当ブログのコメント欄に、“ほぼ名無し”さんから、山形県大石田町で「何故かNHK Eテレ秋田AAB秋田朝日放送が映ります。」「チャンネルスキャンをしてみると、親局である大森山公園からのチャンネルと同じ」という情報をいただいた。

 AABが29chを使う中継局もEテレ秋田(JOUB)が50chを使う中継局も無いので、間違いなく秋田市大森山の親局波が大石田町まで届いているのであろう。
 ほかのABS(35ch)AKT(21ch)NHK総合秋田(JOUK)(48ch)が映らないのは、おそらく下表のとおり新庄・尾花沢地区のチャンネル構成によるためだろう。

秋田・新庄・尾花沢 CH構成表
CH秋田新庄尾花沢
15JC
17JG
19YBC
21AKTYTS
23TUY
29AAB
31JC
33SAY
35ABSJG
37YBC
39YTS
40TUY
48UKSAY
50UB

 ご覧の通りで、新庄局(出力100W、ERP360W)尾花沢局(出力1W、ERP14.5W)の重複を受けないのはAABEテレ秋田だけなのである。

大石田南小学校付近 各局方向+マスプロU146指向性図
【大石田南小学校周辺地形図】

 しかし新庄局のある杢蔵山に向けたアンテナに秋田局が入感するくらいなのだから、LS206TMHLS306TMHなど指向性が鋭いアンテナを大森山方向に向けて使えば、尾花沢局の混信を振り切ってABSNHK総合秋田も受信できるかもしれない。
 さすがにAKTはかつて同じフジテレビ系だったYTSの新庄局と方向的に近いので難しいだろうけれど。
 せっかくなので、大石田町から2カ所を抽出して地形断面図を取ってみた。

大森山−大石田町1
【AAB秋田局−大石田町役場地形断面図】

 まずは大石田町役場を受信点として想定したもの。
 地理条件は大森山から167.69°方向、距離は121.77kmである。
 秋田市の大森山から順調に秋田・山形県境の尾根まで伝搬可能で、丁岳の東方の萱森東方尾根で山形県方面に回折する。
 しかし山形県側で男加無山(最上郡真室川町)付近の山にひっかかりそうな地形条件であり、大石田町役場周辺で秋田局の遠距離受信が叶うかどうか少々心もとない。

大森山−大石田町2
【AAB秋田局−大石田南小学校地形断面図】

 次は大石田南小学校を受信点として想定したもの。
 地理条件は大森山から168.16°方向、距離は125.38kmである。
 こちらのケースが特筆すべきは、秋田市の大森山から順調に県境の萱森東方尾根まで到達し、回折点が鋭くナイフエッジ効果が期待できそうな地形にあることだ。
 しかも山形県側でも支障しそうな山が無い地形条件であり、大石田南小学校付近は秋田局の遠距離受信の可能性にかなり期待できる地形条件となる。
 津軽平野にAKTの恵みをもたらす陣場岳田代岳でも、ここまで優れた山岳回折地形条件は無い気がする。

 “ほぼ名無し”さんの追加情報によれば大石田町田代地区だというので、まさに大石田南小学校の近隣地区である。
 AABEテレ秋田が映るのは、萱森東方尾根山岳回折とみて間違いないだろう。
 大石田南小学校方面への伝搬シミュレーション図も掲載してみる。

 実際には秋田市大森山から大石田南小学校への方角は168.16°方向なのだが、萱森東方尾根で最も鋭利なナイフエッジ効果が出そうな168.20°方向の1103m地点を回折点に見立てて、Radio mobileを用いて伝搬シミュレーションを実施した。
 いつものようにERPは0.3Wと想定したが、陣場岳田代岳よりも鋭利な山頂を回折点とするのだから、もう少しERPは強めでみても良かったかもしれない。

AAB山岳回折波大石田周辺広域
【AAB秋田局 萱森山岳回折伝搬シミュレーション図】

 最上地方から村山地方北部にかけてのシミュレーション図はこんな感じになった。
 最上郡真室川町と金山町の境の長野地区付近から新庄盆地での受信可能性がある地域が広がり始め、新庄市内では北新町からヤマダ電機テックランド新庄店、東山公園などを通過する。
 最上郡舟形町は主に山間部の無人地帯を通過となるが、大石田町では豊田地区や大石田南小学校周辺を伝搬路が通過し、東根市方面まで可能性がありそうである。
 とりあえず詳細は追って書こう。

AAB山岳回折波新庄周辺
【AAB秋田局 萱森山岳回折伝搬シミュレーション図-新庄-】

 新庄市の伝搬路は上図のようになり、前述の通り北新町からヤマダ電機テックランド新庄店、東山公園などを通過する。
 ただ、新庄局のある杢蔵山が新庄市街のおおむね東側に位置することから、新庄市民のほとんどはアンテナを東方面に向けていると思われ、北にある秋田局方向との角度差はかなり大きくなるので、新庄市内で秋田局が映っているという世帯はほぼ無いだろう。
 新庄市でAABEテレ秋田が映っているという世帯があるとすれば、秋田方向にアンテナを向けている遠距離受信愛好家などだろう。

AAB山岳回折波大石田周辺
【AAB秋田局 萱森山岳回折伝搬シミュレーション図-大石田-】

 舟形町は集落がある地点を伝搬路が通過しないので省略し、大石田町のシミュレーション図を。
 大石田町役場方向だと167.69°方向だったので、約0.5°という角度差になるが、役場からみてだいぶ西側を伝搬路が通過することになる。
 大石田町豊田地区から大石田南小学校のある田沢地区、新山寺地区などを伝搬路が通過して最上川を渡って村山市方面へと向かっていく。
 シミュレーション結果をみると20dBμV/m台の電界強度しかなさそうな図になるが、大森山方向から方角が多少ズレる杢蔵山向けのアンテナにでも入感するということは、電界強度で50dBμV/m台の可能性もあるのではないかとみている。
 ナイフエッジ効果が強い場合は、もっと強気のERP設定でシミュレーションした方が良いかもしれない。

AAB山岳回折波村山・東根周辺
【AAB秋田局 萱森山岳回折伝搬シミュレーション図-東根-】

 大石田町から村山市に入った伝搬路だが、村山市内では東北中央道 村山トンネル
が貫く山地にぶつかってしまい、その後の楯岡の街では見通しが効かないことになってしまう。
 東根市に入ると、本丸西地区付近から可能性が復活し、東根の大ケヤキや中央東2丁目、3丁目などで可能性がある。
 しかし秋田市大森山から萱森東方尾根山岳回折で進んできたAABEテレ秋田の伝搬路の旅も東根市まで。

 秋田市大森山の秋田局の山岳回折伝搬路を止める東根市の山の名前も「大森山」である。
 
 東根市の大森山は関山局のある山である。関山局には秋田局と重複する局が無いので混信の恐れはない。東根市内は西蔵王の親局を受信している世帯も多いだろうと思われるが、関山局のある大森山の陰になる方の世帯で新庄局にアンテナを向けている世帯なら、秋田局が映っている可能性はあるかもしれない。

 ただ、民放4局ある山形県で、わざわざ秋田県の局の遠距離受信するのは動機付けとして弱く、東根市で秋田局を遠距離受信する人は、たまたま映っている例が無ければいないような気もする。
 1993〜1997年を想像してみる。

 現状、山形県で秋田局の遠距離受信をする動機付けには乏しいわけだが、少し過去にさかのぼってみたい。
 もともと山形県には1970年開局のフジテレビ系の山形テレビ(YTS)があったが、1993年にネットチェンジしてテレビ朝日系の山形テレビ(YTS)になって今日に至っている。
 1997年にさくらんぼテレビ(SAY)が開局するまでの4年間、山形県にはフジテレビ系列局がなかったのである。

 1993〜1997年の間、庄内地方ではAKT秋田局を遠距離受信してフジテレビの番組を視聴するケースがあったというが、もしかして大石田町でも可能性があったのではなかろうか。

アナログ秋田・新庄・尾花沢 CH構成表
CH秋田新庄尾花沢
2UBJC
9UKJG
11ABSYBC
26TUY
28SAY
31AAB
37AKT
41YTS
43YBC
45JG
47JC
50TUY
52SAY
58YTS

 ご覧の通り新庄局や尾花沢局にアナログAKT秋田局37chは無く、混信の心配はなさそうにみえる。
 もしかして1993〜1997年の4年間、大石田町にもAKTフジ系を見ていた人もいたか!?

 だが、強敵はアナログYTS山形親局38ch。

 津軽平野の当地で、アナログ時代にAKT親局37chの遠距離受信を阻む強大な存在だったのが、隣接する38chATV青森親局であった。

 泣く子と地頭と混信には勝てぬ。

 大石田町には西蔵王から山形親局の電波も届くので、アナログ時代にAKTフジ系補完をしていたという強者はいないだろう。

 それにしても、秋田と新庄の教育テレビがどちらも2chで、NHK総合9chで、ABSYBC11chとなると、アナログ時代の大石田町の新庄局受信世帯は異常伝搬時に秋田局が混信していたのではないかという気がしてくる。
 
blog_rankingクリックでブログランキングに投票!