かつて、青森県内の人が住む集落で秋田テレビ(AKT)小坂局の受信例があったとは。
私はこれまで青森県内の人が住む地域でAKTを受信するのは秋田市大森山の親局を狙う例しかまだ確認できておらず、中継局を受信する例は確認したことはなかった(花輪局を受信している例があるというネット上の情報もある)。
秋田県北の主要な中継局から津軽内陸方面(平川市碇ヶ関)への伝搬シミュレーションも実施したが、出力10Wの能代局、鷹巣局、大館局、花輪局のいずれも碇ヶ関には伝搬不能だとみていた。
しかし過去にAKTのタイムテーブルに掲載されていたエリアマップで、秋田県内陸北部から青森県津軽内陸南部へのはみ出し(いわゆるスピルオーバー)という"匂わせ"や、碇ヶ関で一軒だけだが壊れたアンテナを秋田県方面に向けている民家の存在を知っており、何らかの伝搬経路で碇ヶ関にエリアが伸びるケースもあるのかもしれないと、調査を続けてきたのである。

【2011年当時のAKTのエリアマップに加筆したもの】
今回、壊れたアンテナを秋田県方面に向けている民家は1軒だけであることから、詳細な位置に言及することは避けたい。
その民家は下段の20素子パラスタックの高利得アンテナを大鰐局に向け、上段の14素子の普及型アンテナが秋田県方面に向いていて、反射器が破損していたり、斜めに傾いている。
大鰐局と当該地点の間には山があり、安定して受信するには20素子のアンテナが必要なのかもしれないが、それにしても普及型の14素子アンテナで小坂局を受けようとするのは驚く。

【Radio mobileでシミュレーションした小坂局の推定受信電界強度MAP】
小坂局は小坂町中心部の国道282号と秋田県道2号が接続する五十刈交差点から至近の煙見山にあり、麓からもよく見える。残念ながら小坂局の送信指向性はわからないので、適当に南北(0°方向と180°方向)に送信していると想像し、煙見山の標高が287mなので送信高300mと仮定し、ERP=0.77WでRadio mobileにシミュレーションさせてみたのが上図である。
さらに青森県境の山岳回折点から碇ヶ関方面への山岳回折伝搬路も合成した。前述の通り民家の位置を詳細にしないため方角の値も明らかにしないが、その民家まできれいに伝搬路が繋がる結果が出た。
まあ、ERP=0.77Wなのに山岳回折もERP=0.3Wといういつもの適当な値で良いのか、という突っ込みは甘んじて受けざるを得ないが……。

【小坂局から碇ヶ関某所までの山岳回折伝搬地形断面図】
煙見山の小坂局から碇ヶ関某所の民家までの山岳回折伝搬路の地形断面図は上図である。複雑にみえる鹿角地方から碇ヶ関への地形も、小坂から碇ヶ関某所という短区間なら回折回数1回だけの伝搬というのもありうるのだと、地形断面図をみて実感する。
問題は、これまで当ブログが山岳回折伝搬で地デジフルセグ復調を確認できたのは、秋田局にしても函館局にしても盛岡局にしても、すべて1kW級の送信所ばかりである。
山岳回折伝搬は山にぶつかった際にどうしても減衰し、その際に信号の品質(C/N比)も劣化する。中継局の場合、1kW級の親局(秋田局とか函館局とか)に比べると劣化が蓄積されていることも心配である。
山岳回折利得という言葉も存在するが、地平線の向こうなど見通し距離の限界の先で、山のお陰で受信ができる場合に成立する利得である。基本的には山にぶつかった電波は減衰して劣化するのだ。山が天然のブースターな訳はない。
秋田市大森山の親局から小坂局までの経路はわからないが、能代局や鷹巣局、大館局、花輪局などをリレーして来ていると推測すると、劣化の蓄積が非常に気になるし、小坂局の出力も小さい。減衰を乗り越えて伝搬できるだけのパワーが残っているのかも未知数である。

【民家のある地区の隣、碇ヶ関折橋で受信実験を実施した】
ともかくアンテナを向けて実験し確認することにする。
繰り返しになるが、その民家のアンテナも壊れた状態である。ということは映らなくて放置されている状況なのかもしれない。厳しい戦いが予想されるが、小坂局の電波は関所を越えて津軽に届くのだろうか?
受信機材は当ブログを長くお読みの皆様にとってはおなじみのもの。アンテナはマスプロ電工・LS56、ブースターはサイトウコムウェア・AMP-UK、ケーブルはマスプロ電工・S5CFB20Mを3m、受信機はSHARP・AQUOS(受信電力値が7デシ下方ずれ)である。
全滅!
山岳回折伝搬が成功するかどうかの当ブログの経験則である、1kW級親局やそれに準ずる基幹送信所でなければ厳しいだろうという予測や、山岳回折点となる山の時点で受信電界強度60dBμV/mがあるかどうか、という点を満たせなかったからなのか、それにしても完全に反応が無いとは。
小坂局の送信指向性がわからないので回折点となる県境の尾根の受信電界強度がどれほどのものか不明であるし、秋田局から小坂局への経路での劣化具合も不明であるが、アンテナを向けていた家とほぼ同じ伝搬コースで、これほど厳しい結果が出るとはさすがに予想できなかった。

【小坂町五十刈から眺望する小坂局】
あまりにも衝撃的な全滅という結果に納得できず、アンテナを向けていた当該の民家にも向かったところ、2025年1月の豪雪の影響なのか、かつて見た時よりもさらに大きくアンテナが破損し、マストごと倒れていた。そこへ向かう平川市道の路面の巨大な穴と水たまりも放置され、人が普通に暮らすにも不便な状況になっていた。
詳細な位置を明らかにするつもりはないが、Googleストリートビューでも倒壊前(2024年)の様子が見れる。ストリートビューでもだいぶアンテナは破損が進んでいるが、2025年4月現在のアンテナはほぼ全壊に近く、もうやはり碇ヶ関でAKT小坂局は映らないのだろう。
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私はこれまで青森県内の人が住む地域でAKTを受信するのは秋田市大森山の親局を狙う例しかまだ確認できておらず、中継局を受信する例は確認したことはなかった(花輪局を受信している例があるというネット上の情報もある)。
秋田県北の主要な中継局から津軽内陸方面(平川市碇ヶ関)への伝搬シミュレーションも実施したが、出力10Wの能代局、鷹巣局、大館局、花輪局のいずれも碇ヶ関には伝搬不能だとみていた。
しかし過去にAKTのタイムテーブルに掲載されていたエリアマップで、秋田県内陸北部から青森県津軽内陸南部へのはみ出し(いわゆるスピルオーバー)という"匂わせ"や、碇ヶ関で一軒だけだが壊れたアンテナを秋田県方面に向けている民家の存在を知っており、何らかの伝搬経路で碇ヶ関にエリアが伸びるケースもあるのかもしれないと、調査を続けてきたのである。

今回、壊れたアンテナを秋田県方面に向けている民家は1軒だけであることから、詳細な位置に言及することは避けたい。
その民家は下段の20素子パラスタックの高利得アンテナを大鰐局に向け、上段の14素子の普及型アンテナが秋田県方面に向いていて、反射器が破損していたり、斜めに傾いている。
大鰐局と当該地点の間には山があり、安定して受信するには20素子のアンテナが必要なのかもしれないが、それにしても普及型の14素子アンテナで小坂局を受けようとするのは驚く。

小坂局は小坂町中心部の国道282号と秋田県道2号が接続する五十刈交差点から至近の煙見山にあり、麓からもよく見える。残念ながら小坂局の送信指向性はわからないので、適当に南北(0°方向と180°方向)に送信していると想像し、煙見山の標高が287mなので送信高300mと仮定し、ERP=0.77WでRadio mobileにシミュレーションさせてみたのが上図である。
さらに青森県境の山岳回折点から碇ヶ関方面への山岳回折伝搬路も合成した。前述の通り民家の位置を詳細にしないため方角の値も明らかにしないが、その民家まできれいに伝搬路が繋がる結果が出た。
まあ、ERP=0.77Wなのに山岳回折もERP=0.3Wといういつもの適当な値で良いのか、という突っ込みは甘んじて受けざるを得ないが……。

煙見山の小坂局から碇ヶ関某所の民家までの山岳回折伝搬路の地形断面図は上図である。複雑にみえる鹿角地方から碇ヶ関への地形も、小坂から碇ヶ関某所という短区間なら回折回数1回だけの伝搬というのもありうるのだと、地形断面図をみて実感する。
問題は、これまで当ブログが山岳回折伝搬で地デジフルセグ復調を確認できたのは、秋田局にしても函館局にしても盛岡局にしても、すべて1kW級の送信所ばかりである。
山岳回折伝搬は山にぶつかった際にどうしても減衰し、その際に信号の品質(C/N比)も劣化する。中継局の場合、1kW級の親局(秋田局とか函館局とか)に比べると劣化が蓄積されていることも心配である。
山岳回折利得という言葉も存在するが、地平線の向こうなど見通し距離の限界の先で、山のお陰で受信ができる場合に成立する利得である。基本的には山にぶつかった電波は減衰して劣化するのだ。山が天然のブースターな訳はない。
秋田市大森山の親局から小坂局までの経路はわからないが、能代局や鷹巣局、大館局、花輪局などをリレーして来ていると推測すると、劣化の蓄積が非常に気になるし、小坂局の出力も小さい。減衰を乗り越えて伝搬できるだけのパワーが残っているのかも未知数である。

ともかくアンテナを向けて実験し確認することにする。
繰り返しになるが、その民家のアンテナも壊れた状態である。ということは映らなくて放置されている状況なのかもしれない。厳しい戦いが予想されるが、小坂局の電波は関所を越えて津軽に届くのだろうか?
受信機材は当ブログを長くお読みの皆様にとってはおなじみのもの。アンテナはマスプロ電工・LS56、ブースターはサイトウコムウェア・AMP-UK、ケーブルはマスプロ電工・S5CFB20Mを3m、受信機はSHARP・AQUOS(受信電力値が7デシ下方ずれ)である。
全滅!
山岳回折伝搬が成功するかどうかの当ブログの経験則である、1kW級親局やそれに準ずる基幹送信所でなければ厳しいだろうという予測や、山岳回折点となる山の時点で受信電界強度60dBμV/mがあるかどうか、という点を満たせなかったからなのか、それにしても完全に反応が無いとは。
小坂局の送信指向性がわからないので回折点となる県境の尾根の受信電界強度がどれほどのものか不明であるし、秋田局から小坂局への経路での劣化具合も不明であるが、アンテナを向けていた家とほぼ同じ伝搬コースで、これほど厳しい結果が出るとはさすがに予想できなかった。

あまりにも衝撃的な全滅という結果に納得できず、アンテナを向けていた当該の民家にも向かったところ、2025年1月の豪雪の影響なのか、かつて見た時よりもさらに大きくアンテナが破損し、マストごと倒れていた。そこへ向かう平川市道の路面の巨大な穴と水たまりも放置され、人が普通に暮らすにも不便な状況になっていた。
詳細な位置を明らかにするつもりはないが、Googleストリートビューでも倒壊前(2024年)の様子が見れる。ストリートビューでもだいぶアンテナは破損が進んでいるが、2025年4月現在のアンテナはほぼ全壊に近く、もうやはり碇ヶ関でAKT小坂局は映らないのだろう。





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