTが映るだけでも嬉しいが、やはり北海道の民放を受信できる地域は羨ましい。
 北海道波が受信出来れば単にテレ東系が見れるだけでなく、五大都市圏の一角たる札幌発の番組には、青森や秋田や岩手の局とは比較にならない都会の垢抜けた雰囲気があるのである。
 当地でもなんとか北海道波を受信する術はないものか……

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