盛岡局の折爪岳山岳回折遠距離受信(八戸市南郷)にて、下表を掲載した。
 岩手の盛岡親局(馬の子新山)の6波中、13chEテレ盛岡(JOQC)16chIBC岩手放送を除く4波のチャンネルが、青森の八戸中継局と重複になっている。

青森波・岩手波のCH重複状況(八戸市)
CH八戸盛岡二戸
13QC
14TCQG
15IBC
16IBC
17TVI
18ATVTVI
19IAT
20TGMIT
21QC
22RABIAT
23QG
24ABA
50MIT

 岩手の盛岡親局は紫波郡紫波町にあって、青森第二都市の八戸市庁までの直線距離は113km。通常であれば、盛岡親局の電波が青森県まで到達して重複障害となることはほぼ無い。

 しかし、二戸市と九戸村に跨る折爪岳で盛岡親局波の山岳回折が発生し、八戸市南郷市野沢での受信実験の結果、八戸局と混信にならない13chEテレ盛岡(JOQC)16chIBC岩手放送が良好に受信されることが確認できた。

repgye
【旧西津軽郡某所の当地では、32chABA青森局の休止中にEテレ山形・鶴岡局が受信された】

 折爪岳といえば、二戸中継局のある山である。
 フジテレビ系のない青森県で岩手めんこいテレビ(MIT)を視聴するため、八戸周辺ではMIT二戸局を受信するのが珍しくないが、条件によっては盛岡親局の折爪岳山岳回折波が八戸局受信の妨害波になるかもしれないと考えたのである。
 
 具体的には14chEテレ青森(JOTC)八戸局NHK総合(JOQG)盛岡局に、18chATV八戸局TVI盛岡局に、20chNHK総合(JOTG)八戸局MIT盛岡局に、22chRAB八戸局IAT盛岡局に、それぞれ影響を受けるかもしれないというものである。
折爪岳による盛岡親局波の山岳回折をシミュレーションする

 例によってRadio mobileを用いて盛岡親局波の折爪岳山岳回折をシミュレーションする。
 紫波町の馬ノ子新山の岩手各局の親局からみて二戸中継局のある折爪岳約17.0°の方角に位置するので、陣場岳AKTのシミュレーションと同じようにERP=0.3Wで、折爪岳の山頂から17.0°方向にシミュレーションしてみた。
 ERP=0.3Wとしたのは、津軽平野でAKTのシミュレーションを実施したら何となく上手くいったような感じがするだけで、根拠はない。

盛岡波 折爪岳 山岳回折図
【折爪岳による盛岡波の伝搬シミュレーション クリックで拡大します】

 まあ予想通りではあるが、折爪岳から17.0°方向には障害となるような山は無く、八戸市まで普通に伝搬路が描かれてしまった。
 受信実験で訪れた南郷のいろり亭の辺りは伝搬路のど真ん中にある。
 拡大してみていこう。

盛岡波 折爪岳 山岳回折図(南郷)
【南郷付近 クリックで拡大します】

 まずは受信実験を行った南郷から。
 旧南郷村役場のあった市野沢の中心部の少し西側を、盛岡波の伝搬路が通過していく。
 市野沢の住宅地ではそれほど大きな影響はないかもしれないが、前述の通り、いろり亭がある上り街道沿いの方では伝搬路どストライクである。
 実際、カーラジオでも盛岡局のFMラジオが普通に受信できてしまうし、車載テレビでも盛岡局(Eテレ盛岡IBC)の受信は出来る。

盛岡波 折爪岳 山岳回折図(白山台・根城)
【白山台・根城付近 クリックで拡大します】

 続いて南郷市野沢から北上すると、伝搬路と重なる位置に住宅地が広がってくるのは八戸ニュータウンのある八戸市白山台や、さらに北の根城になる。
 八戸ニュータウンは盛岡波の電界強度が比較的高そうなシミュレーション結果が出ているが、分譲当初からケーブルテレビの八戸テレビが広く普及していてあまり考慮しなくてよいだろう。
 根城もストリートビューを見ると、アンテナ1本を階上岳と折爪岳の中間に向けて青森岩手一網打尽の(つまり、折爪回折波とはアンテナの方向が違う)パターンが多いと思われる上、そもそも電界強度は低めと推定されるので、それほど神経質ではなくても良いかもしれない。

盛岡波 折爪岳 山岳回折図(下長・河原木)
【下長・河原木付近 クリックで拡大します】

 さらに海手の下長や河原木、石堂などのエリア。こちらは広い範囲で30dBμV/m以上の電界強度のエリアが広がっている。
 「盛岡親局の電波をどうしても!」という熱意をもってアンテナの方向を合わせれば、重複の無いEテレ盛岡IBCの受信は出来るだろうと思うが、そもそも受信機が二戸局の方を選択しそうな気がする。
 こちらもストリートビューを見ると、アンテナ1本を階上岳と折爪岳の中間に向けて青森岩手一網打尽パターンが多いので、何らかの理由で折爪にロックオンしているアンテナでも立てていない限りは影響なしか。

盛岡ー北稜
【盛岡親局−八戸市立北陵中学校の伝搬路地形断面図】

 折爪岳で回折した盛岡親局波は八戸市立北陵中学校付近も通過するとみられ、地形断面図を取ってみると惚れ惚れするような回折具合である。

 こんな感じなので、実際に八戸市内で盛岡親局波による混信妨害が起きているかどうかは微妙な状況だろうと思うが、受信アンテナを折爪岳にロックオンしているような家庭の場合は混信が発生する地域も存在しているだろうと思う。
 対策としては八戸テレビに加入するか、アンテナ1本を階上岳と折爪岳の中間に向ける青森岩手一網打尽作戦などか。

 山岳回折も、新たなチャンネルという恵みをもたらすこともあれば、混信という招かれざる妨害波を連れてきてしまうこともあるのだろう。

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