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【外ヶ浜町蟹田 弘前藩蟹田台場跡】

 晩秋の雪が降る直前の時期は受信実験に最適の季節である。
 夏場のラジオダクトのような異常伝搬はほぼなく、広葉樹の葉が落ちきって木々の隙間がスッキリし、普段は実験できないような場所も使えるが、そんな日は長く続かない。まごまごしていると雪に覆われて実験どころではなくなる。
 千載一遇のチャンスの11月23日、蟹田の観爛山と平舘の磯山の展望台で函館局の受信実験納めをしてきた。

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【観瀾山公園 駐車場から函館方向】

 蟹田の観瀾山公園の駐車場奥は必ずしも函館方面の見晴らしが良い訳ではないが、真夏には木々の葉が生い茂っていた木々も葉を落とし、隙間から平舘海峡を行き交うフェリーまで見えているほどである。
 観瀾山公園駐車場は函館山のTVh函館送信所から183.75°方向に78.65kmの位置にある。眼下の蟹田港の岸壁からの距離は130m足らずだが標高は42.5mもあり、蟹田港のシンボル・トップマスト展望台より10m以上高い。アンテナマスト込みでの受信高は44.5mである。
 夏に来ると木々がさながら緑の壁のような様相を呈し受信状況が良くない観瀾山だが、落葉後ならどうか。

 いつも通りのマスプロ電工・LS56(利得+8dB)にサイトウコムウェア・AMP-UK(+21dB)、ケーブルその他(損失-0.6dB)を組み合わせて実験だ。
 
旧蟹田町観瀾山公園 函館7波受信データ(2023/11/23)
FEM表示画面表示値
HBC観瀾山北海道放送(HBC)
AntLV=39
POWER=-57dBm
C/N=15dB
BER 1.80E-3
STV観瀾山札幌テレビ放送(STV)
AntLV=57
POWER=-47dBm
C/N=21dB
BER 7.00E-6
HTB観瀾山北海道テレビ放送(HTB)
AntLV=41
POWER=-40dBm
C/N=15dB
BER 2.28E-4
UHB観瀾山北海道文化放送(UHB)
AntLV=42
POWER=-39dBm
C/N=16dB
BER 1.33E-2
TVh観瀾山テレビ北海道(TVh)
AntLV=33
POWER=-53dBm
C/N=13dB
BER 3.04E-2
VK観瀾山NHK総合・函館(JOVK)
AntLV=83
POWER=-40dBm
C/N=32dB
BER 0.00E-0
VB観瀾山NHK Eテレ函館(JOVB)
AntLV=87
POWER=-34dBm
C/N=33dB
BER 0.00E-0

 青森県で欠落系列になるUHBTVhが示し合わせたのかのようにワンセグ止まり
 HBCHTBもギリギリなんとかフルセグ復調というレベルであり、観瀾山公園は葉っぱが落ちても厳しい結果となった。

 NHK総合(VK)Eテレ(VB)は絶好調という感じで、民放の健康優良児STVも余裕はあるが、NHK日テレ系が良くてもあまり意味がない。青森県の場合、フジ系テレ東系が厳しいのでは遠距離受信文化も途絶えてしまっても不思議ではない。
 蟹田の街中で函館向きの高利得アンテナの姿が消えてしまったのは当然の帰結か。

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【旧平舘村磯山の展望台】

 観瀾山公園から北上し、旧平舘村最南の集落・磯山。阪神タイガースの木浪(青森市立篠田小ー青森山田中・高−亜大)の活躍が光った2023年であるが、旧平舘村磯山は木浪姓が多く、焼き干しで名高い木浪海産もここの所在である。
 磯山は南北に細長い集落で東は平舘海峡に面し、西側は急崖が迫る山地である。急崖に取り付け道路があり、展望台のような公園が整備されており、ここを受信実験地とする。
 函館山のTVh函館送信所から184.51°方向に75.24kmの位置にあり、標高は28.2mである。アンテナマスト込みでの受信高は30.2m。

旧平舘村磯山展望台 函館7波受信データ(2023/11/23)
FEM表示画面表示値
HBC磯山北海道放送(HBC)
AntLV=54
POWER=-50dBm
C/N=21dB
BER 1.00E-6
STV磯山札幌テレビ放送(STV)
AntLV=77
POWER=-42dBm
C/N=29dB
BER 0.00E-0
HTB磯山北海道テレビ放送(HTB)
AntLV=37
POWER=-38dBm
C/N=14dB
BER 3.94E-2
UHB磯山北海道文化放送(UHB)
AntLV=45
POWER=-35dBm
C/N=17dB
BER 8.12E-4
TVh磯山テレビ北海道(TVh)
AntLV=66
POWER=-48dBm
C/N=24dB
BER 4.00E-6
VK磯山NHK総合・函館(JOVK)
AntLV=92
POWER=-33dBm
C/N=35dB
BER 0.00E-0
VB磯山NHK Eテレ函館(JOVB)
AntLV=94
POWER=-33dBm
C/N=35dB
BER 0.00E-0

 HTB以外6波がフルセグ復調
 HTBは受信電力の数値だけ見るとSTVよりも高いくらいだが、それは野辺地のNHK総合上北局の混信を受けているからであり復調に至らずワンセグ止まり
 混信と言えばUHBATV上北局の影響が大きく、何とか寄り切ったがギリギリ受かっている状態である。

 混信が無い5波のうちNHK総合(VK)Eテレ(VB)STVの3波はBERエラーフリーでC/N=30前後と絶好調だが、同一鉄塔のHBCTVhの2波は伸び悩む感がある。

 函館局の送信指向性、局によって違うのだろう。
 青森側に対しHBCTVhが最も厳しく、上北局の混信があるのでHTBUHBの指向性の厳しさについては議論の余地があると思うが、この2波も厳しいだろう。

UHBhakodate
UHB函館局鉄塔 2008年撮影】

 推測だが、AKTのホームページにある「秋田テレビのあゆみ」を見ると、1969(昭和44)年に「テレビ開局、カラー放送実施」してから約35年後の2004(平成16)年に「デジタルアナログ共用送信アンテナ、大森山送信所に完成」とあり、送信アンテナの寿命は35年前後ではないかと。

 1993(平成5)年に開設されたTVhと、地デジ化でVHFからUHFに移行して鉄塔とアンテナを共用したHBCは1993年式のアンテナで2007年の地デジ化を迎え、2023年現在も恐らく現役だろう。
 アナログ時代の遠距離受信や青森ケーブルテレビの受像画面では、UHBよりTVhの方が明らかに厳しかった記憶はある。
 TVhがアナログ時代から使っている送信アンテナ自体の送信指向性が青森側に厳しいのだろう。

 話をアンテナの寿命に戻すと、開局はAKT秋田局HTB函館局はほぼ同時期、UHB函館局は3年遅いが、ほぼ同時期である。
 地デジ化前後あるいはその後の時期にHTBUHBもアンテナを更新して送信指向性をTVh(+HBC)と同等の厳しいものにしたのではないか。

観瀾山磯山
【Radio mobileでシミュレーションした上磯方面の函館局受信電界強度】

 例のTVhアナログ送信指向性図を基に函館局のアンテナをRadio mobileで作って受信電界強度をシミュレーションすると上図のようになるが、これほど上手く行かないのは経験から明らか。

 ただし、STVNHK総合(VK)Eテレ(VB)はこれが合っているように思う。

 STVNHKは、おそらくアナログ時代のHTBUHBと同じUHFアンテナの指向性に近く、青森でもギリギリ何とかなるような諸元なのではないか。

 今回、観瀾山や磯山に来たのは、Radio mobileでシミュレーションすると受信電界強度が50dBμV/m台ないし60dBμV/m以上のエリアとされる判定が正しいのかどうかを見に来たというのも理由である。

 実測値ではTVhはやはりシミュレーション値より厳しい。
 あの指向性図では蟹田や青森は-20dBの方向になるが、本当は-23とか-25dB、いや下手すると-30dBとかもっときつい数値が隠れているのではという気もする。

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