青森県庁OB(元・企画政策部長)で青森県立保健大学の特任教授の小山内豊彦という人がいる。
 この方は何冊か本を出版されているが、当ブログに来て下さる読者の方には、2000年に出版された「『地方』を識る!」を先に読んでから、1997年出版の「眠れるメディア“テレビ”─青森から考える地域密着チャンネル」を読むことをお勧めしたい。





 さて「眠れるメディア“テレビ”─青森から考える地域密着チャンネル」の66ページには次のような一節がある。

 ─どういう理屈かはわからないが、平内町の狩場沢地区の一部でも北海道のテレビが映るという─

 この一節以外に詳細な情報はないが、平内町狩場沢で受信可能性があるとすれば次のケースだろう。

 _舎免湘648m高地による函館局の山岳回折伝搬
 池ノ岱山(526m)による渡島福島局の山岳回折伝搬
 0枉鐡組造砲茲觴射か札幌、苫小牧局等の一時的な伝搬の記録

 これ以外で常時受信の可能性があるとすれば室蘭局だが、山岳回折するにも亀田半島と下北半島で地形が険しすぎるのでほぼあり得ないだろう。除外する。

 まずは,らみてみよう。

 狩場沢地区のどの辺りで映っていたのか不明なので、とりあえず代表的な地点を8カ所(国道4号沿い沿いに清水川地区との境界、ラーメンショップ平内店、レストラン喫茶ボンネット、狩場沢駅入口、旧交通安全宣言のまち塔跡、春日丸水産、恒新丸水産、野辺地町との境界)を抽出してみる。
 狩場沢
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 清水川地区寄りの狩場沢北西部には無人地帯が多く、ラーメンショップ平内店やレストラン喫茶ボンネットなどの飲食店はあるものの、いずれも函館局からは多重回折となってしまうので受信不可能だろう。
 一方で狩場沢駅付近から野辺地寄りの狩場沢南東部では、648高地周辺尾根によって1回で回折可能な地形条件が成立する。

函館狩場沢回折点周辺
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 648高地周辺尾根の位置は上図参照。
 川内から佐井に抜ける県道46号の峠の古い鞍部、湯ノ川越から南南東に位置する尾根で、標高は622m前後である。
 
 VHF局なら青森側にも送信指向性があったので、アナログのHBCSTVNHK総合函館(VK)は比較的容易に受信できたのではなかろうか。
 UHF局のHTBUHBTVhも、条件が良ければノイズが許容できる程度で受信できたかもしれない。

 ちなみに、旧交通安全宣言のまち塔があった地点で地デジ函館局のTVhの受信実験したことがあるが、受信は不可能であった。
 UHBについては、同じ25chATV上北局のエリア内なので受信実験するまでもなく不可だった。

TVh函館局−平内町狩場沢地区地形断面図
狩場沢清水川境界
清水川地区境界
狩場沢ラーメンショップ
ラーメンショップ平内店
狩場沢ボンネット
レストラン喫茶ボンネット
狩場沢駅入口
狩場沢駅入口
狩場沢旧交通安全宣言のまち塔
旧交通安全宣言のまち塔
狩場沢春日丸水産
春日丸水産
狩場沢恒新丸
恒新丸水産
狩場沢野辺地町境
野辺地町境

 以上より,鯔槎浸しているが、対抗馬の△發澆討きたい。

 渡島福島局は、今秋、北大生がヒグマに襲われて死亡する痛ましい事故が起きた大千軒岳の千軒コース登山道の入口から分岐する出戸二股川沿いの林道を上がっていった方面の山中にあり、いつかは訪問したいと思いつつ、ヒグマの恐怖から躊躇してしまう。
 渡島福島局波は同じ福島町内の標高526mの池ノ岱山で山岳回折することで、津軽海峡を越え、津軽半島の高野崎や石崎の陸地をかわし、下北の北海岬も華麗に避け、夏泊半島の大島や鼻繰崎の出っ張りからも逃げきって、平内町狩場沢まで見通しを稼ぐことになる。

福島−狩場沢
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 上図は渡島福島中継局からみて134.93°方向に位置する池ノ岱山頂での山岳回折の伝搬ラインを示したものになる。実際にはもう少し山頂より西側で回折することで狩場沢集落に直撃する伝搬路が成立するが、目安で。
 池ノ岱山は標高526mなので、狩場沢側で受信高0mだと見通し距離が94.49kmしかなく実距離の96.3kmには満たないが、標高3m地点の一般家庭が屋根上7mにアンテナを設置する場合の受信高10mであれば見通し距離107kmに達し、実距離を超えてくる。

狩場沢渡島福島

【画像はクリックで拡大します】

 もはやアナログ放送時代の山岳回折の伝搬状況を確かめる手段はないが、地デジでは失敗という受信レベルでも、アナログにはノイズまみれでも何とか見れるという評価もあったはずである。
 これが狩場沢で映っていたという北海道のテレビの受信の正体だろうか?

アナログ函館・渡島福島・上北CH重複状況
CH函館渡島福島上北
4VK
6HBC
10VB
12STV
21TVh
27UHB
35HTB
47HTB
49TVhTC
51UHBTG
53VBRAB
55VKATV
57ABA
58STV
61HBC

 残念ながら、上表の通りアナログ放送時代の渡島福島局は7波中4波が上北局と重複していた。
 しかも本県で欠落する系列を補完するUHBTVhが揃って上北局混信の餌食になってしまうchだった。
 ABA開局前にHTBを遠距離受信していた世帯があった可能性は否定できないものの、渡島福島局を遠距離受信しても見られる系列が増えるわけでもないのに、わざわざ高性能アンテナを立てて渡島福島局を受信していたとは考えにくい。
 よって、△硫椎柔は低いだろうと思っている。

 最後、大穴のについて。
 異常伝搬による室蘭か札幌、苫小牧局等の一時的な伝搬はあり得る。

 下北半島から国道279号国道4号で青森市方面へ移動する際、FM青森むつ局(81.3MHz)を聴きながら走った経験がある人はわかると思うが、野辺地、狩場沢、清水川あたりでもほとんどノイズなく良好に聴取可能である。
 山影になって上北局の受信が難しい場合、対岸のむつ局を受信することが狩場沢地区にはあるようで、一例をあげればレストラン喫茶ボンネットのアンテナはむつ局のある釜臥山方向を向いているし、2014年のGoogleストリートビューで集落地をみればむつ局用の垂直偏波VHFアンテナが残っている家も散見される。


【レストラン喫茶ボンネットのアンテナ】

 狩場沢駅からむつ局を受信するために釜臥山にアンテナを向ける場合、方角は約6.8°方向になる。
 室蘭、札幌、苫小牧の方角と釜臥山のむつ局との方角差を求めると、室蘭局は約356.6°方向なので10.2°、札幌局は2.4°方向なので4.4°、苫小牧局は12.5°方向なので5.7°と、いずれも方角差は小さい。

 遠距離受信狙いではないむつ局向けのアンテナに、北海道のいずれかの局の放送波が異常伝搬で入感することはあったのではないか。

 特に、むつ局ではATV56chABA58chであったので、異常伝搬で苫小牧局が入感するような日には55chHBC57chSTVによる隣接障害が起きて、画面上にうっすら現れることもあったかもしれない。
 それこそ、古いダイヤル式のテレビでUHFを見ていた家なら、ATVABAのザッピングの際に57chSTVを拾ってしまうこともあったかもしれない。

 このように異常伝搬の際くらいにしか映らないものの、映った場面を見た経験がある狩場沢の住民の「北海道の放送が映った」という話が伝聞されるうちに、「どういう理屈かはわからないが、平内町の狩場沢地区の一部でも北海道のテレビが映る」という話になった可能性はあるだろうと思う。

下北半島西岸
【津軽海峡と下北半島西岸の脊梁】

 今となっては正解はわからないが、_舎免湘648m高地による函館局の山岳回折伝搬が本命だろう。
 むつ市や横浜町の陸奥湾側では、山岳回折による函館局遠距離受信の例も実在するのである。 

 残念ながら地デジではTVhの受信実験に成功したことは無いし、UHB同じ25chATV上北局の混信で受信不可であるし、国道4号沿いの狩場沢集落に函館局を向いたアンテナは見つからないので、現在は平内町狩場沢に函館局の遠距離受信実績はないだろう。
 
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