
上の写真は、西津軽郡鯵ヶ沢町小夜地区と沿岸部の本町地区を結ぶ急勾配の町道で撮影したものである。
鯵ヶ沢町もある程度の高台ならUHBとTVhの渡島福島中継局を遠距離受信可能であり、実際に鳴戸地区で渡島福島局を受信している世帯も複数発見したことを前回の記事で書いた。
今回はある程度とされる受信高はどのくらいか推測するため、小夜地区で受信実験を行った。
小夜地区は本町地区の南側に位置する。海岸段丘面の上に住宅地が広がり、町立西海小学校や県立鯵ヶ沢高校も小夜地区に位置する。本町地区の小学生はこの階段を上がって西海小学校に通うのである。

町立西海小学校の標高は地理院地図によれば38m。受信高が38mなら渡島福島局の推定見通し距離は107.8kmに相当するので、実距離の85.5kmから22kmも余裕がある。
地形条件的には問題ない。
実際、ここより標高が低い鳴戸受信点(23.5m)でUHBとTVhの受信に成功しているので、小夜も受信条件は大丈夫なはず。
問題は、小学校の敷地に入らず受信実験ができるかどうかだが、どうやら階段は町道らしいので敷地に入らなければ問題ないだろう。それに階段沿いには民家も2軒ある。公道なら大丈夫だ。
というわけで西海小学校の敷地と同標高の階段最上部付近で38chのUHBと40chのTVhの受信実験をした。
| 小夜(西海小) UHB・TVh渡島福島局受信データ(2022/11/27) | |
| FEM表示画面 | 表示値 |
![]() | 北海道文化放送(UHB) 渡島福島局UHF38ch AntLV=60 POWER=-57dBm C/N=23dB BER 0.00E-0 |
![]() | テレビ北海道(TVh) 渡島福島局UHF40ch AntLV=54 POWER=-58dBm C/N=20dB BER 1.00E-6 |
UHBもTVhも復調成功!
読み通りだ。先に受信成功している大和田配水場と鳴戸の中間で標高が高い住宅地である小夜なら可能性はあると思っていたが、期待通りの結果で安心する。

ただ、小夜の場合は渡島福島方向に設置されたLS20が朽ち果てている家も散見されるのが引っかかるところである。
アナログ時代、多少のスノーノイズはあったが渡島福島局は小夜でも受信可能だった。鯵ヶ沢も空き家が増えているというから、人が住まなくなって放置されているだけなのか、地デジで難しくなったのが理由なのかは気になっている点である。
とりあえず、少し階段を下って受信高を低くしてみよう。

先に受信を確認した鳴戸のイカ焼き屋跡地の標高は22m(受信高23.5m)。受信高が20mもあれば、渡島福島局の見通し距離は100.8kmに達し、実距離の85kmから15kmの余裕がある。
受信高15mならどうなるか?
受信高が15mで渡島福島局の見通し距離は98.4kmに達し、まだ実距離の85kmから13kmの余裕がある。
だが。沿岸の七ツ石地区などでは標高と家の高さから換算すると受信高7〜10m程度が関の山だと思われるが、10mの場合の見通し距離も95kmはあるのに渡島福島向きのアンテナが朽ち果てている家が並んでいるのである。
おそらく受信高10mでは厳しいのだ。
ならばと、標高14mの地点で1mの高さにアンテナ・LS56を構えて、受信高15mで渡島福島局を狙ってみることにしたのである。
| 鯵ケ沢簡裁裏 UHB・TVh渡島福島局受信データ(2022/11/12) | |
| FEM表示画面 | 表示値 |
![]() | 北海道文化放送(UHB) 渡島福島局UHF38ch AntLV=34 POWER=-67dBm C/N=12dB BER 3.94E-2 |
![]() | テレビ北海道(TVh) 渡島福島局UHF40ch AntLV=21 POWER=-69dBm C/N=7dB BER 3.94E-2 |
UHBもTVhもワンセグ止まりだ。
反応はある。しかし鯵ヶ沢港の岸壁よりはマシとはいえ、ワンセグ止まりでは遠距離受信をしようという流れにはならない。

鯵ヶ沢簡裁の裏手は木々も茂っているので多少アゲインストだろうと思って、また坂を上がって標高を稼いでみたり、木々の隙間から見通しの良い場所を数カ所選んでみたが、復調に至るような結果は得られなかった。
それでもワンセグとはいえQPSKのBERはエラーフリーなのだから、極めて微弱な電波は間違いなく届いている。超強力なブースターなら何とかなるかもしれない。
鯵ヶ沢で渡島福島局を受信できるかの目安となる受信高は最低20mくらいなのだろう。
小夜は条件に不適な地域も多いかもしれない

前述の「小夜の場合は渡島福島方向に設置されたLS20が朽ち果てている家も散見されるのが引っかかる」について考察してみる。
上図は鯵ヶ沢町小夜地区を標高ごとに塗り分けた色別標高図に、渡島福島局波の到来方向と今回の受信点を書き加えたもの。
小夜地区でも西海小学校側(東寄り)の方なら、屋根の上から北海道が見通せればUHBもTVhも映るはず。小夜は肉眼でも北海道の陸地が見える地理条件である。
一方で鯵ヶ沢高校側(西寄り)の方は、渡島福島局からの電波到来方向に天童山が聳えており、難易度が上がる。
小夜でも屋根に上がって北を向いたとき、天童山で遮られる場所では渡島福島局の受信は難しいだろう。アナログ放送だったら天童山に遮られノイジーな結果でも妥協できただろうが、ワンセグ止まりではアンテナも朽ち果てたまま放置されるのも無理はない。

青森市での函館局遠距離受信でも同じことが言えるが、電波の見通し距離が実距離より余裕が無いと、鯵ヶ沢町でも海上伝搬の渡島福島局遠距離受信は難しいと思われる。
指向性が合っていないとはいえ函館局のERPは10.5kWもあって、渡島福島局の7.9Wとは比にならないのだ。青森市の場合よりも見通し距離に余裕があった方が良さそうに思えるのは、やはり渡島福島局はERPが小さいというのも要因なのだろう。
最後に余談。
測定日が違うので同条件での測定ではないが、UHB、TVhとも電界強度の推定値を書いておきたい。
受信に成功した3カ所から。
大和田配水場受信点で50.5〜52.7dBμV/m、小夜(西海小学校)受信点で44.7〜45.5dBμV/m、鳴戸受信点で42.5〜42.7dBμV/m前後。
受からなかった場所では、鯵ヶ沢簡裁裏で33.7〜35.5dBμV/m、鰺ヶ沢漁港岸壁で24.7〜25.5dBμV/m前後だろう。
AKTの山岳回折受信に成功している当地の経験から行くと、簡裁裏、電界強度30もあれば受かりそうな気もするが……




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